鳶職(とびしょく)の仕事はどんな仕事なのか、なんとなくのイメージは描けても、詳しく知らない人は多いのではないでしょうか? そこで今回は、鳶職の仕事内容を解説していきます。
鳶職の仕事内容
鳶職は、建設現場において主に高所での仕事を担当します。どんな作業を専門的におこなうかによって、以下のように分類されます。
足場鳶
建物の建設時に作業員が高所で作業できるよう、周囲に足場を設置するのが仕事です。この足場を適切に組めているかどうかで、その後の作業のしやすさが変わってきます。また、建設中の事故を防ぐために、足場の安全性を追求することもとても大切です。建物が完成した後、足場を解体するのも足場鳶の仕事です。
鉄骨鳶
建物の骨組みとなる鉄骨を組み立てる仕事を担当します。具体的には、クレーンで高所に吊り上げた鉄骨をボルトなどで固定しますが、吊り上げる際には、クレーンが周囲の建物や作業員にぶつからないよう、角度を調整しながら吊り上げる必要があります。また、高所で作業している鉄骨鳶としっかり連携することも重要です。
クレーンに鉄骨をかける際、ワイヤーを使用して固定することを「玉掛け」といいますが、この作業は有資格者しか行えません。玉掛の技能講習はいくつかの企業が実施しています。
参考:コベルコ教習所 玉掛け技能講習
参考:コマツ教習所 玉掛け技能講習
参考:一般社団法人東京技能講習協会 玉掛け技能講習
重量鳶
建築現場や工場などで、重量のある大型設備を搬入・搬出および設置するのが仕事です。空調給排水設備や電気設備のほか、工場で使用する大型機械などを運ぶことも。重量にして数百キロから数十トンにおよぶため、フォークリフトやチェーンブロック、レバーブロック、チルタンク、クレーンなどを使って搬入・搬出、設置することになります。
いうまでもなく、壁や柱にぶつからないよう慎重に運搬することが重要。万が一ぶつけてしまった場合、損害は甚大。ぶつけた物や場所によっては死傷者が出ることもあるので、常に気を抜くことなくきっちり作業していくことが求められます。
送電鳶
送電線の設置、点検、保守作業を専門とする送電鳶は、「ラインマン」とも呼ばれています。クレーンやヘリコプターで運んだ電線を鉄塔に固定する取付作業をはじめとするすべての作業は、高所かつ高圧電流が流れる場所でおこなうため、慎重さと丁寧さが求められます。
送電鳶になるためには「電気工事士」の資格取得が必要ですが、一般住宅や小規模施設の電気工事ができる「第二種電気工事士」、ビルや工場などの大規模施設の電気工事や、高圧の送配電線路における電気工事もできる「第一種電気工事士」ともに、近年の合格率は6割強 となっています。
橋梁(きょうりょう)鳶
高架橋、鉄塔、ダムをはじめとする「橋梁」の土木工事に携わります。建築作業のほか、解体作業や修繕作業もおこないますが、通常の建築現場とは規模からして違うため、それなりの知識や経験が必要とされます。
鳶職人になる方法は?
鳶職になるためには、基本的には先輩鳶職について”見習い”からスタートします。最初のうちは、資材の運搬や簡単な作業しか任せてもらえませんが、学歴は不問なため、やる気や努力さえ認められれば、次第に責任ある仕事を任せてもらえることが多いといえます。
ただし、前述した通り、玉掛け作業や送電線の設置や点検に携わりたい場合は資格が必要です。また、「足場の組立て等作業主任者」「建築物等の鉄骨組立て等作業主任者」「型枠支保工の組立て等作業主任者」「鋼橋架設等作業主任者」などの各現場で主任として活躍するための資格に関しては、3年以上の経験を積むことで受験資格を得られます。
さらに経験を重ね、鳶職人の親方として独立したくなったら、国家資格である「とび技能士」の資格を取得することが必要です。
鳶職の仕事のやりがいは?
鳶の世界で重視されるのややる気と実力。学歴は一切関係ありません。また、完成した建物やダムなどを実際にもしくはテレビなどで見るたび、建築に関わったことに対して誇らしい気持ちを持てるでしょう。
鳶職の仕事の大変な点は?
高所での作業は危険と隣り合わせ。高い集中力と判断力が求められますし、万が一のミスは命取りとなり得ます。また、暑さや寒さが厳しいシーズンは特に、肉体疲労が蓄積しやすいといえます。室内で働く人以上に体調管理が重要となります。
鳶職はAIに仕事を奪われる心配無用
科学技術の進歩によって、今後はAIに仕事を奪われる業界も多いと言われています。しかし、経験と技術が求められる専門性の高い鳶職はそうした心配とは無縁。
ただし、体力と精神力が衰えるとともに仕事をきついと感じやすいことは否めないので、これから鳶の世界を目指すなら、トレーニングなどで身体を鍛える習慣をつけておくのもいいかもしれませんね。
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