就職活動または転職活動真っ最中の人や、転職を考えている人は、就職先の理想や条件について日々考えていることでしょう。なかには、「次は大企業で働きたい」と思っている人もいれば、「大企業は大変そうだから避けたい」と思っている人もいるかもしれません。しかし、大企業の定義を尋ねられたら答えられる人は少ないのではないでしょうか?そこで今回は、大企業という言葉の定義や、社員になるメリットやデメリットなどをみていきましょう。
大企業の定義とは?
大企業の定義を正しく理解するうえでは、まず、日本の企業は規模によって大きく3タイプに分かれていることを知る必要があります。具体的には、規模が小さい順に「小規模企業<中小企業<大企業」となります。
なぜこの分類を知る必要があるかというと、中小企業に関しては業種ごとの従業員数と資本金の額、小規模企業に関しては従業員数が「中小企業基本法」によって決められている一方、大企業に関しては従業員数も資本金も決められていないから。つまり、「何をもって大企業」というか」のひとつの答えが、「中小企業の従業員数や資本金を超えているか」というわけです。
中小企業者の定義とは?
では、中小企業者は具体的にどう定義づけられているかというと以下の通りです。
業種分類 | 定義 |
製造業その他 | 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人 |
卸売業 | 資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人 |
小売業 | 資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人 |
サービス業 | 資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人 |
小規模企業者の定義とは?
続いては小規模企業者の定義です。
業種分類 | 定義 |
製造業その他 | 従業員20人以下 |
商業・サービス業務 | 従業員5人以下 |
日本における大企業の割合は?
続いては、日本における小規模企業、中小企業、大企業はそれぞれ全体のどのくらいの割合を占めているのかをみていきましょう。
中小企業庁が公表している最新の集計結果(2016年6月の集計結果)によると、日本の中小企業・小規模事業者、大企業の数は以下の通りです。
- 中小企業・小規模事業者=357.8万者(99.7%)
- うち小規模事業者=304.8万者(84.9%)
- 大企業=1万1,157者(0.3%)
大企業と定義づけられる企業はわずか0.3%しか存在しないという事実を目の当たりにしたことで、「大企業への就職はハードルが高い!」と改めて思った人もいるかもしれません。
参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します」
なぜ大企業の数は少ないの?
日本における企業のほとんどが中小規模・小規模事業者なのはなぜかというと、国が、日本の経済を発展させるためには中小企業の力が不可欠だと考えているからです。政府は、その考えをもとに中小企業の定義を定めて「中小企業法」を成立させたうえで、この定義に当てはまる企業は補助金や助成金を活用できるよう設定しています。
「大企業」と「大手企業」の違いは?
大企業について考えた際、「誰もが知っている大手企業はすべて大企業なのだろうか?」という疑問を抱いたことがある人もいるかもしれませんが、答えはNO! 「大手企業」という言葉も、「大企業」同様明確な定義はありませんが、一般的には「各業界においてシェア上位を争っている企業」を意味します。一方、大企業の一番の基準は規模であってシェア率ではないので、規模が大きくても企業名が一般に知られていない会社も存在します。
また、大手企業ほどのシェア率はないものの資本金の額も従業員数も多い「準大手企業」、並びとしてはその下に位置する、資本金が1億円以上の中小企業および10億円未満の大企業を指す「中堅企業」などの言葉も覚えておいて損はなし。さらに、知名度の高さのみが条件の「有名企業」という言葉もあります。
「みなし大企業」とは?
あまり聞いたことがないかもしれませんが、「みなし大企業」という分類も存在します。「みなし」とは、「仮にそうであると想定すること」を意味しますが、では「みなし大企業」とは何かというと、「規模としては中小企業であるものの、大企業の傘下に入っている企業」です。株式を保有している親会社が膨大な資本金を有していることから、前述した補助金や助成金などの対象外とされることがあります。
大企業で働くメリットは?
