「Fラン大学でも就職のためには行った方が良い?」
日本では就職やキャリアに学歴が大きく関係しており、大学を卒業すれば就職できるとの考えが少なからずあります。
- 偏差値50未満の大学
中でもFラン大学は定員割れしている学校も多く、受験すれば入れる大学として就職目的で入学する人が多い学校です。
「とりあえず大学さえ出ておけば」と考える人がFラン大学に入ってくるのです。
しかし、Fラン大学卒業者とより偏差値の高い大学の卒業者の「大卒資格」が同じ価値とは言えません。
今回の記事では、このようなFラン大学の5つの実態を解説し、就職のためにFラン大学に行くべきなのかを考えていきます。
- 入学者数
- 退学率
- 一般入試の入学者割合
- 就職率
- 進学率
今現在Fラン大学への入学を検討する人、すでにFラン大学に通う人にとって、参考になる情報満載ですよ!
Contents
Fランク大学の定義

Fラン大学と言っても、その定義はやや曖昧なところがあるため、まずはその定義を確認しましょう。
河合塾が定めた定義も以下のようにありますが、ここではより一般的な考え方をFラン大学の定義とします。
- 日東駒専(Eランク大学)よりも偏差値が低い大学
- 一般的には偏差値50未満
※日東駒専とは「日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学」の総称です。
河合塾によるFラン大学の定義
ボーダーラインの設定基礎となる前年度入試結果調査データにおいて、不合格者数が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在せず、ボーダーラインが設定できなかった場合、ボーダー・フリー(BF)としています。
この記事では、世間一般的なFラン大学の定義に基づき、「偏差値50未満の大学や学部」をFラン大学と考えて話を進めます。
厳密には河合塾の定義に基づくFラン大学と違う部分もあるため、あらかじめ理解いただいた上で読み進めていってくださいね。
Fランク大学の実態① | 入学者数


▼偏差値別入学者数
偏差値 | 私立入学者数 | 国公立入学者数 | 合計 |
---|---|---|---|
39 | 3631人 | – | 3631人 |
40〜44 | 27078人 | – | 27078人 |
45〜49 | 19088人 | 315人 | 19403人 |
50〜54 | 19595人 | 5811人 | 25406人 |
55〜59 | 24990人 | 8117人 | 33107人 |
60〜64 | 14759人 | 1791人 | 16550人 |
65〜69 | 15293人 | 2469人 | 17762人 |
70以上 | 10447人 | 3210人 | 13657人 |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
明らかに目立つのが、国公立大学の偏差値45~49に該当する大学への入学者数が極端に少ないことです。

一方私立大学に関しては、偏差値40~44の大学の入学者数が最も多いことが分かります。
この表からは、Fラン大学への入学者数は全体で見ると決して少なくないけれど、国公立に関してはかなり少ないのが分かります。
Fランク大学の実態② | 退学率

では、Fラン大学の退学率をみていきましょう。
▼偏差値別退学率
偏差値 | 私立退学率 | 国公立退学率 | 合計退学率 |
---|---|---|---|
39 | 17.2% | – | 17.2% |
40〜44 | 16.9% | – | 16.9% |
45〜49 | 11.6% | 6.7% | 11.5% |
50〜54 | 8.0% | 3.8% | 6.8% |
55〜59 | 6.0% | 3.6% | 5.0% |
60〜64 | 3.4% | 1.6% | 2.9% |
65〜69 | 3.2% | 2.4% | 3.0% |
70以上 | 3.0% | 1.5% | 2.2% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
Fラン大学に該当する偏差値49までの大学の中退率は、他の偏差値区分と比べてかなり高いです。
全体的に中退率の低い国公立でさえ、偏差値45~49の中退率は6.7%となっています。
偏差値50以上の大学と比べるとFラン大学の退学率はかなり高い数値ですね。

Fラン大学に入学する人の中には、「明確な目的がないままにとりあえずFラン大に入った」という人たちも多くいます。
その結果、大学へのモチベーションが維持できずに中退を決意するケースが多いと考えられます。
Fランク大学の実態③ | 一般入試の入学者割合

