ブラック企業と知らずに就職し、あまりにもひどい労働環境に限界を感じたら、誰もがきっと「辞めたい!」と感じるでしょう。
ストレスが溜まり心に余裕がなくなると、後先考えずに「1日でも早く辞められれば」と、辞めることだけに意識が向いてしまいがちです。
しかし、ブラック企業を辞めたいと感じた場合には、正しい知識を持ち、冷静に判断する必要があります。
- 本当にその会社がブラック企業なのか
- 辞めることで全てが解決するのか
- 辞める際に注意すべき点
仕事を辞めるというのは人生において大きな決断です。
焦って判断を見誤ることのないよう、この記事をしっかりと読み込み、正しい判断をしましょう!
ブラック企業の定義
あなたは「ブラック企業」について具体的な説明をすることができますか?
多くの人がぼんやりと「労働環境が良くない会社」であることはイメージできていると思いますが、ブラック企業の定義を聞かれて明確に答えられる人は少ないでしょう。
そもそも、ブラック企業という言葉に明確な定義は存在しません。
しかし、厚生労働省においては、ブラック企業の特徴について以下のように示しています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
分かりやすく言い換えるなら、
- 極端な長時間労働や現実的でないノルマ
- パワハラやサービス残業、賃金未払い
- 会社の方針に逆らう従業員はいじめに遭うなどして退職に追い込まれる
このような特徴に当てはまるのがブラック企業。
あなたの勤務先の企業がブラック企業であるかどうかは、これら3つの特徴に該当しているかどうかで判断することができます。
ブラック企業を辞めたいときに考えるべき3つのこと
勤め先がブラック企業であると確信し「辞めたい」と思う場合には、まず辞める前に考えるべきことがあります。
ここでは、今まさに「もう今すぐにでも辞めたい」と思っているあなたが、退職を決める前に考えるべき3つのことについて解説します。
1.転職回数が増えると就活が難しくなる
今のブラック企業を辞めた後のことを考えてみましょう。
あなたはこれから次の就職先を探すため、転職活動を開始するでしょう。
就活の際には、これまでのあなたの職歴が多いに影響を及ぼします。
- 転職回数がやたら多い
- 同じ企業に1年以上勤めたことがない
- 職歴に空白がいくつもある
これらの要素は、就活において確実に不利になると思っておかなければなりません。
だからと言って、仕事を辞めるなとは言いません。
ただ、勤続年数がやたらと短かったり、転職履歴が明らかに多かったりすれば、今後あなたの転職活動は難しいものになる可能性がある点においては理解しておく必要があります。
2.企業ではなく自分自身に問題がないか
「ブラック企業だからもう辞めたい」という人の中には、自分自身の問題を会社のせいにしている人もいます。
例えば、
- 残業が多い
- 仕事がつらい
- 上司が意地悪
などの状況は、あなた自身の仕事の遅さや、仕事に対する熱意や意欲、上司との単なる相性などが原因で起こる可能性もあります。
この場合、業務効率化を図ることで残業は一気に減るかもしれません。
仕事に対するあなたの姿勢を変えることで、意欲を取り戻せるかもしれません。
こう考えていくと、あなた自身が改善することで問題を解消できる可能性が見えてきます。
3.本当にブラック企業なのか
そもそも、あなたの勤め先の企業は本当にブラック企業なのかも正しく判断する必要があります。
本当にブラック企業なのか、それとも何か1つ2つの問題だけにあなたが固執し、「ブラック企業だ」と決めつけてしまっているのかは冷静にならなければ見誤ってしまいがちです。
よくある例として、以下のような場合に「ブラック企業ではない企業をブラック認定してしまう」ということが起こります。
- 職場の人と仲良くなれない
- 仕事を覚えられずよくミスをして叱られる
- ノルマがクリアできない
冷静になるとお分かりかと思いますが、これらの要素だけではブラック企業であるとは到底言えません。
職場の人間関係に悩まされる事例はブラック企業でなくても十分に起こり得るケースですし、ミスをする方にも落ち度が確実にあります。
ノルマが非現実的な数字であれば別ですが、営業などで常にノルマをクリアできないのがあなただけだとすれば、あなたの仕事の仕方に問題があると言えます。
ブラック企業だと決めつける前に、客観的に企業を見る目をここでもう一度養う必要があります。
ブラック企業であるかを見極める3つの方法
ブラック企業だから辞めると決意する前に、会社が本当にブラック企業であるかを見極める方法については、主に3つです。
ここでは、ブラック企業であるかどうかを見極める際に注目すべき3つのポイントについて解説します。
細かい話をすれば、ブラック企業の特徴はまだまだあります。
この章では、中でも最も分かりやすく判断しやすいポイントに絞り込んで紹介していきます!
