適切な性格診断を受けて、就職活動に活用したいと考える人は少なくありません。MBTI診断（16パーソナリティ）は、16のタイプの中から自分の性格傾向がわかるテストです。診断を受けたうえで日常生活で活かす方法がわかると、自分に合った職業選択が目指せるでしょう。
この記事では、MBTI診断（16パーソナリティ）の巨匠型（ISTP）について、職業選択や日常に活かす方法を解説します。
MBTI診断（16パーソナリティ）とは
MBTI診断（16パーソナリティ）は、16のタイプの中から自分の傾向がわかる性格検査です。心理学者ユングが提供した心理学的類型論をベースとし、キャサリン・ブリッグスとイザベル・マイヤーズ親子が開発しました。
MBTI診断（16パーソナリティ）は、性格の良し悪しや得意不得意を知るだけでなく、診断結果を活用し自己理解を深められるテストです。心のエネルギーの方向や人との関わり方の傾向を理解すると、仕事やチーム活動での自分のあり方がわかります。
MBTI診断を自己分析に活用し、人間関係の理解やよりよい職業選択につなげるきっかけにしましょう。
巨匠型（ISTP）とは
巨匠型（ISTP）は、主に以下のような性格特徴を持ちます。
強み
- 自立心が強い
- 楽観的
- 多角的な視点を持つ
弱み
- 用心深い
- 社交性にかける
落ち着いた見かけによらず、自身が必要だと感じたことなら新しい環境であっても果敢にチャレンジします。楽観的でリラックスしているように見えますが、リスク管理を徹底して行うタイプです。何かを始める際は、ものごとのメリットとデメリットをよく考えてから行動します。自由なふるまいを好むため、仕事では自分のペースで取り組めるような環境に身を置きたいと考える人物です。
ただし、分析力が高いためものごとのネガティブな部分にも気づきやすく、物の見方が批判的になる側面があります。リスク回避の際には有利ですが、上司の変更や異動など、自ら制御できない状況においては警戒しすぎることも少なくありません。また、社交性にはかける傾向があり、対人関係では消極的な面が見られます。
巨匠型（ISTP）を構成する4つの指標
巨匠型（ISTP）の心理構成は、MBTI診断に用いる4つの項目から説明できます。
| 巨匠型（ISTP）の心理構成 | ||
| 外向型（E） | 心のエネルギーの方向 | 内向型（I） |
| 感覚型（S） | 情報の取り方 | 直感型（N） |
| 思考型（T） | 判断の仕方 | 感情型（F） |
| 判断型（J） | 外界への接し方 | 知覚型（P） |
巨匠型（ISTP）は、上記4つの指標の内向型 (Introverted)、感覚型 (Sensing)、思考型 (Thinking)、知覚型 (Perceiving)を組み合わせた性格タイプです。
心のエネルギーの方向とは、日常で考え事をする際の傾向とも言い換えられます。会話しながら思考を整理したい外向型（E）とは異なり、内向型（I）は自身の考えを口に出したがらないタイプです。
情報の取り方は、見る、聞く、味わう、嗅ぐ、触るの五感の感じ方と捉えると考えやすいでしょう。たとえば、リンゴを見たときに直感型（N）は「農家、アップルパイ、青虫」のように、無意識的に既存の情報から可能性や関連性を見出します。一方、感覚型（S）は「赤くて丸い、手のひらほどのサイズ」と見たままの情報を捉えるタイプです。
判断の仕方は、論理的、感情的の2タイプに分かれます。自身を基準にした場合どう感じるかで考える感情型（F）に対し、思考型（T）は自分と対象に距離を置いて論理的に考えるのが好きです。
外界への接し方とは、行動の仕方についての指標といえます。スケジュールに沿った行動を好む判断型（J）とは異なり、知覚型（P）は行き当たりばったりに強く変化を好むタイプです。
巨匠型（ISTP）の社会での対人関係
巨匠型（ISTP）の社会での対人関係の傾向は、以下のとおりです。
- 穏やか
- 偏見がない
- 忠実
- 感情的
穏やかな雰囲気を持ち人当たりがよいため、関わる人を心地をよくさせる存在です。他者に偏見を持たずありのままを受け入れる傾向があり、人々に対して公平な態度を保ちます。社会にいるさまざまなバックグラウンドを持つ人々に対して、真摯に対応できる世渡り上手なタイプです。家族や特に仲のよい友人には、時間とお金をかけて愛情表現します。
