ブラック企業については、「残業が多い」、「パワハラが多い」などのイメージがあるもの、その実態は曖昧です。
ブラック企業に勤めると、実際に従業員はどのような状況に陥ってしまうのでしょう。
今回は、これから就職を控えている方に向けて、ブラック企業について様々なデータを用いながら詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、
- ブラック企業の多い業界
- ブラック企業の労働時間
- ブラック企業の働きがい
- ブラック企業を避けて就活する方法
などについての理解を深めることができます。
リサーチせずに就職すると、うっかりブラック企業に就職してしまうケースも当然起こり得ます。
ブラック企業についての理解を深め、極力ブラック企業以外の会社へ就職できるように準備しておきましょう!
ブラック企業の様々な割合
最初の章では、ブラック企業の様々なデータを紹介します。
ブラック企業が多い業界がどの業界なのか、ブラック企業に勤める人が抱いている思いなど、知っておいて損はない内容が満載です。
単なるイメージではなく、統計結果のデータを見ることで正確にその実態を知ることができます。
ブラック企業について気になる人の中には、「これから就活をするからブラック企業だけは避けたい」と思う人も多いはず。
ぜひここで正確なデータを見ておいてくださいね!
業種別 ブラック企業の割合
就職する際に初めに絞り込むことといえば「業界」です。
実は、ブラック企業が特に多い業界というのはある程度決まっていて、その業界を避けることでブラック企業への入社を回避できる可能性は高いです。
以下のデータは、自分の勤め先がブラック企業であると認識している人の割合を示したものです。
まずはデータを見てみましょう。
▼勤め先がブラック企業と認識している人の割合(業種別)
業種 | 勤め先が「ブラック企業」だと認識している人の割合 |
建設業 | 25.9% |
製造業 | 23.6% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 14.3% |
運輸・情報通信業 | 24.1% |
卸売・小売・飲食業・宿泊業 | 27.0% |
金融・保険業・不動産業 | 20.6% |
その他サービス業 | 29.5% |
参考:連合総研「第38回『勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)』調査結果」
赤字で示している業界は、25%以上の人が「勤め先がブラック企業だ」と思っている業界です。
データを見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」の業界だけが14.3%と低めの数値であることが分かります。
この業界は最もホワイト度が高い業界としても知られており、考えられる理由としては
- 大手が多い
- 労働時間管理が徹底されている
- 福利厚生が充実している
などが挙げられます。
一方、以下の業界はブラック度が高めです。
- 建設業
- 卸売・小売・飲食業・宿泊業
- その他サービス業
建設業は現場仕事がメインであるために、工期ギリギリになると早出や残業、休日返上で働くなどの厳しい状況を強いられがち。
飲食や宿泊、そしてサービス業全般は「いかにもブラック企業が多いであろうと思われる業界」です。
そのイメージ通り、「定時上がりなどあり得ない」というほどに残業が日常化しているケースが多いのも事実です。
このように、業界別に比較してみるとどの業界がブラック企業に当たる確率が高いのかが分かります。
年齢別 勤務先をブラック企業だと認識する割合
続いて、勤務先をブラック企業だと認識している人の年齢に注目してみましょう。
正社員として勤務する人の中で、ブラック企業と認識する人の割合を年齢別に比較したデータが以下のものです。
▼勤め先がブラック企業と認識する人の割合(年齢別)
分類 | 勤め先が「ブラック企業」だと認識している人の割合 |
20代男性正社員 | 25.6% |
20代女性正社員 | 21.8% |
30代男性正社員 | 28.9% |
30代女性正社員 | 35.5% |
40代男性正社員 | 26.6% |
40代女性正社員 | 23.2% |
50代男性正社員 | 24.3% |
50代女性正社員 | 24.7% |
参考:連合総研「第38回『勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)』調査結果」
ご覧の通り、男女ともに30代正社員が最も自分の勤務先をブラック企業だと思う人の割合が多いです。
特に、男性が28.9%なのに対し、女性は35.5%とさらに高い点も興味深いですね。
女性の20代を見ると21.8%。これが30代になることで35.5%にまで跳ね上がる理由をとして考えられるのは、
- 20代のうちは他の会社を知らず比較対象がない
- 30代になると任される業務が増えて負担を感じやすくなる
などでしょう。
いずれにせよ、30代正社員のうち3割ほどが「勤務先はブラック企業だ」と思っているわけですから、この数値はかなり高いと言えます。
ブラック企業で労働時間が長いと感じる人の割合
ブラック企業について最も注目されがちなのが「長時間労働」です。
残業や休日出勤などが日常的に多いブラック企業ですが、実際どのくらいの時間働いているのかも気になりますね。
以下のデータは、勤務先がブラック企業であると感じながら働いている人を対象に調査した結果のデータです。
▼1週間あたりの平均労働時間
30時間未満 | 30〜40時間 | 40〜50時間 | 50〜60時間 | 60時間以上 |
9.4% | 18.3% | 40.3% | 18.1% | 13.9% |
参考:連合総研「第38回『勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)』調査結果」
