飲食業界と言えば、給料があまり良くない上に仕事がきついという、ややネガティブなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
とは言え、レストランや居酒屋、バーなどで働きたいと考える人は多く、飲食業は人気のある業界でもあります。
今回は、今後飲食業界での就職を考える人向けに、以下の内容について解説します。
- 飲食業の平均年収
- 飲食業とその他の業界の年収比較
- 飲食業で年収UPをする方法
就職を考える際には、様々な要素を加味して検討するものですが、中でも年収は重要な判断材料。
この記事で飲食業界の年収について理解を深め、今後のキャリアアップに役立ててくださいね!
飲食業の平均年収
飲食業界の年収については、先にお伝えしておくと決して高くはありません。
以下のデータは、飲食業の中でも「居酒屋・バー」と「レストラン」を運営する企業に勤める場合の平均年収を示したものです。
▼飲食業の平均年収
平均年収(全体) | 男性平均 | 女性平均 | |
居酒屋・バー | 347万円 | 365万円 | 301万円 |
レストラン | 343万円 | 375万円 | 292万円 |
飲食業界の平均年収は345万円。
居酒屋、バーのカテゴリーの方がやや年収が高くなっていますが、考えられる理由としては、勤務時間が深夜に及ぶケースが多く、深夜手当が支給されるからである可能性が高いです。
他業種と比較して飲食業の平均年収は低め
飲食業界の平均年収が他の業界と比較してどのくらいの位置付けなのかを理解するため、ここでいくつか他業界の平均年収のデータを用いて比べていきましょう。
▼飲食業と他業種の平均年収比較
平均年収(全体) | 男性平均 | 女性平均 | |
居酒屋・バー(飲食) | 347万円 | 365万円 | 301万円 |
レストラン(飲食) | 343万円 | 375万円 | 292万円 |
証券(金融) | 531万円 | 595万円 | 451万円 |
都市銀行(金融) | 507万円 | 642万円 | 405万円 |
ITコンサル(IT) | 455万円 | 485万円 | 406万円 |
医薬品(医療) | 629万円 | 699万円 | 504万円 |
住宅メーカー(不動産) | 424万円 | 457万円 | 365万円 |
ホテル・旅館(宿泊) | 339万円 | 372万円 | 311万円 |
人材サービス(サービス) | 360万円 | 385万円 | 332万円 |
飲食業とよく比較されるのが宿泊業ですが、「ホテル・旅館」の平均年収339万と、飲食業同様低めです。
残業が多く激務であるホテル勤務もなかなか収入面では厳しいですね。
この表から分かることをまとめると、以下のとおりとなります。
- 他業界と比較しても飲食業の年収はほぼ最下位
- 金融系や医療系は平均年収が高い
- 平均年収が低いのは「サービス業」と言われるカテゴリー
と言うわけで、結論「飲食業界の年収は全体で見ても低い」です。
年収の高い業界を選んで就職したいとお考えの方には、飲食業はおすすめできません。
飲食業の年収が低い2つの理由
飲食業界の仕事はお世辞にも楽ではありません。
それにも関わらず飲食業の平均年収が低い理由は一体どこにあるのでしょうか。
この章では、飲食業の平均年収が低い理由として考えられる2つのことについて解説します。
1.同業他社への転職が多い
平均年収が高い場合、必ずしも最初から設定されている給与の金額が高いわけではありません。
もちろん、他の業界に目を向ければ初任給からかなり高い水準である業界も存在します。
しかし、会社員として勤務していれば、勤続年数が長くなるごとに収入は確実に上がっていきます。
裏を返せば転職の多い業界だと、なかなか全体の平均年収は上がりづらいということになります。
飲食業界は、同業他社への転職が多い業界でもあります。
レストランで働いていた人が、別のレストランに転職するという事例は極めて多く、何社も同じ飲食業界で転職しているケースも珍しくありません。
▼業界別入職率・離職率
こちらのデータを見てお分かりの通り、飲食業界は入れ替わりの激しい業界です。
入職率・離職率ともにどの業界よりも高い数値となっているということは、それだけ長く働く人が少ないということになります。
年数を重ねるごとに昇給するとしても、勤続年数が平均して極端に短ければ、当然全体の平均年収額が高くなることはありません。
2.離職率が高い
一般的に、離職率は「新卒で入社して3年目までに辞める人の割合」を元に計算されます。
飲食業界の離職率は極めて高く、その割合はなんと50%を超えていることが分かっています。
▼新卒入社後3年目までの離職率
出典:農林水産省食料産業局「外食・中食産業における働き方の現状と課題」
ここでも宿泊業と飲食業はセットとなっていますが、このカテゴリーに関しては離職率がずば抜けて高いのです。
3年目までに半数が退職してしまうのですから、これはかなりの高確率ですね。
先ほど飲食業界がいかに入れ替わりの激しい業界であるかをお伝えしましたが、離職率に関しても同じこと。
結局人が定着しにくい業界であれば、それだけ入社時と大きく変わらない収入のまま離職してしまうのですから、平均年収が低い数値となってしまうのはごく自然なことなのです。
飲食業で年収アップを狙う3つの方法
飲食業界の平均年収が低いのであれば、飲食業界に就職しても高収入は一切望めないということなのでしょうか。
答えはNOです。
なぜなら、飲食業界に就職しても高収入を叶え豊かな生活を送る人も確かに存在しているからです。
一体何に気をつければ飲食業界でもしっかり稼いでいくことができるのでしょう。
ここでは飲食業界で高収入を目指すためにできる3つのことについて解説します!