次に、Fラン大学における一般入試の入学者割合をみていきましょう。
大学の一般入試とは、各大学が個別に作成した試験の点数によって合否を判定する仕組みのことです。
この一般入試は完全に学力勝負で、「英検を取得しているから」などの理由で合否が左右されることはありません。
ここで、「一般入試をクリアすることで入学する学生の割合」を偏差値別に見てみましょう。
▼一般入試の入学者割合
偏差値 | 私立 | 国公立 | 合計 |
---|---|---|---|
39 | 14.2% | – | 14.2% |
40〜44 | 26.3% | – | 26.3% |
45〜49 | 40.9% | 64.1% | 41.3% |
50〜54 | 48.1% | 67.2% | 53.8% |
55〜59 | 58.0% | 74.7% | 64.2% |
60〜64 | 62.5% | 90.3% | 71.8% |
65〜69 | 61.5% | 92.2% | 72.4% |
70以上 | 63.7% | 89.9% | 76.3% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
このデータを見ると、偏差値が低いほど一般入試で入学する人の割合が低くなることが分かります。
特に、Fラン大に分類される大学の中でも偏差値が44を切る大学ではその割合が極端に低いですね。

また、国公立大学で偏差値60を超える大学は、約9割が一般入試入学で、純粋に学力だけで合否を判定しています。
Fランク大学の実態④ | 就職率

さらに、Fラン大学の就職率を見ていきましょう。
Fラン大学に通う人には、大学を卒業することで「大卒」の肩書をゲットし就職活動や将来の出世を有利に進めたい人が多くいます。
では、実際のFラン大学卒業生の就職率を見ていきましょう!
▼偏差値別就職率
偏差値 | 私立就職率 | 国公立就職率 | 合計就職率 |
---|---|---|---|
39 | 67.8% | – | 67.8% |
40〜44 | 61.5% | – | 61.5% |
45〜49 | 64.4% | 76.5% | 64.7% |
50〜54 | 67.6% | 76.6% | 69.6% |
55〜59 | 72.9% | 77.3% | 74.6% |
60〜64 | 76.6% | 77.0% | 76.7% |
65〜69 | 73.7% | 69.8% | 72.4% |
70以上 | 74.9% | 73.9% | 74.4% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
Fラン大学の就職率はおよそ6割から7割の間で、偏差値50以上の大学と比較するとやや低めとなっています。
特に偏差値60以上の大学と比較するとその差は10%を超え、大学卒業といっても大学のランクの差で就職率に差があることが分かります。
Fランク大学の実態⑤ | 進学率

最後に、Fラン大学の進学率を見ていきましょう。
進学率とは、大学を卒業後に大学院へ進学する人の割合を示した数値です。
では、
▼偏差値別進学率
偏差値 | 私立進学率 | 国公立進学率 | 合計進学率 |
---|---|---|---|
39 | 4.9% | – | 4.9% |
40〜44 | 4.6% | – | 4.6% |
45〜49 | 3.8% | 0.4% | 3.8% |
50〜54 | 4.1% | 3.9% | 4.0% |
55〜59 | 4.0% | 4.9% | 4.4% |
60〜64 | 4.3% | 6.0% | 4.7% |
65〜69 | 5.9% | 11.5% | 7.8% |
70以上 | 8.5% | 14.7% | 11.4% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
進学率に関しては、偏差値以前に私立と国公立で大きな違いが見られます。
特に、偏差値65以上の国公立大学似通う学生は1割以上が大学院へ進学しています。
10人に1人と考えると、決して少なくない数字ですね。
肝心のFラン大学生の進学率は、3%〜5%と低めの数値となっています。

