毎年2月3月になると「確定申告やらなきゃ!」という声を耳にします。
収入のないニートにとってみれば確定申告など縁のないもの、と思われがちですが本当にそうなのでしょうか。
今あなたがニートであっても、確定申告をする必要があるケースがあります。
今回は、ニートの確定申告について解説していきます。
この記事を読むことで、以下の内容を理解することができます。
- ニートでも確定申告が必要な場合とは?
- 確定申告が不要なケースの条件
- 確定申告に必要な書類と手続き方法
ニートだから確定申告は関係ないと決めつけず、まずはしっかり最後まで読んでみてくださいね!
ニートでも確定申告が必要な場合の7パターン
収入がないニートでも、確定申告が必要なケースがあります。
この章では、まず確定申告が必要なのは具体的にどのような場合なのか理解していきましょう。
確定申告が必要なのは、ここで紹介する7つのケースです。
1.退職後の同年内に再就職していない場合
会社を辞めてニートになった人は、退職のタイミングによって確定申告が必要になるため、注意が必要です。
会社を退職してそのままニートとなり、以降再就職をせず収入を得ていない場合には確定申告が必要。
この場合、会社に在籍していた期間に支払っていた所得税をきちんと計算することで、還付金を受け取ることができます。
なぜ還付金が受け取れるかというと、会社員時代に天引きされていた所得税は「1年が終わるまで働く」ことを前提に計算されているからです。
仮に退職後12月までに再就職をした場合には、新しい職場で年末調整がなされるため、確定申告は必要ありません。
退職した年の残りの期間をニートで過ごしたなら、確定申告をして還付金を受け取りましょう!
2.年金受給を受けている場合
ニートの多くは若い世代であると考えられるため、年金受給をしているニートはほぼいないと思われます。
しかし、万一年金を受け取っている場合には、年金が収入とみなされるため確定申告が必要となります。
3.不動産収入等の所得がある場合
働かずニートでいても、不動産収入などで収入を得ている人もいるでしょう。
この場合、不動産収入の所得を計算し、確定申告で税金を納める必要があります。
マンションや駐車場などを人に貸して家賃収入を得ている人は確実に確定申告の必要があるため注意が必要です。
4.臨時収入があった場合
確定申告は収入がある人に関わります。
収入というのは非常に幅が広く、親や親戚から金銭を授与された場合も収入となります。
ちなみに、2020年に支給された特別定額給付金(全員に支払われた10万円)は課税対象にはなりません。
5.ふるさと納税を利用した場合
ふるさと納税は、確定申告もしくはワンストップ特例という制度の申請をすることで、税金の控除が受けられるというもの。
ワンストップ特例制度は確定申告とは別物。
ワンストップ特例制度は、確定申告はせずに「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を記載の上、寄付した自治体に送ることで税金の控除が受けられるというものです。
ふるさと納税は、ただ単に「ふるさと納税」として商品を購入するだけで成り立つものではなく、確定申告などの手続きをしなければならないことを理解しておきましょう。
6.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合
あなたがニートでも、住宅ローンなどを使って住宅の購入や改装などをしたのであれば、住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
12月末時点での住宅ローン残高の一定割合の金額が所得から控除される制度。確定申告を行う際に受けることができます。
ニートでいながら住居を購入するという事例はあまり多くないとは言え、ゼロではありません。
住宅ローン控除を受けることができれば、支払う税金が安くなるため、ぜひ確認しておかれることをおすすめします。
7.医療費控除を受ける場合
医療費控除とは、1年間の医療費が設定されている額を超えた場合に、所得控除を受けることができる制度のことです。
医療費控除はニートであろうと関係なしに確定申告さえすれば受けられるもの。
もしも病気を患いニートになっている場合は特に医療費控除については知っておく必要があります。
ニートで確定申告が不要なパターン
ニートのうち、確定申告が間違いなく必要ない人はどのような条件を満たす人なのでしょう。
答えはとてもシンプルです。
ニートで確定申告が必要ないのは、1月から12月の1年間、初めから最後までニートだった人で、かつ他に臨時収入や不動産所得のない人です。
確定申告の提出期限
確定申告には期限があり、その期限内に済ませておく必要があります。
通常、確定申告の期間は2月から3月15日付近(曜日により多少前後します)と定められています。
確定申告が必要なニートが用意すべき3つの申告書類
ニートでも確定申告が必要なケースに該当し、「しなくていいと思ってたのに!」と焦っている方も多いのではないでしょうか。
ここからは、確定申告の具体的な手続きについて解説していきます。
難しいことはそうありませんので、落ち着いて1つずつ進めていきましょう!
