大学院卒に対する世間のイメージは、「頭良さそう!」「エリートっぽい」などポジティブなものが多いです。
実際、大学院卒は就職活動や入社後の待遇などでも優遇されるのが一般的。
しかし、大学院卒ならどの大学でも同じなのかというと、決してそうではありません。
今回のテーマは「Fラン大学の大学院に行く意味」です。
この記事を読むことで、
- 大学院に進学する理由やメリット
- Fラン大学院に進学する価値があるのかどうか
が分かります。
大学卒業後の進路に悩む方にとって、非常に参考になる内容ですよ!




大学生が大学院に進学する5つの理由

大学生が大学院に進学することで得られるメリットは確かにあります。
だからこそ、大学院へ進学する学生がいるというわけです。
この章では、大学生が大学院に進学する理由を5つのポイントにまとめて紹介していきます。
1.学歴ロンダリングするため

出身大学よりもレベルの高い大学の大学院に進学して最終学歴の大学レベルを引き上げること
学歴ロンダリングをして、ハイレベル大学の大学院卒という肩書きを得ることができれば、周りからも一目置かれますし、何より就活の際に有利です。
本来であれば、大学院へ進学するのは「大学での4年間で学んだことをさらに深く勉強、研究したい」などの目的であることが多いのですが、良い学歴を取得することを目的に大学院へ進学する人もかなり多いのです。
2.学生生活を延長するため
大学院へ進学すれば、最低でも2年間は学生生活を延長することになります。
大学院進学の理由が、「まだ社会にでずに学生生活を味わっていたい」という人は案外たくさんいるもの。
確かに学生生活は社会人生活に比べて、責任や時間に縛られない自由度の高い毎日が送れるため、そこに価値を見出す人の気持ちも分からなくはありません。

3.研究職がある就職先を狙っているため
大学院を卒業することで、「修士号」という学位を得ることができます。
大学院の修士課程(2年間)を修了した後に授与される学位のこと。大学の4年間で得られる学位は「学士」、その後に続くのが修士課程(2年間)となります。
狙っている就職先が、企業の研究職である場合には多くの場合「修士号」の取得が必要となります。
そのため、明確な希望就職先があり、修士号を取得して研究職になるための就活にチャレンジする目的で大学院に進学する人もいます。

4.大学の教授職を狙っているため
大学院を卒業することで得られる学位には、先ほど紹介した修士の他に「博士号」があります。
大学院の修士課程を修了後に博士課程の入試に合格してさらに3年間の課程を終了することで得られる学位のこと。修士号よりもさらに上の学位で、博士号は学位の中でも最高レベルに値します。
大学の教授になるには博士号を取得する必要があるため、将来大学教授を目指す人は大学院進学への道を避けて通ることはできません。


大学院で博士号を取得するためには、博士論文を通し、学位の審査をパスする必要があります。
仮に単位が足りていても、博士の審査に合格していなければ博士号は取得できず、そのまま大学を去ることになれば「単位取得中退」という扱いになります。
大学院で博士号を取得するということ自体が、難易度の高いことであることも知識として覚えておくと良いでしょう。
5.初任給から高い報酬が得られるため
就職したらより高い報酬をもらいたいと考えるのは人の心理として自然なことですが、学歴は収入にも大きく影響を及ぼします。
大学院卒は、大卒以上の水準を設けられており、初任給の段階で大卒よりも高い給料をもらえる場合がほとんど。
そのため、高収入を目指すために大学院へ進学するという人も少なくありません。
▼学歴別初任給
男性 | 女性 | 男女計 | |
大学卒 | 212,800円 | 206,900円 | 210,200円 |
大学院卒 | 239,000円 | 238,300円 | 238,900円 |
参考:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
ご覧の通り、男性女性共に大卒よりも大学院卒の方が初任給が2~3万円高いです。
月に3万円違えば年間36万円の差に膨れ上がるわけですから、この差は大きいと捉える人が多いのも納得です。
Fラン大学の大学院に進学する価値はあるのか検証

