転職面接において、面接官から過去の失敗談を尋ねられる場合があります。これは本人の問題解決力や分析力を確認するための質問であり、面接前に用意しておくことで慌てず冷静に答えられるでしょう。
この記事では、失敗談のシナリオ作成方法やエピソード例を紹介します。
転職の面接で失敗談を聞かれる理由
面接での失敗談の質問は、本人のリカバリースキルをチェックする意図があります。ここでは、面接で失敗談を聞かれる理由を詳しく解説します。
問題解決能力の評価
面接官が失敗談を聞く理由の一つとして、問題解決能力の評価が挙げられます。面接官としては、候補者が失敗した際、どのようにリカバリーするかが気になるところです。
具体的にいうと、問題解決能力とはトラブルが起こった際の「謝罪」「解決策を見つけ出す力」「自主性」といったスキルのことです。基本的なビジネスマナーや対応力を確認・見極める意図で質問されます。
分析力の確認
面接官が失敗談を聞くもう一つの理由が、分析力の確認です。問題解決がなされた後、今後も同じミスを繰り返さないためには、失敗が起こった要因の分析が求められます。
ミスが起こるポイントには、フローやシステムに弱点が潜んでいることが多いものです。弱点を解明するスキルや分析力が備わっている人は、課題への適応力も高いと判断されます。
失敗談にふさわしい内容とは
転職面接の失敗談を考える場合、直近の就労エピソードを用意するのがコツです。新卒の就職活動では学生生活エピソードをメインに述べますが、就労経験のある人には社会人経験での話題を期待されます。
以下は、失敗談にふさわしい内容の例です。
- プロジェクトでの出来事
- コミュニケーション方法
- 業務改善
- 顧客対応
上記のエピソードで学んだ教訓を用意することで、問題解決力と分析力を端的に伝えられます。
自分の失敗談を探す4つの方法
「ちょうどいいエピソードが思いつかない」「自分の経験ではインパクトに欠けそう」と悩む人もいるでしょう。エピソードで最も重要な点は「課題にどのように立ち向かったか」なので、誰でもトピックは用意できます。
ここでは、失敗談のテーマを探せる4つの方法について解説します。
過去の挫折経験を振り返る
まずは、過去に直面した挫折経験を思い出してみましょう。挫折経験が起きやすいと考えられるのは、以下の3つの状況です。
- 入社当初
- 業務に慣れてきた頃
- 長期プロジェクト中
例)顧客からのクレーム、売上の低迷、予算超過、ケアレスミスから大きな課題に発展したエピソードなど
当時の日報や日記がある人は、見返すことでどのようなエピソードがあったかを簡単に振り返れます。
最近のミスを思い起こす
過去の挫折体験がなかなか思い浮かばない人は、直近の小さなミスについて考えてみましょう。
- 日常業務での小さなミス
- ミーティングや報告での失敗例
例)書類の締め切り間違い、メールの宛先ミス、データ入力ミス
小さなミスであるほど日常で見過ごされることが多いため、改善までの経緯を示すと共感性のある内容となります。
努力や挑戦したことを見直す
努力やチャレンジしてきたことをリストアップすることで、逆境に立ち向かったエピソードを作成できます。
- 目標達成に向けた具体的な取り組み
- スキルアップや資格取得のための努力
- 組織への貢献
例)新規顧客の開拓、一度不合格となった試験への再チャレンジ、リーダーとしての苦労
年間スケジュールを見返し、携わったプロジェクトを思い出しながらエピソードを振り返るのもオススメです。
第三者にフィードバックを求める
会社の上司や同僚など、自分の失敗談について気軽に話せる相手がいる場合は、エピソードについて直接尋ねるのも方法の一つです。失敗した出来事を尋ねるというよりも「成長が感じられた瞬間」について聞くと後からのシナリオ作成で活きてきます。
第三者の意見からは、自分では気づかなかった視点や、より効果的な伝え方のヒントを得られます。
失敗談の構成を考える
失敗談のシナリオを作るには、以下の4つのパートに当てはめて考えていきます。
- 結論
- 失敗の理由や背景
- 失敗をカバーするためのアクション
- 失敗から学んだ教訓
肉付けは後からできるので、まずは各パートごとに一文ずつ文章を考えて骨組みを整えていきましょう。
結論
まず失敗の結果を端的に述べて、話の方向性が相手にわかるようにします。
例)「プロジェクトの納期を2週間遅延させてしまいました」
失敗の理由や背景
なぜ失敗が起きたのか、理由を説明します。
例)「チーム内のコミュニケーション不足と、自身のタスク管理の甘さが原因でした」
分析力をアピールするパートでもあるため、原因を掘り下げて説明しましょう。
失敗をカバーするためのアクション
失敗後の対応策を詳しく説明し、問題解決能力や責任感を示します。
例)「日々の進捗報告の徹底や、クライアントへ再調整の提案を細かく行いました。」
このパートは後から肉付けができるため、骨組み作成段階では大まかな内容で問題ありません。
失敗から学んだ教訓
最後に、失敗からの学びと今後の活かし方を述べます。
例)「この経験から、スケジュール設定と進捗状況を把握する重要性を学びました。この経験から、入社後はリスク分析とコミュニケーションに力を入れていきたいです。」
成長意欲や、前向きな姿勢をアピールしましょう。
骨組みに肉付けをしていく
できた骨組みに肉付けし、シナリオを完成させます。主に「③失敗をカバーするためのアクション」と「④失敗から学んだ教訓」の内容を充実させましょう。
パート | 肉付けのポイント |
③失敗をカバーするためのアクション |
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④失敗から学んだ教訓 |
