2018/12/07
最近TVなどで取り上げられることが多いニュースのひとつに、現在政府が検討を進めている外国人労働者の受け入れ拡大があります。衆参両院では委員会が立ち上げられ、関連法の改憲などについて審議を重ねています。
政府の目的は、少子高齢化のため、慢性的な人手不足に陥っている建設・農業・介護など5業種の救済です。5年間で最大34万人を受け入れることを目標にしています。
2018年11月時点の日本人の総人口は1億2645万人で、15歳から64歳の生産年齢人口は7484万3915人と6割を切り、さらに出生数は94万8396人と過去最少となりました。対照に65歳以上の老年人口は3544万5千人と増加を続けています。
これだけを見ると、確かに労働力の確保は喫緊の課題であるといえます。
ところが単純に労働力人口で見ると、2017年は6720万人と、5年連続で増加しています(総務省「労働力調査」から)。内訳として就業者は6530万人、完全失業者は190万人となっています。
働き手である生産年齢人口は減っているのに、なぜ労働力人口は増えているのでしょうか?
これは女性や高齢者に働く場と機会を積極的に提供していこうという社会情勢により、これまで活躍することができなかった人材が社会に復帰する環境が整ったためであり、政府が提唱する働き方改革が成立したことで、労働力人口は今後も比較的高い水準を維持できるといわれています。
労働力人口と生産年齢人口、同じもののように思えますが実際は異なるものです。
65歳以上で働いている人は64歳を上限とする生産年齢人口には含まれませんが、労働力人口には含まれます。65歳以上を労働力人口から除いてみると就労者は5899 万人、減少したと言われている非正規雇用は未だ30%近くを占めています。
こちらも問題ではありますが、15歳から64歳であっても労働する意思や能力を持たない場合、労働力人口に加算されないことにも注視すべきです。この中には病気のためであったり、何らかのやむを得ない事情により就労することができない人もいるはずです。「引きこもり」の長期化のため40代・50代になった当事者を、70代・80代の親たちが支えている8050問題もその例でしょう。
労働力の確保のため外国人の受け入れに取り組むのも手段のひとつではありますが、政府にはどこにも属することができない人々に手を差し伸べるような、キャリアの有無に関わらず意欲がある人材には挑戦する機会を提供する仕組みづくりなどについて、もっと本腰を入れて議論してほしいと願っています。
適切な支援さえあれば開花する、そんな可能性を秘めた人材が日本にはまだまだ眠っているのですから。