大学院に進学する理由を理解したところで、ここからは、Fラン大学の大学院に注目してみましょう。
大学院に進学することで得られるメリットは大きいですが、それはFラン大学の大学院でも得られるのか、ここでしっかり検証していきます。
この章では、先ほど「大学生が大学院へ進学する理由」として紹介した5つの項目毎に、Fラン大学院の場合はどうなのかを解説しています。
1.学歴ロンダリングしたい場合
学歴ロンダリングとは、大学卒業後によりレベルの高い大学の大学院へ進学することで成り立つものです。
ここで言う「よりレベルの高い大学の大学院」とは、同じFラン大学のくくりの中で、「ちょっとだけ偏差値が高い」などのレベルの話ではありません。
学歴ロンダリングになるとすれば、Fラン大学を卒業した後に、
- 有名大学院
- 高偏差値の大学院
へ進学できた場合のみです。


2.学生生活の延長する場合
学生生活の延長を目的に大学院へ進学する場合に考えなければならないのが、
- 貴重な20代を2年間も費やす
- 高額な学費を費やす
ということです。
ちなみに、大学院の学費がどのくらいかかるのかをここで紹介しておきましょう。
▼私立大学大学院における入学料と初年度授業料
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | |
博士前期課程 | 759,865円 | 207,292円 | 74,299円 |
博士後期課程 | 606,954円 | 198,103円 | 53,036円 |
専門職学位課程 | 1,128,819円 | 191,373円 | 66,522円 |
参考:文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
このデータは博士課程のものですが、博士課程前期を参考に2年間の大学院の学費を算出してみると、
となります。

大学院進学によってあなたの将来がより良くなるのであれば、時間とお金をかけて大学院に行く意味はもちろんあります。
しかし、仮にあなたが「もうちょっと学生気分を楽しんでいたいな」「気楽に遊んでいられる生活をあと2年続けたいな」などの曖昧な理由で大学院進学を目指すのであれば、賢い選択とは言えません。
3.研究職がある就職先を狙っている場合
Fラン大学の大学院生の中には、研究職がある就職先を狙っている人たちが多くいます。
しかし、同じように有名大学やレベルの高い大学の大学院生も同じゴールを目指していることを忘れてはいけません。
言うまでもありませんが、Fラン大学院生よりも有名大学の大学院生の方が就職においては圧倒的に有利です。
その理由には、
- 研究技術が高く高度な知識を身につけている
- 研究環境自体が整っている
- 大学のランクが就職に影響する
などが挙げられます。
以上のことを考えると、Fラン大学院から研究職を目指すこと自体がスマートな選択とは言えません。
4.大学の教授職を狙っている場合
大学院教授職を狙うために大学院で博士号を取得する人がいることは先ほどもお伝えした通りですが、博士号さえ取得すれば簡単に大学教授になれるわけではありません。
ここでポスドク問題について説明しておきましょう。
大学院で博士号(ドクター)取得後に任期制の職に就いている研究者や、そのポスト自体を指す。
正式にはポストドクターと言う。
ポスドク問題と言うのは、博士号を持つ人材が将来展望を描けず、不安定な身分のまま宙ぶらりんの状態を継続していることで、この主な原因は以下の3つです。
- 大学や研究機関の正規職員になる道が十分に整備されていない
- 博士課程進学者は上昇傾向だが、大学や研究機関のポストは増えていない
- 民間企業は博士課程修了者の採用に積極的ではない


せっかく苦労して時間とお金をかけてまで取得した博士号が、将来の就職に繋がらないとなると、進学する意味があるのかさえ分からなくなってしまいます。
Fラン大学の大学院生に進学した場合、博士号を取得しても卒業後の道はかなり険しいものになると覚悟する必要がありますね。
5.初任給から高い報酬を得たい場合
確かに、大学院卒の方が大卒よりも初任給が高いのは前半にお伝えした通り事実です。
毎月2~3万円ほど高い給料をもらえる大学院卒ですが、単純にこの差だけで大学院への進学を考えるのは良くありません。
なぜなら、大学院に通うためにかなりの費用(2年間で190万円ほど)をすでに投資しており、その上社会人デビューも大卒より2年間出遅れてしまうからです。


