転職の意思があっても、実際に行動に移すとなるとさまざまな不安があるものです。自分1人で転職を決める人もいますが、誰かに相談したい人も多いのではないでしょうか?転職の相談は誰にすべきか、相談する際のポイントや転職を考える基準を解説します。
転職の相談は誰にすればいい?
転職の相談相手は慎重に決める必要があります。相手をまちがえると、結果的に不適切なアドバイスをされてしまう可能性があるので注意しましょう。「転職したいかも…」と考えたときに、まず検討したい相談先を紹介します。
職場のOBやOGに話を聞く
転職の決意が漠然とした状態なのであれば、現在の職場を退職したOBやOGに相談するのもよいでしょう。すでに退職している相手なので、気兼ねなく相談できます。
みな同じような経験をしている人たちのため、相手にはよるものの親身になって相談に乗ってくれる可能性が高いでしょう。
とくに、現職で関わりの深かった相手ならば、相談もしやすいはずです。転職活動の具体的なアドバイスはもちろん、自分では気づかなかった注意点を指摘してくれるかもしれません。
転職エージェントに相談する
ある程度転職したい気持ちが強くなってきた人や身近に相談相手がいない人は、転職のプロである『転職エージェント』への相談がおすすめです。転職エージェントは、さまざまな転職希望者の悩みや相談を受け、その人に合った企業や案件を紹介するのが仕事です。
業界や業種、転職市場全体の最新情報や、有効な転職ノウハウなどを持っており、希望者がこれまで培ってきた業務経験やスキルなどを考慮して、最適な転職先を提案してくれます。
転職エージェントは、実際に転職活動を始めてから相談するものだと思い込んでいる人も多いですが、転職に踏み切るか迷っている状況でも有益なアドバイスをしてくれる存在です。
最近は直接エージェントと顔を合わせなくても、メールやチャットなどで気軽に相談できる会社もあります。
学歴や職歴がなく、転職に自信がない人は『リボラボ インターンシップ』というサービスを検討してみましょう。学歴・職歴がなくても、転職に必要なスキル・職歴・実績を手に入れられるよう支援するプログラムを提供しています。
公的機関の無料相談窓口を使う
公的機関が運営している無料の相談窓口を利用する方法もあります。
例えば厚生労働省は『おしごとアドバイザー』という相談窓口を設置しており、転職に関する悩みや疑問点を気軽に相談することができます。現在の仕事を続けながら、スキマ時間に転職に関して相談するのにおすすめです。
東京都による『東京しごとセンター』は、34歳以下の若年層に対して、転職活動や仕事に関する相談を受ける『若者しごとホットライン』を設置しています。こちらも空いた時間に、電話やメールで気軽に相談するのに便利です。
全国のハローワークでも、転職に関わる相談やサポートを行っているので、積極的に利用してみるとよいでしょう。転職すべきかどうか、迷っている段階から相談できます。
転職の相談に注意が必要な相手
転職にあたって相談できる相手や専門の窓口にはさまざまなものがあります。ただし、相談するにあたって注意が必要な相手もいます。
同僚や上司への相談はNG
現職の同僚や上司への相談は避けた方がよいでしょう。例えば直属の上司などは、企業にとって損失となる可能性があるため、転職を引き留めようとするかもしれません。
自らの管轄する部門が回らなくなったり、自分の評価が下がってしまったりするのを恐れて、転職をやめるように説得される可能性もあります。
同じ職場の同僚に相談するのも、基本的におすすめしません。本当に転職するか迷っている段階にもかかわらず、同僚に相談してしまったことで、転職が決まったかのように話を広められてしまう可能性があるからです。
人によっては親身に相談に乗ってくれる場合もあるかもしれませんが、転職を打ち明けることによるリスクの方が大きいと考えましょう。
家族や恋人、友人には注意が必要
家族や恋人、友人に相談するのも注意が必要です。
身近な相手は自分の特性や強みなどを理解しており、本音で話し合えるのはメリットでしょう。しかし、相手から的確なアドバイスをもらえるかわからない点はデメリットです。
場合によっては、転職のリスクを実際よりも大きく考え、強硬に反対されてしまうかもしれません。
とくに両親は私情が入りやすく、子どもの生活や将来を心配して反対する傾向があります。客観的な事実よりも、主観で判断してしまいがちな相手への相談は、慎重になった方がよいでしょう。
相談の前に確認しておきたいこと
転職相談をする前に確認しておくべきことを解説します。何の準備もせずに相談しても、必要な事柄を質問できなかったり、相手に真意が伝わらず的外れなアドバイスにつながったりする可能性があります。
実際に相談する前に、以下の準備はしておきましょう。
転職がなぜ必要かを考える
まずは自分にとって本当に転職が必要なのか、なぜ転職するのかを明確にすることが大事です。漠然と「転職したい」という思いだけで活動していると、結果的に失敗してしまうでしょう。
転職の必要性や理由が曖昧ではたとえ転職ができたとしても、自分の希望と合わず、すぐに辞めたくなってしまうかもしれません。また、転職の熱意が伝わらず採用されない可能性もあります。
現在の職場を退職するのは簡単でも、転職先を探すのには手間と時間がかかるものです。退職後に「こんなはずじゃなかった…」とならないためにも、自分自身としっかりと向き合いましょう。
悩みを具体的に書き出す
転職活動を始めるにあたって、まず現在の悩みを具体的に書き出してみましょう。悩みや不安点を言葉にすることで、現状を客観的に把握できるようになります。
なぜ転職したいのか、その本質的な理由を自分なりに明らかにできるよう、自分自答を繰り返し、悩みや不満を深掘りするのです。悩みを書き出したら、その悩みは転職でしか解決できないのかよく検討する必要があります。