ただし、対人関係のもつれが生じると、自らの主張が感情的になってしまうことも少なくありません。普段なら建設的に判断できるようなものごとでも、感情が高まると冷静な対処が難しくなります。特に、対立や誤解が生じる場面で気持ちが高ぶりやすいため、相手との関係を乱さないよう注意が必要です。
巨匠型（ISTP）の職業選択とキャリアパス
巨匠型（ISTP）に合った仕事やキャリアパスを知り、自分の可能性を広げたいと考える人も多いでしょう。職業や職場環境への向き不向きは、MBTI診断で明らかになった性格特徴から考察できます。
巨匠型（ISTP）に向いている職業と職場環境
以下は、巨匠型（ISTP）に向いていると考えられる職業です。
- エンジニア
- 技術者（飛行機、電気システム、空調機械）
- 検査官
- 鑑識官
分析力の高いISTPは、複雑なシステムの理解が求められるエンジニアや技術者として力を発揮します。問題解決能力にも優れているので、システムにトラブルが起こっても慌てず冷静な対処が可能です。
また、ISTPは検査官や鑑識官のような細心の注意を求められる仕事にも向いています。検査官に求められるルールの暗記や、鑑識官に必要な多角的な視点での考察は、ISTPの得意分野です。
上記の職業は一人または少人数で行えるという意味でも、ISTPに最適であると考えられます。
巨匠型（ISTP）が避けたい職業と職場環境
以下は、巨匠型（ISTP）にとって避けたほうがよいと考えられる職業です。
- アーティスト
- マネージャー
- ケースワーカー
- 受付
ISTPは自分の行いが形に残る仕事が好きなので、アーティストのようなクリエイティブ業より実践的な職業を好みます。さらに、実践的な分野の職業の中でも、プロジェクトを先導するより自らが細かい作業に取り組むほうが好きです。リーダーやマネージャーのような、組織や戦略について考える立場はあまり気が進みません。
また、不特定多数と関わるのが苦手な傾向にあるので、ケースワーカーや受付のような対人スキルを求められる仕事ではストレスを感じやすいでしょう。
「ISTP-A」と「ISTP-T」の違い
「ISTP-A」または「ISTP-T」と診断され、 AとTの違いが気になる人も多いでしょう。それぞれには性格の違いがあり、同じISTPでも行動や思考の傾向が異なります。
「ISTP-A」の特徴
ISTP-Aは「自己主張型」と言われ、以下のような長所と短所を持ちます。
長所
- 自信に満ち溢れており、確信を持って行動する
- リーダーとしての素質がある
短所
- 自己主張が強すぎるうえ、自信過剰
- 細部への気配りは苦手
自身の考えや行動に自信を持っているISTP-Aは、自らの決めごと事に確信があるため積極的な行動が得意です。アグレッシブな姿からリーダーとして選任されることも多く、周りから頼られる存在でもあります。
一方で、自分の信念を大切にするあまり、自己主張が強すぎると思われることも珍しくありません。また、目先の目標達成にとらわれ、細かなポイントや周囲の意見を見過ごしてしまいがちです。
チームを率いる天性のリーダーシップを育てつつ、定期的に細かいポイントのチェックを行うようにするとISTP-Aの持ち味を活かせるでしょう。
「ISTP-T」の特徴
神経型と言われるISTP-Tには、以下のような特徴があります。
長所
- 共感力が高い
- 目標に対して努力を惜しまない
短所
- 周りから受ける批判を想像しがち
- なかなか行動に移せない
ISTP-Tは人の考えによく気づき、関わる人々からは共感力が高いと評される人物です。努力家な側面もあるので、仕事や頼みごとを安心して任せられる存在でもあります。
ただ、ISTP-Tはもともと敏感気質であり、本人は社会での生きづらさを感じている場合も少なくありません。周りから受ける批判を想像し、自分の意志で行動に移せないという特徴もあります。
ISTP-Tの気配り上手な部分や勤勉な姿は信頼感につながるため、目の前の仕事を実直に行っているうちに重要なポジションを任される可能性があるでしょう。