この章ではまず確定申告に必要な3つの書類について解説します。
1.確定申告書
確定申告に必要な書類のうち、最もメインとなるのが確定申告書です。
作成の流れは後ほど解説しますが、確定申告書の種類については以下の2種類。
- 確定申告書A
給与所得、配当所得、一時所得、雑所得の4つの所得のみの場合に使用するもの。会社員が住宅ローン控除を受ける際などはこちらが必須。 - 確定申告書B
誰でも使える申告書。個人事業主や不動産賃貸収入のある人が使用する。
どちらの確定申告書も国税庁のホームページよりプリントアウトすることができます。
2.源泉徴収票もしくは支払調書
確定申告で必要となる書類の中に、源泉徴収票もしくは支払い調書があります。
源泉徴収票は、給与所得がいくらあり、所得税をいくら収めているかが書かれている書類です。
一般的に会社員が源泉徴収票を手にするのは、年末調整後のタイミングか会社を辞めたときです。
以前の職場を年の途中で辞めた場合には、確定申告の際に源泉徴収票が必要となります。
通常、退職時には企業が源泉徴収票を作成しますが、もしももらえない場合には、発行してもらうようにあなたから会社に言いましょう。
ちなみに、支払い調書とは企業や個人事業主が作成する書類で、報酬や契約金などを支払った金額の証明に使うものです。
今後フリーランスになる人もいるかもしれませんので、知識として知っておきましょう。
3.控除の種類ごとに定められた必要書類
最後の必要書類は「控除を受けるために必要な書類」です。
ふるさと納税や、生命保険、住宅ローンなど、控除には様々な種類があります。
例えば、ふるさと納税で控除を受ける場合には、「寄附金受領証明書」を準備する必要があります。
生命保険控除をうける場合には、生命保険会社から送られる「控除証明書」が必要です。
ニートが確定申告する場合の3つの手順と方法
必要書類について理解できたところで、ここからはいよいよ確定申告の手続きの流れを解説していきます。
確定申告の手続きは、大きく3つのステップに分けられます。
それぞれのステップに必要な情報を記載しているので、確実に流れを頭に入れておいてくださいね
1.必要書類を揃える
先程の項目で説明した通り、確定申告には書類の準備が必須となります。
確定申告書をはじめとする書類は全てインターネット上でダウンロードが可能です。
もちろん、税務署や市役所でも書類は手に入りますが、わざわざ足を運ばずともネットからダウンロードできるのは非常に便利ですね。
2.確定申告書作成
確定申告のメインとなる確定申告書の作成は、国税庁ホームページ上で行うことが可能です。
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーに進みましょう。
確定申告書等作成コーナーとは、国税庁が提供している書類作成のためのサービス。
指示に従って必要内容を入力していけば確定申告書は自動的に作成されるのでとても簡単です!
ちなみに、確定申告書等作成コーナーでは、自動計算の過程で誤入力などにより整合性が獲れない場合にはエラーで指摘もしてくれます。
そのため、間違いだらけの申告書を作る方が逆に難しいくらい、正しい確定申告書がほぼ確実に作れるようになっているのです。
3.税務署へ提出(印刷して提出・e-Taxで提出)
申告書が出来上がったら、いよいよ提出して確定申告を終わらせるときです!
確定申告の提出方法は以下の3通り。
- 印刷した書類を税務署に郵送
- 印刷した書類を直接税務署に提出
- e-Taxでオンライン送信
ここで最もおすすめしたいのが最後に記載したe-Taxです。
確定申告などの納税の手続きや、国税に関する申請・届出を、インターネットを使用して電子的に行うシステム。税務署に行かずに確定申告ができ、生命保険料控除の証明書や医療費控除の領収書などの添付書類が省略されるなどのメリットもあります。
ニートの場合、時間的に余裕がある場合が多いでしょう。
しかし、オンラインでできるところを、わざわざ足を運ぶ方法を選ぶのはコロナ禍では賢明な選択とは言えません。
e-Taxを利用する場合には、以下のものが必要となります。
- 利用者識別番号
- 電子証明書
- インターネット環境、推奨環境を満たすPC、ブラウザ
- ICカードリーダー
利用者識別番号を取得する際にマイナンバーカードがあればスムーズです。
電子証明書はマイナンバーカードに格納されているため、結局マイナンバーカードがある方が圧倒的に進めやすくなるということ。
今お持ちでない方は、今後のためにも作っておくことをおすすめします。
確定申告書類をe-Taxで送信、もしくは税務署に郵送か手渡しで提出したら、あなたのやるべきことは終わりです!
ニートも確定申告は必要!
ニートなら確定申告なんてすることはないと思っていた方にとって、今回の記事はちょっと衝撃だったかもしれませんね。
ニートでも確定申告をするべきケースはたくさんあります。
そして、何よりも知っておかなければならないのは、「確定申告は必ずしも税金を支払うためのものではない」ということ。
支払いすぎている税金を計算し、還付金を受け取ることも、確定申告の大きな目的の一つです。
案外、これまで確定申告をしなかったことで損をしてしまっているケースもあるかもしれませんよ。
ぜひ、ご自身の状況を確認し、確定申告が必要なケースに該当するかどうかをチェックしてみましょう。