1週間あたりの平均労働時間の考え方ですが、あくまでも実動時間となるため、仮に9時から18時までの勤務であれば休憩の1時間を差し引き、8時間が労働時間となります。
8時間の勤務を週に5回行えば、1週間の労働時間は40時間。
調査結果を見ても、40〜50時間が40.3%と最も多いため、この点は頷けますね。
しかし、注目すべきは以下の数値です。
- 50〜60時間 18.1%
- 60時間以上 13.1%
データを見ると、労働時間50時間以上の回答が31%もありますね。
やはりブラック企業の労働時間は長いことがこれではっきりと分かります。
ブラック企業で働きがいを感じる人の割合
働きがいを感じて仕事をする人と、働きがいを感じずに仕事をする人とでは、日々の充実度が大きく違います。
以下のデータは、正社員を対象に仕事に働きがいを感じているかどうかを調査したものです。
▼仕事に働きがいを感じているか
働きがいがあると思う | 働きがいがあると思わない | |
勤め先をブラック企業だと思う人 | 35.0% | 60.8% |
勤め先をブラック企業と思わない人 | 48.6% | 48.5% |
参考:連合総研「第38回『勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)』調査結果」
勤務先をブラック企業だと思う人の約6割が、仕事に働きがいがあると思わないと回答しています。
一方で、勤め先がブラック企業と思わない人の半数近くにあたる48.6%は働きがいがあると回答しています。
やはり、仕事に対する意欲と企業のブラック度には関係があると言えます。
就活の際にブラック企業を見極める3つの方法
ブラック企業の様々なデータを見た今、あなたはきっと「やっぱりブラック企業だけは勘弁だな」と思っているのではないでしょうか。
ブラック企業に勤めると、仕事のやりがいを感じにくくなり、労働時間は長くなってしまう傾向があります。
明らかに「ハッピーな社会人生活」は遠のいてしまいますね。
では、どうすればブラック企業を避けて就活を進めることができるのでしょう。
答えはシンプルに、「ブラック企業をなるべく見極める目を持つこと」です。
この章では、ブラック企業であるかどうかを見極める3つの方法について解説します!
1.非公開求人に注目
転職サイトや転職エージェントに登録して、ネット上に掲載されている企業から狙うべき企業を絞り込むという方法は至って一般的です。
しかし、転職サイトや転職エージェントのサイト上にすぐに閲覧できるように掲載されている求人が全てではありません。
むしろ、どのサイトを見ても必ず目につくところに求人情報を掲載している企業の中にはブラック企業も多く隠れています。
ブラック企業は、
- 離職者が多いためつねに人材補給をしている
- 1人でも多くの人材をなるべく早く補填したい
- 多くの人にエントリーしてもらいたい
などの理由で求人情報を目立つところに掲載し、エントリーした人の中で「よりストレス耐性が高い人」を選んで採用していくのです。
ここで知っておきたいのが「非公開求人」の存在です。
非公開求人は、転職サイトやエージェントがネット上に公開していない求人のこと。
企業の求める人材として挙げられた条件にマッチする人材を、転職エージェントが紹介する形で採用過程を進めていきます。
入社後のポジションや人材に求める経験・能力がかなり具体的なのが非公開求人の特徴です。
そのため、非公開求人の中にはブラック企業が潜んでいるとは考えにくいと言えます。
ブラック企業を見極める方法というよりは、ブラック企業をなるべく避ける方法の一つとして、「非公開求人に注目する」のは大いにアリだと言えます。
2.求人情報上の文言に注目
求人情報を見ていると、会社が様々なアピールをしているのが分かります。
ブラック企業においては、求人情報上の文言にも特徴が見られるため、求人を探す際にはしっかり読み込むことをおすすめします。
- 若手が活躍!
- やる気次第で早く出世!
- 社員は家族です!
- やりがいのある仕事です!
ブラック企業の多くは、以上のような文言をアピール文に盛り込んでいます。
若手が活躍するのは素晴らしいことですが、裏を返せば「人が辞めていくから若手しか残らないのでは」と疑うこともできます。
一見「良さそう!」と思える文言でも、視点を変えることで不審な点が見えてくるもの。
しっかりと文章を読み込み、妙な記載がないかどうかを見ておくことが大事です。
3.離職率に注目
就活の際には、事前に企業のリサーチをする必要があるのは常識ですが、中でも注目すべきは「離職率」です。
ブラック企業は離職率が高いため、離職率の数値が高い企業に関しては「ブラック企業である可能性を疑う余地がある」と言えます。
離職率を調べる際には、「就職四季報」を使用するのが最もスムーズです。
就職四季報は、毎年東洋経済新報社が出版している書籍で、就活に役立つ多くの情報を掲載しています。
企業の紹介ページには「3年後離職率」が載っているため、この数字を見ることで離職率を把握することが可能です。
目安となるのは30%と言われており、それ以下であれば低め、以上であれば離職率が高めであると考えられます。
しかし、その年の入社人数が少なければ、離職率の数字はあまり参考にならない点も理解しておきましょう。
まとめ
今回の記事では、ブラック企業についての理解を深めるため、様々なデータを用いてブラック企業の実態を解説しました。
記事の内容をまとめると、以下の通りとなります。
- ブラック企業は建設業・サービス業に多い
- 30代正社員の3割が勤め先をブラック企業だと思っている
- ブラック企業では3割以上が週に50時間以上労働している
- ブラック企業は就活時のリサーチである程度見抜くことが可能である
これからの社会人生活が、ブラック企業に忙殺される毎日にならないためにも、就活時にできるかぎりのリサーチをしておきましょう。
一度ブラック企業に就職してしまうと、そこからの退職も大変な上、あなたの職歴にも傷が付きかねません。
あなた自身のハッピーな未来のため、ブラック企業を可能な限り見極められるようになっておきましょうね!