Fランク大学の5つの実態を調査した結果

さて、Fラン大学の実態を調査した結果、多くの特徴が見えてきました。
この章では、今回の調査で分かった「Fラン大学の特徴」についてさらに細かくまとめていきます。
- 全大学入学者におけるFラン大学生の多さ
- 大学退学者におけるFラン大学生の多さ
- Fラン大学生と定員割れ大学の関係性
- Fラン大学生の進路決定率の低さ
- Fラン大学卒業時の就職率の低さ
では、詳しく見ていきましょう!
実は全大学入学者の32%がFランク大学生
実は、全大学入学者の32%がFランクの大学生ということが分かりました。
Fラン大学というと、人から見下されるなどあまり良いイメージを持たれないものですが、実際Fラン大学に通う人は全体の32%もいるのです。

▼偏差値別全入学者に対する比率
偏差値 | 私立 | 国公立 | 合計 |
---|---|---|---|
39 | 2.3% | – | 2.3% |
40〜44 | 17.3% | – | 17.3% |
45〜49 | 12.2% | 0.2% | 12.4% |
50〜54 | 12.5% | 3.7% | 16.2% |
55〜59 | 16.0% | 5.2% | 21.1% |
60〜64 | 9.4% | 1.1% | 10.6% |
65〜69 | 9.8% | 1.6% | 11.3% |
70以上 | 6.7% | 2.0% | 8.7% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
Fラン大学の偏差値は39〜49になるので、表の上から3つの合計がFランク割合になります。
全大学生の中でFランクの大学生が占める割合です。

Fランク大学生たちは決して少数派ではなく、むしろ割と高い割合ということを覚えておこう。
全大学退学者の45.6%がFランク大学生
しかし、全大学退学者の45.6%がFランク大学生であり、入学者が多く中退者も多いのが特徴です。
先ほど紹介した退学率の表から、Fランク大学のみに注目すると以下のようになります。
▼偏差値別退学率
偏差値 | 私立退学率 | 国公立退学率 | 合計退学率 |
---|---|---|---|
39 | 17.2% | – | 17.2% |
40〜44 | 16.9% | – | 16.9% |
45〜49 | 11.6% | 6.7% | 11.5% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
先ほどと同じようにFランクの大学の退学割合を合計すると、なんと45.6%です。
全大学の退学者の中でFランク大学での退学者の割合はかなり高い数値となっています。



全Fラン大学生の61.2%は定員割れの大学に在籍
また、Fラン大学に通う学生の61.2%、定員割れしている大学に在籍しています。


では、偏差値別に大学の充足率を比較していきましょう。
- 定員数に対する入学者の割合
- 100%を超えていれば定員を超える入学者がいる
- 在籍生徒数÷大学の定員で計算
▼偏差値別充足率
偏差値 | 私立充足率 | 国公立充足率 | 合計充足率 |
---|---|---|---|
39 | 78% | – | 78% |
40〜44 | 93% | – | 93% |
45〜49 | 113% | 112% | 113% |
50〜54 | 115% | 106% | 112% |
55〜59 | 118% | 111% | 115% |
60〜64 | 114% | 110% | 113% |
65〜69 | 115% | 111% | 114% |
70以上 | 117% | 113% | 116% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」

Fラン大学の中でも偏差値がより低めの大学は、在籍生徒数が定員数を下回っていることが分かります。
前半に紹介した入学者数のデータを見ると、Fラン大学の入学者数は全体で50,112人でした。
そのうち、定員割れしている偏差値44以下の大学の入学者数は30,709人です。
結果として6割ほどのFラン大学生は定員割れしている大学に在籍していることが分かります。
Fラン大学生の4割弱は卒業時点で進路が決定してない
結局大事なのは、Fラン大学を卒業した後に、学生が目指す進路に進めているかどうかという点です。
本来は大学卒業後の進路は卒業時点で決まっているべきことですが、Fラン大学の学生は決まっていない人も多いのです。