▼大卒と大学院卒の収入差異
初任給 | 年間の収入 | |
大学卒 | 210,200円 | 2,522,400円 |
大学院卒 | 238,900円 | 2,866,800円(大卒より344,400円高い) |
参考:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
このデータから考えると、大学院生が2年間大学院に通う間に大卒が得られる収入は2,522,400円×2年=5,044,800円となります。
この間大学院生の収入はゼロなので、スタート時点ですでに500万円ほどの差がついていると言えます。
500万円の差を埋め、大学院卒が大卒の総収入に追いつくタイミングはいつなのかを考えると、
となります。


大学院を卒業して修士や博士の学位を取得することで、目指す就職先へのチャレンジが可能になるなどのメリットはあります。
ただ、そのメリットはFラン大学の大学院では不十分であるとも言えます。
となると残りは「大卒よりも稼ぐため」と言う理由になりますが、これに関しても先程の計算で示した通り、疑問が残る結果となるのです。
結論:Fラン大学の大学院に行く価値はあるのか

さて、ここまでの内容から、結論Fラン大学の大学院に進学する価値があるのかどうかを判断してみましょう。
どのような場合においてその価値があるのか、またその価値がないのかを解説します。
1.ほとんどのFラン大学院に行く価値は低い
まず結論から言って、Fラン大学の大学院への進学によるメリットは非常に少ないため、進学の価値は低いです。
年間おおよそ100万円ほどの学費を支払って大学院に通ったところで、Fラン大学の場合においては、
- 学歴ロンダリングにはならない
- 就職に有利になるとも限らない
となります。
大学院生で博士の学位を取得したところで、大学教授や研究職に就くことことができなければ、次に目指すのは民間企業でしょう。
民間企業は、高い給料を払ってまで大学院卒を積極的に雇用しようとはしません。
このような悪循環を考えると、Fラン大学の大学院に通う価値は非常に低くなると言えます。
2.Fラン大学院の教員を目指す方には価値がある
Fラン大学院に通う意味があるとすれば、それは「Fラン大学の大学院教員」を目指す場合です。
なぜなら、Fラン大学の大学院では研究者教員よりも企業で実務を積んだ教員を求める大学院がそれなりにあるからです。
もっと言えば、Fラン大学院に研究教員を雇う意味があまりなく、どちらかと言えば企業で働く際に役立つ教養を教えることができる教員でこと足りるということ。
それでも大学院の教員には修士の学位が必要となるため、Fラン大学院で修士の資格を取得してFラン大学院の教員になるという道が有効になるのです。

かなり限定的になりますが、Fラン大学院の教員を目指す場合に限っては、Fラン大学院に進学する価値があるという結論になります。
まとめ
今回のテーマはFラン大学院に進学する価値の有無でしたが、いかがでしたでしょうか。
結論、ほとんどの場合においてFラン大学院に進学する価値は低いという結果になりましたね。
将来少しでも良いところに就職したい、少しでも高収入を得たい、と考えるなら大学院進学以外の方法も検討していくのがおすすめです。
リバラボインターンシップでは、学歴に自信がない、就活に不安を感じる人たちのために、インターンシップの場を提供しています。
リバラボインターンシップを活用すれば、
- 就職に有利なスキルと実績をインターンで身につけることができる!
- スキルと実績を身につけながら給料も支給されるので安心!
- インターン後の就職活動はリバラボインターンシップがサポートしてくれる!
など、メリットはかなり大きいです。
今の時点で、思い描く将来の展望が描きづらいと感じたら、自分自身のスペックを上げるのが一番です。
学歴を上げる以外にも、スキルを身につけるという方法で、「企業から欲しがられる人材」になることは十分に可能です。
リバラボインターンシップについて少しでも気になったら、ぜひこちらも覗いてみてくださいね!