TREND 2018/11/29

一度きりの人生だから「ボーっと生きてんじゃねーよ!」

■平成最後の12月ももうすぐ

皆様は、どんな時に「あぁ、もう年末なんだな」と感じますか?

紅白歌合戦の出場者が発表された時。

年賀状の販売が開始されたことを知った時。

当てはまるものがない? それではこちらはどうでしょうか?
12月3日に年間大賞の発表を控えた自由国民社の「ユーキャン新語・流行語大賞」です。
ノミネートされているのは、「おっさんずラブ」「カメ止め」「GAFA(ガーファ)」などなど、私たちが今年よく耳にしたフレーズです。

その中に、ひとつ気になるものがありました。
「君たちはどう生きるか?」もいいのですが、ここでご紹介したいのは次の言葉です。

「ボーっと生きてんじゃねーよ!」

■チコちゃんに叱られる!

活を入れられた気分になってしまう台詞ですが、ぶつけてくるのは何と5才の女の子。

NHK総合テレビで放送されている『チコちゃんに叱られる!』は、岡村隆史さんがMCを担当し、毎回さまざまゲストを迎えて、チコちゃんからの素朴な質問に答えていくというクイズバラエティ番組です。

「どうしておじさんは“おやじギャグ”を言う?」

答えられずにいると、チコちゃんの顔が見る見る真っ赤になって巨大化し、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱責を浴びることになります。

この番組が今大人気のようで、視聴率も15%と高い数字を記録しています。
それにしても少女の決め台詞は、なぜこんなにもカッコよく響いてしまうのでしょうか。

■オッサン社会とミレニアル世代

『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』など多数の著書を世に送り出している牧野知弘さんは、文春オンライ掲載のコラムの中でこの人気者にふれるも、番組内で流れる街頭インタビューに答える人々ののんびりした印象を「ぼんやり日本人」と呼び、危機感を抱いていると続けています。

≪平和のように見えるいっぽうで、環境の変化に気づかずにただ今の瞬間だけ障りがなければそれでよし、多少の悪事に対しても「見て見ぬふりをする」風潮が世の中に蔓延している≫

確かに2018年報道を賑わせた官僚・大企業・スポーツ界などの不祥事は、見て見ぬふりをし続けることができなくなった内部告発から発覚することが多かったような気がします。

波風立てずに場を穏やかに丸く収める、現代社会の歪んだ平和な風潮を「オッサン社会」と警鐘を鳴らすのは、今年の9月に著書『劣化するオッサン社会の処方箋-なぜ一流は三流に牛耳られるのか-』を発売した山口周さんです。
この「オッサン」の概念は年齢的なものではなく、古い価値観に固執し、新しい価値観を受け入れられない人々を指しているようです。

それでは、オッサン社会はどのような弊害を生むのでしょうか?
山口さんは「もう死んでるんだけど生きているみたいな。偽善的で理想もなく受け身でダラダラ生きているくせに、若い人が理想を持とうとすると潰しにかかるような人たち、というイメージでしょうか」とミレニアル世代への影響を憂慮しています。

さぁ、この記事を読んでくれている10代・20代の皆様、今この瞬間をどう生きていますか?
オッサン社会で立ち回り上手になっていませんか?
一度きりの人生、都合よく流されるように生きていると、それはそれで楽かもしれませんが、いつかチコちゃんに叱られてしまうかもしれませんよ。

「ボーっと生きてんじゃねーよ!」って(笑)。