飲食業界へ就職したい場合、事前に資格を取得しておく必要があるのでしょうか。
答えはNOです。
飲食業界を目指す際に必須となる資格はありません。
しかし、資格を取得しておくことで、就活をより有利に進めることができるのは確かです。
今回の記事では、今後飲食業界に就職を考えている方向けに、
- 就活前に資格を取得しておくメリット
- 飲食業での就活で有利になる資格6選
について解説していきます。
飲食業への就職に資格は必須ではない
飲食業界の仕事は、主に飲食店での「接客」「調理」業務、もしくは本社や支社などでのオフィスワークに分けられます。
多くの場合、飲食業界に就職すると現場である飲食店の「店舗スタッフ」からのスタートになります。
飲食店での勤務に必要なスキルは主に「お客様対応」に関わるものと「調理業務」に関わるもの。
どちらもお店で勤務しながら、学んでいくことができるものであるため、事前に資格を取得しておく必要は特にありません。
「資格がないから就職できないかも」と不安になる必要はない、ということをまずは理解しておきましょう。
資格を取得して飲食業界に就職するメリット
では、飲食業界を目指すにあたって、資格取得は全く意味がないのでしょうか。
そんなことはありません。当然資格を取得しておくメリットはあります!
ここで、飲食業への就職活動に備えて事前に資格を取得しておくメリットを2つ挙げておきましょう。
1.採用される可能性がUP
飲食業に関わる資格を取得している人とそうでない人が仮に最終選考まで残っていて、どちらか1人しか採用されないとしたらどうでしょう。
このとき、2人の職歴や学歴などに大差なければ、唯一の違いである「資格の有無」で最終決定がなされる可能性が極めて高いです。
就活はいかに他の志望者に差をつけることができるかがカギとなります。
資格を持っていることでライバルよりも有利になるとしたら、必須でなくとも資格を取得するメリットは十分にありますね!
2.入社後の出世が早くなる
資格を持たずに就職することが可能な飲食業界ですが、資格を取得して入社することで、「出世スピード」を早めることができるケースがあります。
出世が早いか遅いかは、もちろん日頃の業務に対する取り組み姿勢や、売り上げへの貢献度により決まるものです。
しかし、資格を取得していることで、同期の他のメンバーと比較して、より早く出世できることは少なくありません。
例えば、かなり知名度の高い資格に「ソムリエ」があります。
ソムリエの資格は、飲食店で勤務しながら取得する人が多いのですが、割と難易度が高く、何度も不合格になり、3度目4度目などで合格する人も少なくありません。
ソムリエ資格を入社前に取得していれば、勤務しながら勉強に終われることもありません。
また、洋食のレストランなどでは、ソムリエ資格を持つ人が「マネージャー」や「チーフ」など、早く役職に就くケースもたくさんあります。
あくまでも一つの例ですが、資格を持っていることで出世が早まることもある、という点も大きなメリットと言えます。
飲食業への就職に有利な国家資格3選
資格を持っていると
- 就活で有利になる!
- 入社後の出世が早まる可能性がある!