「上司が評価してくれない」「会社の待遇が不満」と他人の責任にする傾向が強い人ほど要注意です。現状認識や自己理解が甘ければ転職の成功は困難でしょう。
現在の悩みが転職でしか解決できないという結論に至れば、転職したい理由や転職先の希望などを、相談者に説得力を持って伝えられるようになります。相談を受ける相手もより具体的なアドバイスをしやすくなるでしょう。
転職の基準を決めておく
転職によって得たい給与や待遇、職場環境、そして業務内容などの基準を決めておくことも大事です。
すべての希望を叶えられる理想的な企業は、基本的にありません。希望する条件に優先順位をつけ、絶対に譲れない点と妥協できる点を明らかにしておきましょう。それを相談相手に伝えることで、より有益なアドバイスを受けられます。
今の職場での悩みと転職を考える基準
転職を希望する人によくある悩みや不満、そして転職を考える基準を紹介します。人によって転職したいと思う理由は違いますが、主に次のような悩みを抱えているケースが多いものです。
給料アップの見込みがない
給料が上がる見込みがないことから、転職を考え始める人は少なくありません。自分の努力や企業への貢献が正当に評価されていないと感じている人は、何年も昇給の見通しが立たなければ転職を決意する傾向があります。
年功序列など、個人の評価が報酬に直結しづらい企業にいる場合は、転職を視野に入れるとよいでしょう。しかし、借金があるなど、個人的な事情から給料アップを望んでいる人は、まずは生活を見直してみることが大事です。
残業や休日出勤を強いられる
残業や休日出勤を強制されている人も、転職を望む傾向があります。
日本では長時間労働が問題になっており、労働基準法を無視した勤務体制を敷いている企業も多いのが現状です。過度な残業や休日出勤は心身に悪影響を及ぼす可能性があるため、勤務状況によっては、すぐに転職を考えた方がよい人もいるでしょう。
ただし、業務内容には不満がなく、企業側に改善を要求できるのであれば、まずは現在の職場環境を改善するように働きかけた方がよいケースもあります。
仕事に将来性を感じない
現在の仕事に、将来性ややりがいを感じないことから転職を考える人もいます。とくに若年層や同じ業務を毎日こなす仕事に就いている人に多い傾向があり、会社から評価されても満足感を得られないケースもあるようです。
しかし転職の結果、再びやりがいを感じられない仕事に就いてしまう可能性もあります。まずは現在の職場で認められるような働き方ができないか、考えてみるのもおすすめです。
昇進や異動によって興味のある仕事に就ける可能性があるならば、しばらく様子を見てもよいでしょう。一方で、社内に興味を持てる仕事やポジションがなければ、転職を考えた方がよいかもしれません。
転職活動でよくある相談
転職活動で実際によくある相談内容を紹介します。転職相談を検討している人は、自分のケースに当てはめて考えてみましょう。
転職したいがやりたいことがない
現在の仕事に不満があり転職を考えてはいるものの、自分が本当にやりたいことがない、あるいは分からないと相談する人は珍しくありません。仕事がつまらなくて、このまま働き続けてもよい未来が見えないと感じる人は多いようです。
しかし、そのままの状態で転職活動をしても、どの業界・業種に転職すべきか分からず、転職しても次の職場で同じような状況になる可能性が高いでしょう。
まずは現状の何に不満があるのかを深掘りして、自分が本当に求めているものを明らかにすることが必須です。その上で、転職すべきか現在の職場に留まるべきかを決めましょう。
未経験の仕事ができるか分からない
転職を希望してはいるものの、未経験の仕事が自分にできるのか不安に感じている人もいます。
現在の仕事と同じ業界・業種に転職するのに比べて、未経験の仕事に移るのは難易度が高いのは事実です。しかし絶対に不可能なわけではなく、業界の知識を深めたり必要な資格を取得したりすることで、転職が成功する可能性は十分にあります。
これまで培ってきた経験やスキルを転職先で活かせる点をうまくアピールできれば、たとえ未経験でも採用したいと思う面接官もいます。未経験者を歓迎している企業もあるので、転職エージェントなどに相談・確認してみましょう。
転職のタイミングが分からない
将来的には転職したいけれども、そのタイミングが分からないと悩んでいる人も多いようです。転職を希望している企業が求める経験やスキルを持っているか分からず、転職に踏み切れない場合も珍しくありません。
今すぐに転職活動を始めるべきか、現在の職場で経験を積んでから転職すべきかは、自分だけで悩んでいても解決できないケースがほとんどです。
業界に精通した転職アドバイザーや、転職を希望している分野で働いている人に相談するなどして、具体的にどういった経験やスキルが求められるのか確認しましょう。
転職に関する相談はプロに任せよう
転職に関する相談を誰にすべきか、具体的な相談先を紹介しました。有益なアドバイスを受けるには、身近な相手や職場の上司・同僚ではなく、さまざまな業界の知識を持っている転職エージェントや公的機関の無料相談窓口などが向いています。
とくに、転職エージェントのアドバイザーは、同じような悩みを持っている人の相談に数多く乗ってきた経験があるため、こちらの状況に合った的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
転職しようかどうか迷っている段階でも相談に乗ってくれるので、積極的に利用することをおすすめします。
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