志望動機を書く際には、目指す業界や職種、企業の特徴をきちんと捉えておく必要があります。
就活の最初の関門である書類選考を突破するためにも、熱意と根拠の伝わる志望動機は欠かせません。
今回取り上げるのはホテル業界。
ホテル業界で働きたい!そんな方々に向けて、今回の記事では
- ホテル業界への志望動機を書く前にすべき準備
- 企業ウケの良くないNGアピール例
- ホテル業界への志望動機の作り方と例文
について解説していきます。
これさえ読めば、志望動機をどう書けば良いか悩む必要はもうありません。
ぜひ今後の就活に役立ててくださいね!
ホテル業界への志望動機を書く前にすべき準備3ステップ
ホテル業界への志望動機を書く際に、きっとあなたはすぐに紙とペンを持ち、「志望動機欄」を埋めようとするのではないでしょうか。
実は、志望動機を書く前には必要な準備があります。
こちらのデータをご覧ください。
▼項目別重要度
項目 | 企業が重視する度合い(%) |
---|---|
人柄 | 92.2 |
企業への熱意 | 74.8 |
今後の可能性 | 66.9 |
性格適性検査の結果 | 44.2 |
アルバイト経験 | 21.2 |
大学/大学院名 | 14.7 |
所属クラブ/サークル | 7.4 |
所属ゼミ/研究室 | 5.4 |
このデータから、企業が人材を採用する際にどの項目に注目しているかが分かります。
企業が重視するポイントは、
- どんな人なのか(人柄)
- 企業にどの程度熱意を持ってくれているのか
- 今後どのように活躍したいと考えているのか
- 適性
など。
多くの人は、「自分のこれまでのアルバイト経験や、学生時代のゼミの経験」を長々と語りがち。
間違っているわけではないものの、これだけでは簡単に採用されないことはもうお分かりですね。
志望動機に必要なのは、以下の3つの準備です。
- 自己分析
- 業界研究
- 企業研究
では、それぞれの準備内容を細かく解説していきます!
1.自己分析
自己分析では、自分自身の特徴を客観的に分析していきます。
ホテル業界を目指したいと思う理由は、必ずあなたの性格的な特徴と関係があるため、その関係性を見つけ出すのです。
自己分析のステップは以下の4ステップとなります。
- これまでの経験を書き出す(アルバイト・ゼミ)
- それぞれの出来事に対する自身の感情
- 経験を通して自分がどう変わったか
- 以上の内容から自分の変化についてまとめる
無理にホテル業界にこじつけようと意識する必要はありません。
直接的に関係がなさそうなことでも、掘り下げていけば「こんな経験があったから、ホテル業界を目指したいと思ったんだ」と納得のいく事柄は必ず見つかります。
自己分析を通して自分自身がなぜホテル業界を志望したかが分かれば、根拠のある志望動機を作成することができます。
2.業界研究
ホテル業界のことをあなたは今の時点でとのくらい理解していますか?
「ここで働きたい!」と憧れのホテルが既に具体的に決まっている方も多いと思います。
しかし、目指すホテルだけでなく業界全体のこともある程度把握しておく必要があります。
ホテル業界を研究する際には、
- ホテルの市場規模
- ホテルの種類(ビジネスホテル・シティホテルなど)
- ホテル業界の仕事内容(宿泊・料飲・宴会など)
- ホテル業界の現状と今後の課題
などにポイントを絞ると進めやすくなります。
特に、現状コロナの影響を目の当たりにしているホテル業界の今後は、これからどのようにして挽回していくかにかかっています。
「今」のホテル業界がどのような状況にあり、状況を改善するためには何が必要であるか、そこまで考えておくと良いでしょう。
3.企業研究
世の中に数えられないほどのホテルがある中で、なぜその企業で働きたいと思ったのか。
この質問は、今後面接の際にも必ず聞かれるため、しっかりと回答を準備しておく必要があります。
その企業を志望した理由を述べるためには企業研究が不可欠。
企業研究をする際には、以下のポイントについてリサーチを進めましょう。
- 企業の基本情報について(資本金・設立年・従業員数など)
- 企業理念や社風
- ホテル業界の他社と比較した際の違い
特に、同業他社との比較は重要です。
志望動機がどのホテルでも通用する内容ではなく、その企業だからこそ通用する内容になっていることが大事。
企業研究を入念にすることで、「ホテル業界でも御社に強い魅力を感じました」という言葉に説得力を持たせることができるのです。
ホテル業界の志望動機として効果の薄いNGアピール3選
ここからは、ホテル業界の志望動機を書く際に避けていただきたい、「効果の薄いNG例」を紹介します。
一見、ホテル業界の志望動機として「良さそう!」と思われるものでも、案外企業側には魅力を感じさせない内容になってしまうことは起こりがち。