1.大企業を狙う
業界に関わらず、企業規模の大きな会社ほど平均年収は高くなります。
以下のデータをご覧ください。
▼企業規模ごとにみる平均年収比較
規模 | 男性平均年収 | 女性平均年収 |
大企業 | 約640万円 | 約321万円 |
中企業 | 約384万円 | 約290万円 |
小企業 | 約348万円 | 約262万円 |
参考:厚生労働省ホームページ「平成28年賃金構造基本統計調査」
大企業の年収が男女ともに明らかに高くなるのが見てとれますね。
男性の平均年収においては、中小企業と大企業で圧倒的な差があります。
この記事の前半で、飲食業界の平均年収が345万円ほどであることはお伝えした通りですが、あくまでも平均額であることを忘れてはいけません。
飲食業界でも以下の企業においては、平均年収がかなり高いです。
- リンガーハット 733万円
- スシロー 848万円
- サーティーワンアイスクリーム 747万円
- 吉野家 706万円
大企業を選べば確実に稼げるとまでは言いませんが、名の知れた有名企業であれば高収入につながる可能性は明らかに高くなると考えて良いでしょう。
飲食業界にはたくさんの企業があります。
就活の際には、「企業規模」にも目を向けると良いですね!
2.福利厚生や各種手当に注目
福利厚生や各種手当に関しては、企業ごとにルールが定められているため、細かくチェックする必要があります。
なぜなら、福利厚生や各種手当の違いは、そのまま年収の違いにつながることも多く、年収UPを目指す際には無視できないポイントだからです!
- 食事手当(まかない)
- 住宅手当(家賃補助)
- 家族手当
- ロケーション手当
などは、特に毎月の収入に影響するところ。
まかないはただの「ご飯代」と侮ってはいけません。毎日の昼食代に1000円かかっているとしたら、毎月おおよそ2万円から2万5千円の出費!
食事代の出費が抑えられれば、その分お給料が浮くと考えれば馬鹿にできません。
扶養家族がいる場合の家族手当や、お住まいのエリアごとに指定されているロケーション手当など、毎月同じように働いていても支給してくれる会社とそうでない会社があるのです。
これらは決して小さな差ではなく、毎月数万円から10万円以上の違いを生むこともあります。
給料の額面だけでなく、手当や福利厚生もきちんと確認しておきましょう!
3.将来的に独立することを視野に入れる
今すぐに考えることではないかもしれませんが、飲食業界で経験を積んだ後に独立して自分の店を持ちたいと考える人も少なくありません。
自分の店舗を持つことで、年収1000万円以上をクリアしている人たちも大勢います。
もちろん、独立するとなればリスクも大きいです。
黒字にさえならず、年収がほぼゼロに終わってしまう可能性もあります。
ただ、独立して店舗を構えることで、無限の可能性にチャレンジすることは可能です!
まとめ
今回は、飲食業界の年収について解説しました。
記事の内容を以下にまとめておきます。
- 飲食業界の平均年収は345万円くらいと低め
- 飲食業界は人の入れ替わりが激しい業界
- 飲食業界でも稼げる企業はある
- 福利厚生・各種手当もチェックしておくべき
- 将来独立する道もある
就職する企業をどう選ぶかで、同じ飲食業界でも年収は大きく変わります。
安易に選択するのではなく、長く続けられる企業であるか、将来のキャリアにどう繋げていけるかなど、様々な視点で判断し、あなたにぴったりの企業を見つけましょう!