巨匠型（ISTP）の強みと弱みのバランス
強みを伸ばすと得意なことの発見につながり、弱みをカバーするアプローチを知ると世の中で生きやすくなります。
冒頭で、巨匠型（ISTP）には以下のような強みと弱みがあると紹介しました。
強み
- 自立心が強い
- 楽観的
- 多角的な視点を持つ
弱み
- 用心深い
- 社交性にかける
巨匠型（ISTP）が能力を最大限に発揮できるような方法を、次節より解説します。
巨匠型（ISTP）の強みを活かす方法
巨匠型（ISTP）の強みを活かすには、自らが快適と感じられる範囲内で新たなチャレンジをするのがオススメです。ISTPが持つ強みは、以下の3点でした。
- 自立心が強い
- 楽観的
- 多角的な視点を持つ
百聞は一見にしかずと言いわれるように、次なるレベルや未知の世界に進むには新たな環境に飛び込むのが一番の近道です。自分に必要だと感じるイベントがあれば、積極的に参加しその場にいる人々との交流を楽しみましょう。未知なる発見や自己改善のヒントがわかり、今よりも自分に合った環境を手に入れられるはずです。
なお、ISTPが新たな環境に飛び込む際は、無理に自分を変えようとする必要はありません。自身の快適ゾーン内でのふるまいを心がけるのが、ISTPの継続のコツです。
巨匠型（ISTP）の弱みを克服するアプローチ
巨匠型（ISTP）の弱みを克服するには、注意力を活かした関係構築がオススメです。ISTPが持つ弱みは、以下の2点でした。
- 用心深い
- 社交性にかける
用心深さは悪いことではなく、むしろ友好な対人関係を長期的に築くにはなくてはならない要素です。注意力の高さは、社交的な状況において配慮のあるコミュニケーションにつながります。
たとえば、ISTPはこれから会う人について事前にリサーチし、話したいトピックを整理しておきましょう。会話内容に困らないうえ、相手にとっても自分に興味を持ってくれていると感じられ好感度アップの可能性があります。
巨匠型（ISTP）の自己成長のための道筋
前節では巨匠型（ISTP）の強みや弱みについて解説しましたが、長期的に自己成長するには別な視点も必要です。自己成長するうえで起こりうる試練や、さらに高みを目指すための対策を理解しましょう。
自己啓発のための戦略
ISTPが今後長期的な成長を図るには、新たなスキルの習得に力を入れてみましょう。ISTPは自立心と多角的視点を持ち、未知の領域にも果敢にチャレンジできるタイプです。さまざまなことに挑戦しスキルを身につけると、将来活躍できる範囲が広がり職業選択が豊かになります。
気になる領域がある場合、ワークショップや自己学習で積極的にスキルを身につけるのがオススメです。気になるもののお金をかけるにはまだ早いと感じる分野であれば、貸し出し図書で予習をしてもよいでしょう。知識欲が満たされるうえ、将来のキャリアアップや趣味の拡充にも大いに役立ちます。
長期的な自己改善のためのヒント
ISTPが今後長期的な成長を図るには、人との社交性を高める工夫をしてみましょう。「巨匠型（ISTP）の強みを活かす方法」において新たな環境へのチャレンジを提案しましたが、対人関係が苦手で一歩を踏み出せないというISTPは少なくありません。
新たな環境に対応できるほどの社交性を強化するには、以下のように快適ゾーンを少しずつ広げていく工夫がオススメです。
- 関わる人数は2〜3人の少人数から
- 無理に会話に入ろうとしない
- 重要度の高いイベントだけ参加する
肩の力を抜いて人と関わるようにすると、ストレスをかけずにコミュニティに溶け込めます。
巨匠型（ISTP）を分析しキャリアパスに役立てよう
巨匠型（ISTP）は、落ち着いた見かけとは裏腹に興味や関心のあることには果敢に挑戦するタイプです。マイペースでリラックスした雰囲気から、ISTPの周囲の人も気を張らずにふるまえます。
ただし、人との関わりに苦手意識を持つ場合は、自分が快適だと感じる範囲内で他者との交流を楽しむのがオススメです。
巨匠型（ISTP）に向いている職業や自己成長の方法を知り、今後のキャリアパス形成に役立てましょう。
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