と理解できた今、「じゃあどの資格を持っておくと良いの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
ここからは、具体的に「飲食業への就職に役立つ資格」を紹介していきます。
まずは国家資格から3つ、
- 調理師
- 管理栄養士
- レストランサービス技能士
以上の資格について紹介していきます。
1.調理師
調理師免許は、調理技術や食に関する専門知識を持っていることを証明する国家資格。
食材についての知識のほか、栄養や衛生に関わる深い知識が求められます。
調理師免許に関する概要は以下の通りです。
受験資格 | 都道府県指定の調理師学校を卒業もしくはアルバイトなどで2年以上調理業務に従事したことの証明が必要 |
試験日程 | 年に1回(日程は各都道府県により異なる) |
受験料 | 6,300円(各都道府県により異なる) |
試験内容 | 四肢択一式 60問:2時間 |
合格率 | 約60% |
受験資格を満たしていなければ受験できない調理師免許。
しかし、レストランや居酒屋なので調理に関わるアルバイトを2年以上経験したことのある方なら、チャレンジしてみる価値が大いにある資格です。
調理師免許を取得するメリットをまとめておきます。
- 料理人としての社会的信用が得られる
- 食に関する正しい知識が得られる
- 飲食業以外にも病院・福祉施設などの就職に役立つ
2.管理栄養士
管理栄養士とは、一人一人に合わせた専門知識と技術を持ち、栄養指導や栄養管理を行う人のこと。
資格は国家資格であり、その難易度は高いものの、管理栄養士の資格を持っておくメリットはかなり大きいため、知っておくと良いでしょう。
管理栄養士試験の概要は以下の通りです。
受験資格 | 管理栄養士要請学校卒業もしくは栄養士としての実務経験要 |
試験日程 | 年に1回(令和3年は2月28日に実施された) |
受験料 | 6,800円 |
試験内容 | 筆記試験 |
合格率 | 約60% |
管理栄養士になるには、まず栄養士の資格を持っておく必要があります。
そのため、誰でも気軽にチャレンジできる資格ではありません。
栄養士は栄養士養成施設で学び卒業することで得られる資格。
栄養士の資格を持った上で管理栄養士になることで、さらに広い分野で活躍することができます。
管理栄養士の資格を取得するメリットは以下の通りです。
- 飲食業界では即管理職として高待遇が期待できる
- 病院や福祉施設への就職にも役立つ
- フリーの管理栄養士として活躍も夢ではない
- スポーツ業界への就職にも役立つ
3.レストランサービス技能士
レストランサービス技能士の資格は、レストランなどでお客様を満足させるために必要とされる接客のテクニックを保有していることを証明する国家資格。
飲食業界では、とにもかくにもお客様満足度が重視されるため、高い技術を持ったレストランサービス技能士は就活において当然有利になります。
レストランサービス技能検定の概要は以下の通りです。
受験資格 | 日本ホテル・レストランサービス技能協会が承認する学校を卒業もしくは1年以上の実務経験が必要(3級) |
試験日程 | 年に1回(学科試験:8月中旬ごろ 実技試験:11月上旬ごろ) |
受験料 | 学科試験:各級6,500円/実技試験:1級23,500円、2級10,500円、3級8,000円 |
試験内容 | 学科試験と実技試験 |
合格率 | 約68% |
レストランサービス技能士の資格取得のメリットは以下の通りです。
- ウェイター・ウェイトレスとしてハイレベルのサービスを提供できる
- レストランのマネージャー職、ホテルの支配人などの管理職へ出世しやすい
飲食業への就職に有利な民間・公的資格3選
続いて、飲食業への就活に役立つ資格を、民間資格・公的資格の中から3つ紹介します。
国家資格でなければ効力が弱いとイメージしている人も多いですが、そうではありません。
民間資格の中には「ソムリエ」をはじめ現場でとても役に立つものが多く存在します。
ここでは、
- ソムリエ
- 利き酒師
- フードコーディネーター
について紹介します!