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以下は、肉付けが終わり完成したシナリオです
- 新規顧客向けシステム開発プロジェクトで、納期を2週間遅らせてしまいました。
- 主な原因は、チーム内のコミュニケーション不足、自身のタスク管理の甘さでした。
- 対策として、毎日のミーティングを導入し、プロジェクト管理ツールを活用してタスクの可視化を図りました。クライアントには状況を誠実に説明し、部分的な納品スケジュールの再調整を提案しました。
- この経験から、透明性の高いコミュニケーションの重要性とリスクを考慮した現実的なスケジュール設定の必要性を学びました。この学びを活かし、入社後もプロジェクト初期段階でのリスク分析とコミュニケーションに力を入れていきたいと思います。
面接で使える失敗談例3選
ここからは、面接で使える失敗談例をテーマごとに3つご紹介します。自身の失敗談に要素を取り入れたり、表現の参考にしたりと、自由に活用してください。
顧客対応での失敗
- 関係の長い顧客からの急ぎの問い合わせに対し、十分な確認をせずに誤った情報を提供してしまいました。
- 速やかな対応を心がけるあまり、関連部署との連携を怠ったことが大きな理由です。
- まずは、顧客に対して真摯に謝罪し、改善策を提示しました。また、情報の正確性チェックと社内での共有プロセスを見直し、チェックリストを作成しました。
- この経験から、速さだけでなく正確さにも十分に気を配ることが重要だと学びました。御社では、正確性とスピードのバランスを心がけながら顧客満足度向上に貢献していきたいと思います。
ポイント:「正確性とスピードのバランス」のような、キャッチーなフレーズがあると聞く側の印象に残ります。あとから「バランスの保ち方」についての質問が来る可能性があるので、準備しておくとスムーズな会話につながるでしょう。
チーム内のコミュニケーションミス
- 大規模プロジェクトで、自分の担当部分の仕様変更をメンバーに適切に伝達せず、最終段階でトラブルとなりました。
- 自分の担当範囲にのみ集中し、変更がほかの部分に与える影響を考えなかったことが大きな理由です。また、私には自分の進捗をほかのメンバーに伝えるのを怠る癖もありました。
- そのため、進捗会議では報告の必要がなさそうに思われるトピックであっても、必ず何か一言は話すようにしました。すると、メンバーが自分の発言に対してコメントしてくれて、新しいアイデアや発見に気づくようになりました。
- この失敗から、情報共有やメンバーを頼ることの重要性を学びました。御社では、オープンなコミュニケーションを心がけ、チームの一体感を得ながら業務に励みたいと思います。
- ポイント:コミュニケーションのすれ違いによるミスは、どの会社でも起こり得る課題といえます。自分が何を心がけて、全体にどのように作用したかを述べると、自ら考えて周りに影響を与える人材であるとアピールできるでしょう。
業務改善の失敗
- 新しいシステムを導入したものの従業員の混乱を招き、一時的に業務効率が低下しました。
- 効率化に焦点を当てすぎて、実際の業務フローや従業員のスキルレベル、既存システムとの統合の複雑さを見過ごしていたことが原因です。
- システムはすでに導入してしまっているので、システムと従業員の強みを活かす運用にシフトチェンジしました。約3ヶ月後には新システムの利用率が向上し、当初目指していた効率化も徐々に実現できました。
- 御社では、この経験を活かし、現場の声に耳を傾けつつ定期的な効果測定を踏まえて、実現性の高い提案を行っていきたいと思います。
ポイント:すでに導入してしまったシステムの変更が難しいことは、誰でも理解できます。そこからどのようにリカバリーしたかを具体的に述べると、発想力のアピールにつながるでしょう。
失敗談としてNGな3つのエピソード
失敗談とはいえ、テーマは何でもいいわけではありません。ここでは、失敗談としてNGな3つのエピソードについて解説します。
重大な問題を引き起こしたエピソード
訴訟や多大な損失をもたらしたミスなど、重大な問題に発展したエピソードは避けるべきです。失敗は誰にでもあることですが、あまりにも大きなトラブルについて述べると「リスクのある人材」と捉えられてしまいます。
失敗談に最適なトピックは、自身の努力で改善できた経験です。困難に直面した際のアクションを述べ、対応力や学習能力をアピールしましょう。
笑いを狙ったエピソード
面接での失敗談として、笑いを狙ったエピソードは適切ではありません。自分や仲間内ではおもしろい内容であっても、面接の場で必ずしも笑いが起こるとは限らないからです。
面接官は、候補者のビジネスパーソンとしての姿勢や能力を評価したいと考えています。ユーモアは大切ですが、ビジネスの場面では慎みましょう。
マナーのなさを露呈するエピソード
寝坊や不適切な振る舞いなど、社会人マナーのなさを露呈するエピソードは、自身の信頼性を損なうため避けましょう。とくに転職面接の場合、新卒入社とは異なりビジネスマナーはあって当然のものとして扱われます。
失敗談において重要なのは、何を学び、どのように成長したかの提示です。マナーに関する話題は避け、専門性と学習能力をアピールする内容を選びましょう。
失敗談を用意して転職面接に挑もう
面接官からの失敗談についての質問は、課題や逆境への対応力をアピールする絶好のチャンスです。失敗は誰でもあるからこそ、そこからのアクションを説明することで共感と信頼感を生みます。
面接官によい印象を残すために、失敗談として適切なテーマを用意し、自信を持って転職面接に挑みましょう。
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