では、Fラン大学生たちの進路決定率を見ていきましょう。
▼偏差値別進路決定率
偏差値 | 私立 | 国公立 | 合計 |
---|---|---|---|
39 | 72.7% | 72.7% | |
40〜44 | 66.0% | 66.0% | |
45〜49 | 68.3% | 76.9% | 68.4% |
50〜54 | 71.6% | 80.5% | 73.6% |
55〜59 | 76.9% | 82.3% | 78.9% |
60〜64 | 80.9% | 83.0% | 81.4% |
65〜69 | 79.6% | 81.4% | 80.2% |
70以上 | 83.4% | 88.6% | 85.8% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
このデータを見ると、Fラン大学生の3割から4割は、卒業時に進路が決定していないことが分かります。

卒業するまでに就職先が決まらないケースが割と多く、そのままアルバイトを継続してフリーターになる人も多いのです。
就職するためにFラン大学へ進学するのは正解なのか
ここまでのFラン大学の特徴を考慮すると、就職のためにFラン大学することに疑問を覚えます。
就職するための大卒資格を目指してFラン大学へ進学するのは、あまり現実的ではありません。
それは、Fラン大学卒業生の就職率は、より偏差値の高い大学卒業者より低いからです。
さらには、退学率も高く、入るのが簡単なだけではなく辞めるのも簡単な大学だからです。
▼偏差値別就職率
偏差値 | 私立就職率 | 国公立就職率 | 合計就職率 |
---|---|---|---|
39 | 67.8% | – | 67.8% |
40〜44 | 61.5% | – | 61.5% |
45〜49 | 64.4% | 76.5% | 64.7% |
50〜54 | 67.6% | 76.6% | 69.6% |
55〜59 | 72.9% | 77.3% | 74.6% |
60〜64 | 76.6% | 77.0% | 76.7% |
65〜69 | 73.7% | 69.8% | 72.4% |
70以上 | 74.9% | 73.9% | 74.4% |
参考:大阪経大論集・第64巻第1号・2013年5月「大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析:社会科学系学部のケース」
就職先の規模や種類はかなり異なるため、一概に就職率だけを比較することはできません。
しかし、多くの学生が就職を希望する「大企業」や「上場企業」へ就職できるFラン大学卒業者が少ないことは想像できます。
それは、企業側が学生の学歴だけを見て書類審査で落とすことが一般的だからです。
企業へ応募してくる膨大な数の学生に線引きするのに、最も簡単で手取り早いのが「学歴」で区切る方法です。



この記事を読んで、「Fランでも就職率それなりに高いし、大丈夫!」と思った人は要注意です。
もしも目指す企業が大企業や有名な企業である場合、Fラン大学というだけの理由で採用されない可能性が十分にあるということです。
そこで、視点をガラッと変えて違う方法で就職を目指す手段も知っておいた方が身のためです。
それは、有償の社会人インターンです!
- 学歴や職歴に自信のない人向け
- 自分の欲しいビジネススキルを習得できる
- 2年間のインターンを経て転職を目指す
▼選べるコース

「大学受験→大学卒業→就職」より「インターン(2年間)→転職」の方が、確実な将来が近づきませんか?
- まずリバラボ で働く
- スキルと実績を積む
- 高収入・高待遇な優良企業に転職
さらに、リバラボインターンシップは結果を出した分だけ給料に反映されるので、やりがいもあります。
お金を稼ぎながら、将来さらに稼ぐための下準備ができると考えれば、ポジティヴなことだらけですよね。
まとめ
今回は、Fラン大学の実態を詳しく解説してまいりました。
- 入学者数は大学全体の3割以上を占める
- 退学率が高い
- 4割近くの学生が卒業時に進路が決まっていない
「大卒の資格=就職活動安泰」と甘く見ていると痛い目に遭う可能性は十分にあります。
そして、Fラン大学を卒業しても、結局その先の将来が不確かなままになってしまうケースも多いです。
もちろん、Fラン大学卒業後、目指す就職先への就職が決まったという成功例もあります。
しかし、その場合にはただ単に卒業するだけでなく、資格やスキルなど+αの努力をしている場合がほとんどです。
これからFラン大学への入学を検討される方には、この実態をしっかり理解した上で判断していただきたいです。