1.ソムリエ
ソムリエは世界中のワインについての幅広い知見があることを証明する、日本ソムリエ協会認定の民間資格。
知名度が高く、飲食業界では業界のパスポートとも言われているほど、高い威力を発揮する資格です。
ソムリエ資格は1次試験から3次試験までの3段階に分かれています。
非常に難易度が高く、3次試験までのトータルの合格率はおおよそ3割未満であるため、毎年チャレンジし続け数年間をかけて取得するケースが多いです。
ソムリエ資格の試験概要は以下の通りです。
受験資格 | アルコール販売に関わる業務に従事した経験が3年以上ある |
試験日程 | 年に1回(夏から秋にかけて) |
受験料 | 29,600円(日本ソムリエ会員20,380円) |
試験内容 | 1次試験:学科 2次試験:実技(ブラインドテイスティング) 3次試験:実技(サービス実技) |
合格率 | 約30% |
ソムリエの資格を取得するメリットは以下の通りとなります。
- ワインにこだわる飲食店での就職に特に有利
- ソムリエの資格手当を支給する企業もある
ワインを提供する飲食店は非常に多く、ビストロ風のお店やワインバーなどは近年高い人気を集めています。
受験資格を満たすことができる人は、早めの段階でチャレンジし取得しておくことで就職活動を格段に有利に運ぶことができます。
2.利き酒師
利き酒師の資格は日本酒に特化した資格であり、酒の香りや味わいの違いを敏感に鑑定できる能力を保有していることを証明する民間資格。
初めて利き酒師の資格名を耳にした方もいるかもしれませんが、飲食業界で役に立つ資格の一つとして覚えておくと良いでしょう。
利き酒師の資格試験概要は以下の通りです。
受験資格 | 20歳以上 |
試験日程 | 毎月開催(試験会場により日程が異なる) |
受験料 | 58,800円〜(受験プログラム・講座受講料セット) |
試験内容 | 筆記試験・実技試験(テイスティング) |
合格率 | 約80% |
利き酒師は日本酒サービス研究会認定の民間資格であり、講習に参加し、試験を受け合格することで取得できる資格です。
そのため費用は講習参加料を含むためやや高めな印象。
利き酒師の資格を取得するメリットは以下の通りです。
- お客様の好みや料理に合わせた日本酒を提供できる
- メニューの提案に関わる業務に就くことができる
利き酒師は日本酒だけでなく、食品や飲料全般にわたる基礎知識も兼ね備えています。
そのため、飲食業界での活躍の幅がぐんと広がります。
20歳以上であれば誰でもチャレンジできるのも嬉しいポイントですね!
3.フードコーディネーター
フードコーディネーターは、日本フードコーディネーター認定の民間資格。
3級から1級まであり、3級は入門レベル、2級はアシスタントレベル、1級はプロフードコーディネーターとして活躍できるレベルです。
フードコーディネーターは、名前の通り食をコーディネートする人のこと。
主に、以下の仕事に携わることができます。
- 食品メーカーの商品開発
- 飲食店のメニュー提案
- 飲食店などにおける写真撮影時のコーディネート
- 食に関わる記事の作成
- 食に関わるイベントの運営
- 食品の陳列手法の提案
これらの仕事は、フードコーディネーターでなくても携わることができますが、資格を持っていることで、より意見が通りやすくなるほか、信用を得やすいなどメリットは多いです。
フードコーディネーターの資格試験の概要は以下の通りです。
受験資格 | 3級:中学校卒業以上 |
試験日程 | 年に1回(11月ごろ) |
受験料 | 11.000円(3級) |
試験内容 | 筆記試験:マークシート形式と記述式(3級) |
合格率 | 約75% |
3級の資格を取得すれば次は2級、1級とチャレンジすることができます。
フードコーディネーターの資格を取得するメリットは以下の通りです。
- 飲食店における空間コーディネートを任せてもらえる
- メディア撮影時に食品の陳列方法などを提案できる
- 飲食店の現場ではなく企画や開発の部署で活躍しやすい
まとめ
今回は飲食業界で働く際に「持っておくと役に立つ資格」を6つ紹介しました。
実務経験が必要な資格も多くありましたが、これまで飲食業にかかわるアルバイト経験などがあれば、条件を満たせるケースもあるため、確認しておくと良いでしょう。
資格が必ずしも必要ではない飲食業界ですが、資格を持っていることで活躍の場が広がり出世が早くなるなどのメリットがあります。
就職活動を開始する前に取得可能な資格を取っておくと、採用される可能性もUP!まさにメリットしかありません。
あなたもぜひ、これから飲食業界を目指すなら、資格取得を検討されてみてはいかがでしょうか。