続いては、大企業で働くメリットをみていいましょう。
社会的信用度が高い
将来性や安定性があるイメージが浸透していることから、たとえば賃貸物件を契約する際などにも信頼してもらいやすいことが考えられます。
給与が高い
大企業は給与査定の基準が明確であることが多いため、中小企業に比べて給与が高いといえます。また、賞与や退職金などの制度も整っているので、一度入社すると一生勤め続けたいと考える人が多いかもしれません。
福利厚生が充実している
保険や年金はもちろん、通勤費や住宅手当、財形貯蓄制度などが充実しているほか、育児代行サービスや資格取得手当などを設けている企業もあります。
大企業で働くデメリットは?
続いてはデメリットをみていきます。
幅広い業務を任せてもらいにくい
従業員数が多いため、部署や役職が細かく分かれていて、その垣根を超えて仕事するということがあまりありません。そうなると、プロジェクトの全体像も見えにくく、人によっては仕事にやりがいを感じられないかもしれません。
出世の競争率が高い
従業員数に対して管理職ポストの比率が低いため、出世しづらいといえます。さらに、昔ながらの年功序列制度が残っている企業も多いため、若いうちはがんばりが認められにくいかもしれません。
大企業に転職するには?
続いては、大企業に就職・転職する方法を考えていきましょう。
第二新卒の場合
厚生労働省が公表している、「令和2年度における新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率」によると、大企業に該当する可能性が高い従業員数を要している事業所の離職率は、以下の通りかなり高めです。その補てんのためにも採用に積極的な大企業を狙うのがおすすめ。前の職場で社会人としてのマナーをきちんと身につけていることや、他の企業の社風に染まっておらず柔軟に対応できることなどをアピールするといいでしょう。
【新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率】
事業所規模 | 高校 | 大学 |
100~499人 | 35.9% | 31.8% |
500~999人 | 30.0% | 28.9% |
1,000人以上 | 25.6% | 24.7% |
中小企業からの転職の場合
中小企業からの転職で中途採用を狙いたいなら、大企業の組織体制刷新につながるような斬新な発想力や、中小企業で培った高度なスキルなどを売り込むと評価されやすいでしょう。また、大企業を直接狙うのが難しいと考えられるなら、まずは大企業の子会社に転職して、そこから異動を狙うという選択肢もあります。
大企業からの転職の場合
前の職場が大企業であれば、比較的転職しやすいといえるでしょう。なぜかとうと、大企業文化に慣れていて、大企業ならではのやりかたに精通していると判断されるため。ただし、他の候補者より採用されやすいと踏んで全力を出し切らないのはもってのほか。前の職場での実績をわかりやすくまとめるなど、選考に向けて工夫を重ねましょう。
職種未経験、正社員未経験からの転職の場合
第二新卒であれば、職種未経験であっても、年齢が若いぶん可能性に賭けてもらえることがありますが、そうではなく正社員未経験などの場合は、いきなり大企業の正社員を目指すことは難しいでしょう。どうしても入社したい企業があって諦めきれないのなら、まずは未経験化の中小企業に入社して、経験を積んだうえでチャレンジするのがいいかもしれません。
大企業にこだわらないほうが理想的な会社に出逢える場合もある
大企業で働くことへの憧れがあって、大企業であることを前提に就職・転職先を探している人もいるかもしれませんが、規模にこだわらずに探したほうが、かえって自分にとって理想的な会社に出逢えることがあるものです。そうはいってもなかなか視野を広く持てない人は、まずは「なぜ自分は大企業で働きたいと思うのか?」を考えてみるのもおすすめ。
たとえば、「安定して働き続けられそうだから」が理由であるなら、大企業かどうかに関わらずその条件を重視すればよいですし、「福利厚生が充実しているから」が理由だとしても、大企業以外でも当てはまる企業はたくさんあります。理想の条件を考えて就活・転職活動をおこなうのはとてもよいことですが、視野を広げてみると、さらにスムーズに、理想的な会社に出逢えるかもしれませんよ!
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