どのような内容の志望動機が「NG例」に該当するのか、ここでしっかり理解していきましょう。
1.「接客好き」であることをアピール
ホテルと言えば「接客業」であることは確かです。
しかし、「接客」の仕事は実に幅が広いため、「接客が好きだから」というアピールだけでは志望動機としては弱いです。
例えば以下のような仕事も接客がメインとなります。
- 飲食(飲食店勤務)
- アパレル(販売店勤務)
- 旅行(旅行代理店勤務)
- 自動車(ディーラー勤務)
接客を通してお客様に満足いただくことにやりがいを感じた経験があり、それをホテルの志望動機につなげることは間違っていません。
しかし、「接客業の中でもホテルでなければやりたいことが叶わない理由」を明確にする必要があるということです。
2.「サービスに感動した」ことをアピール
ホテル業界を志望するきっかけとなったことが、「過去に宿泊した際の経験」であるケースは多いです。
宿泊したホテルで、スタッフのホスピタリティに感銘を受け、自分もこの世界で働きたい!と感じたことはもちろん志望動機としてはアリです。
しかし、この場合にありがちなのが「それならうちのホテルでなくてもよかったのでは?」と思われてしまうケース。
例えば、「ホテルに滞在することの特別感を身をもって体験し、多くの人にホテルステイの魅力を知ってもらいたいと強く思いました。」などではどうでしょう。
これではホテルという括りであれば特にどのホテルでも該当するとしか思えません。
面接の際にこの志望動機を述べた場合は高確率で突っ込まれると覚悟しておく必要があります。
3.特定の部署でしか通用しないアピール
ホテル業界に憧れる人の多くは、ホテルの顔である「フロント」の仕事をイメージしています。
確かにお客目線でホテルを見れば、フロントスタッフの印象が強く残るため、「ホテルの仕事=フロント」と思ってしまうのも無理はありません。
ただ、ホテル業界の仕事には、フロントスタッフ以外にかなりたくさんの種類があるため、フロントスタッフにしか通用しないアピールは避けるべき。
ホテル業界の仕事には、
- 宿泊部
- 料飲部
- 宴会部
- 管理部
などに大きく分かれており、宿泊部の中には、
- フロント業務
- 宿泊予約業務
- 客室管理業務
- コンシェルジュ業務
などさらに細かい職種があります。
つまり、多くの人がイメージしているホテルのフロントスタッフ業務は、宿泊部の一部にすぎないのです。
フロントスタッフとして働きたいと思っていても、その数は限られているため、まずは希望する企業に入社し、他の部署を通して後々念願のフロントスタッフに部署移動する道も視野に入れておくべきです。
志望動機は、職種が限定されるものにならないように気をつける必要があるということを覚えておきましょう。
実際に内定が取れた志望動機の作り方
ここからは、実際にホテル業界への志望動機を作成する手順を解説します。
実際に内定が取れた志望動機は基本的に以下の3つの条件を満たしています。
- 自分の持つどのスキルがホテル業界の仕事に役立つかが明確
- 結論から先に書かれている
- 具体的なエピソードが盛り込まれている
ではそれぞれの項目について分かりやすく紹介していきますね!
1.ホテル業界に関連性の高いスキルをアピール
志望動機に欠かせないのが、「自分はこのスキルがあるから、この仕事に活かすことができる」というスキルのアピールです。
当たり前のことですが、ここでホテル業界と関連の薄いスキルをアピールしても意味はありません。
ホテル業界の仕事で活かせるスキルには、
- 接客スキル
- 語学力(英語・中国語など)
- 体力
- ホスピタリティ
- 柔軟性
などがあります。
語学力はTOEICなどで具体的にスコアがあるためアピールはしやすいですね。
その他、ホスピタリティや柔軟性の部分などは数字で測れるものではないため、どのような経験を通してどのレベルのスキルを身につけているのかをなるべく明確に伝えましょう。
2.志望動機は結論から先に述べる
志望動機を書く時に、やってしまいがちなこととして多いのが、「だらだらと作文のように書いてしまう」ケース。
例:「私はこれまで○○をして、△△だったので、□□と感じ、御社を志望しました」
これでは採用担当側も読む気がしませんし、結局何が言いたかったのかが分かりづらく印象に残りません。
内定が取れる志望動機は「結論が先」に書かれているのが特徴です。
この場合、一番最初に「私は○○という点で御社を志望しました」から始め、「なぜなら、」とその先に理由を続けるのが正しいやり方です。
結論から先に述べることで、その志望動機は相手(採用担当者)の頭にスッと入っていくのです。
