社会に出てさまざまな年齢の人と接するようになると、世代によって特徴があると感じることもあるかもしれません。世代ごとのおおまかな特徴を表すために生まれた言葉もいくつかありますが、今回はそのなかから「ゆとり世代」をピックアップして解説していきます。
ゆとり世代とは?
まずは本題のゆとり世代について。ゆとり世代に該当するのは、1987年4月2日から2004年4月1日に生まれた人。2022年時点では18歳~35歳ということになります。なぜこの年代の人を一括りにして「ゆとり世代」というかというと、新しい学習指導要領のもと、2002年から始まった「ゆとり教育」を受けた世代だからです。
ゆとり教育とは?
ゆとり教育とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校での授業時間および授業内容を削減することで、児童や生徒の負担を減らすことで精神的にもゆとりを持たせようという教育です。これによって、高等学校までの授業は基本的に完全週5日制となりました。
なぜゆとり教育が生まれたのか?
90年代後半になり、第2次ベビーブームの子どもたちが大学に入学し終わるころになると、大学受験はそれまでのように厳しいものでなくなっていきました。また同じころ、不登校児の増加が社会問題となったこともあり、当時の文部省は、それまでの教育の在り方を見直すこととなります。その結果、「学習内容および授業時数の削減」「完全学校週5日制の実施」「総合的な学習の時間の新設」「絶対評価の導入」の4つの改正を軸にした新たな教育体制が生まれることとなったのです。
ゆとり世代の働き方の特徴は?
ゆとり教育で育った世代は、厳しい受験戦争を勝ち抜く必要がない人が多かったことから、「前へ前へと出ようとしない=主体性・自主性がない」「辛いことに耐えてでもやり抜こうとはしない」などの傾向にある人が多いとされています。こうした特性を働き方に当てはめると、以下のような特徴があるといえるでしょう。
ワーク・ライフ・バランスを重視する
出世に貪欲ではなく、自分のやりたいことに時間を充てる人が多い傾向にあります。また、残業や仕事の飲み会などに参加することもほとんどありません。
与えられた業務のみをこなす
残業や仕事の飲み会に自分の時間を割かないのと同様、与えられた業務以外に労力を費やそうとしない傾向にあります。昇給につながるかわからないのに、自分から会社のためになることをすることはあまりないでしょう。
臨機応変に行動することが苦手
イレギュラーなことが起きたとき、自分の判断で対応することが少ないでしょう。なぜなら、自分で判断した結果、上司や先輩に怒られたり失敗につながったりすることを恐れているためです。
協調性に乏しい
同僚のミスのカバーのために動いたり、部署を超えた飲み会で知り合いを増やしたりするのは苦手。チームで協力し合って、ひとつのものを作り上げていくことを好まない人も多いようです。その結果、職場で孤立することもあるかもしれません。
世代による違いを知ることは、相手を理解することにつながる
これらの特徴はあくまでも大まかな「傾向」であって、ゆとり世代に該当する全員がこれに当てはまるというわけではありませんが、ゆとり教育が生まれた背景や、そのことが教育を受ける人たちにどんな影響を与えた可能性があるのかに目を向けることで、少なからずゆとり世代とのコミュニケーションがうまくいきやすくなることはあるでしょう。
また、自分自身がゆとり世代に該当するなら、ゆとり世代の教育が他の世代の教育とどう違うかを知ることで、自分とは違う考え方や価値観の人を理解しやすくなるでしょう。
さとり世代とは?
ゆとり世代と比較されることが多いのが、1996年頃から2005年に生まれた「さとり世代」です。1987年4月2日から2004年4月1日のゆとり世代と被ることになりますが、そのなかでも特にこの期間に生まれた人によく見られる傾向を表すために使われる言葉です。
具体的には、さとり世代が生まれた時代は1991年から1993年にかけてのバブル崩壊直後に当たるためか、物欲も恋愛への興味もあまりない傾向にあることから、悟りを開いたようであるとして「さとり世代」と言われています。
しらけ世代、プレッシャー世代とは?
ゆとり世代とさとり世代のほかには、1955年前後生まれで2022年時点では66歳前後となる「しらけ世代」、ゆとり世代が生まれる以前の1982年から1987年頃に生まれた「プレッシャー世代」などがあります。
「しらけ世代」と呼ばれる理由は、学生運動が沈下した直後で多くの人が政治に無関心だったから。また、バブルが崩壊して就職氷河期に突入した時代を目の当たりにしてきた「プレッシャー世代」は、プレッシャーに耐える力が強いと言われています。
「〇〇世代」はひとつの目安
世代ごとの特徴を知っておくことや、特徴を知るために時代背景を調べることは、異なる世代の上司や先輩、後輩との円滑なコミュニケーションにも役立つことが大いにあります。ただし、「××さんは〇〇世代だからこういう性格に違いない」などと決めつけるのはNG!
どの世代にも共通していえることですが、「〇〇世代」はひとつの目安でしかないので、世代による傾向の分類は、相手のことを理解するための入り口として、上手に活用してくださいね。
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