そして、その結論の部分が相手の印象に強く残るため、あなたという人のアピールポイントを確実に伝えることができるメリットがあります。
3.具体的なエピソードを盛り込む
志望動機には具体的なエピソードを盛り込むのが効果的です。
なぜなら具体的なエピソードを絡めることで、その志望動機が「単にどこかしらからの受け売りではない」と分かり、より個性を持つからです。
ホテル業界の志望動機には、ホテルに関わるエピソードを盛り込むのが自然です。
エピソードを盛り込む際には、
- 過去の宿泊経験を簡潔にまとめる
- その宿泊経験がどのように志望動機につながったのか
を明確にしましょう。
ホテルに関わるエピソード以外にも、接客や旅行経験など、さまざまなエピソードを盛り込むことができます。
あまりにもたくさんのエピソードを盛り込むと話が長くなりすぎるため、志望動機には最も関連性の高いエピソードを厳選して1つ選ぶようにしましょう。
エピソードを語る際には盛り込むべき要素が5つあります。
- 経験
- 問題
- 行動
- 結果
- 結論
この5つの要素はまさにこの順番で語られることがベスト。
例を挙げておくと以下のようになります。
私は○○で○○を経験しました。(経験)
その過程で○○の問題に直面しました。(問題)
そのため、私は○○を試みました。(行動)
その結果、○○になりました。(結果)
この経験を活かして貴社で○○として貢献していきたいと考えています。(結論)
意識的にこの形に当てはめてエピソードを盛り込むと、志望動機に説得力を持たせることができ、企業に伝わりやすくなります。
ホテル業に特化した志望動機の例文3選
志望動機の書き方が理解できたところで、最後の章では具体的な例文を3つ紹介しておきます。
ここでは、
- 自身のエピソードを盛り込んだ例
- 企業研究の成果を存分に活用した例
- これまでの経験を盛り込んだ例
の3つを紹介します。
いずれも、実際に内定が取れた「勝てる志望動機」です。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
1.具体的なエピソードを盛り込んだ例
私は幼少時代から、年に一度の家族旅行で御社の系列である○○ホテルに滞在してきました。子供ながらに、ホテルの持つ独特な特別感や高級感に胸が高まっていたことを覚えています。ホテル業界を志望したのは、その家族旅行の経験からホテルに対する強い憧れを抱いていたからです。
○○ホテルのスタッフの方が、足の悪い祖母を気遣い、常に荷物のケアや気遣いの言葉をかけてくださっていたことがとても印象に残っています。これほど有名でお客様の多いホテルでも、一人一人のお客様を大切にされている御社のソフト面に感銘を受けました。
私自身もぜひ御社で、お客様に寄り添った対応のできるホテルマンを目指したいと思う所存です。
2.企業研究の成果を存分に活用した例
私は、訪日外国人のお客様へのおもてなしに注力している御社のサービスに強く惹かれ、志望さえていただきました。私自身も海外旅行が好きで、これまでに多くの国へ訪れました。海外という慣れないところで、何度ホテルのホスピタリティに心を打たれたか分かりません。
訪日外国人に「日本のおもてなし」をもっと知ってほしいと感じるとともに、その場に自分も関わりたいと強く思っています。これまでの海外旅行経験を活かし、ぜひ御社の一員としてハイレベルのサービスをお客様に提供したいと考えております。
3.アルバイトなどの経験を盛り込んだ例
私は学生時代のアルバイトで、ホテルでの宴会のサービス業務を経験し、接客の仕事の素晴らしさを身をもって体験しました。また、同じホテルで働くフロントやレストランのスタッフの方々の姿を目の当たりにし、自分自身もいつか必ずホテルを舞台に活躍したいと思うようになりました。
御社のホテルは客室数が県内でも群を抜いて多く、規模の大きいホテルです。たくさんのお客様が訪れるホテルでありながら、ホスピタリティに関わる口コミが常にトップレベルである御社は、まさにホテルの中のホテルです。
接客の仕事で高みを目指したいと考える私にとって、御社以外の選択肢はありません。これまで身につけた接客スキルを活かしながら、御社でさらにスキルアップができればと思う所存です。
まとめ
今回は、ホテル業界の志望動機についてでした。
志望動機を書く際には事前準備が必要であること、そして根拠に基づき簡潔で分かりやすい内容にまとめる必要があります。
今回の記事の内容をまとめると、ポイントは以下の通りです。
- 自己分析・業界分析・企業分析は必須の準備
- 接客好きだけでは伝わらない
- 特定の部署ではなくホテル業全体に通用する内容で書く
- だらだら書かず結論から述べる
志望動機は最初の関門である書類選考突破において、非常に重要な判断材料となります。
手を抜かず、入念な準備をした上で作成しましょう!