1.サービス残業が日常茶飯事
ブラック企業の最大の特徴と言っても過言ではないのが、「残業代未払い」です。
サービス残業と言われる、賃金の支払われない残業があること自体が問題なのですが、ブラック企業においてはサービス残業がほぼ毎日のように行われます。
- 残業する前にタイムカードを切るように指示される
- 全員が長時間の残業をしているが誰も残業代を支給されていない
- 終電を逃してタクシーで帰る人もいる
- 仕事が終わらずオフィスで一夜を過ごす人もいる
これらの状況はもはや普通ではありません。
あきらかに異常な労働環境であり、ブラック企業と断言して間違いないでしょう。
2.パワハラが横行
ブラック企業の特徴として、パワハラが横行しているという点が挙げられます。
パワハラというのもまた線引きが難しいところがありますが、以下のようなケースは明らかにパワハラと考えて良いでしょう。
- 集団無視
- 他の従業員の前で見せしめのように叱責
- 物を投げつけるなど身体的攻撃
- 人格を否定するような言葉の暴力
普通に働いていて、ミスをして叱られることはあっても、上記のような経験をすることはまずありません。
上記の例に該当する事例があれば、それはパワハラです。
パワハラが日常的に行われている職場では、自分がターゲットになることだけは避けたいと考える人がほとんど。
そのため、状況は改善されるはずもなく悪化の一途を辿ります。
3.飲み会の強制参加
ブラック企業は、勤務時間外にも従業員をコントロールしたがる傾向があります。
業務終了後の飲み会や、休日に行われるイベントなどは、基本「参加したければすれば良い」ものであって、「参加を強制されるもの」ではありません。
しかし、ブラック企業に関しては飲み会やイベントごとに従業員を強制参加させるところがあり、これを拒否したことで職場いじめや様々な嫌がらせに遭うというケースは少なくありません。
これまであなたが、会社の飲み会を欠席したことで嫌がらせをされた経験があったり、会社の飲み会に参加しなければ査定や出世に支障がでると感じたりしたのなら、もはやそれは普通ではありません。
ブラック企業を辞める際に注意すべき3つの注意点
さて、ここまで読んでみてもなお「辞めたい」意思が固い場合には、いよいよ辞める方向で行動を開始する必要があります。
最後の章では、ブラック企業を辞める際に気をつける3つのことについて解説します。
ブラック企業を辞める際には、
- なかなか辞めさせてもらえない
- 辞めた後に必要書類がもらえない
という大きな2つのリスクがあります。
ここで紹介する3つのポイントに気をつけることで回避できるため、しっかり読んでおいてくださいね!
1.「辞めます」と言い続けること
ほぼ確実に起こり得ることとして、「ひたすら引き止められる」というケースが挙げられます。
ブラック企業はそれでなくても離職率が高く、常に人が足りていない状況。
あなたが辞めたいと言っても簡単に辞めさせたくないのが本音です。
- 辞めたいと言っても取り合ってもらえない
- 部署移動などで問題を解決しようとする
- 昇給や出世の話を持ちかけてくる
辞めたいと上司に伝えても、もしも上記のような対応を取られるようであれば、スムーズに退職することは不可能です。
しかし、あなたはもう決心しているのですから、「辞められないならあきらめるしかないのかな」なんて弱気になる必要は皆無です。
何があろうと「辞める」と言い続けること、その姿勢を持ち続けることが大事です。
2.日付入りの退職届を出す
ブラック企業でありがちなのが、退職する意向を伝えても全く話を進めてもらえないケース。
こうなってしまうと、「あの、先日もお話しした退職の話なのですが」などと何度言っても「後にしてくれ」などと逃げられてしまいます。
この場合の対処法として、「日付入りの退職届を郵送で送る」という方法があります。
郵送方法を「内容証明郵便」で送付することで、会社は
- 届いていないと言い逃れできなくなる
- 法律上退職を認めざるを得なくなる
という状況に追い込まれます。
本来であれば、円満に退社したいと考えるのが一般的ですが、ここでのゴールは「退職」です。
とにかく退職できればいいと考えるなら、退職日の1ヶ月前ないし2週間前(会社の規定により異なります)退職届を日付入りで送付することで、法律上退職日に退職することが可能になります。
3.離職票を確実にもらうこと
仕事を辞めてすぐに転職する場合は良いのですが、しばらく転職活動に時間をかける場合には失業保険を受給するのが一般的。
ハローワークで失業保険の手続きをする際には、退職した企業が発行した「離職票」が必要です。
離職票がなければ失業保険は受給できないため、失業保険受給を考えている人にとっては非常に重要な書類となります。
しかし、ブラック企業の中には嫌がらせを目的に、離職票を発行しない企業もあります。
通常、離職票は必ず企業が無条件に発行してくれるものですが、もしも手に入らない場合にはこちらから問い合わせる必要があります。
離職票を発行するよう会社に伝えても会社が動いてくれない場合には、「ハローワークに相談し、ハローワークから強制的に企業に離職票を発行させる」ことが可能ですので覚えておきましょう。
まとめ
今回は、ブラック企業を辞めたいと思ったときにやるべきことについて解説しました。
今回の記事の内容をまとめておくと、以下のとおりです。
- 本当に転職すれば全て解決するのかを正確に判断しよう!
- 自分に原因がないかを考える
- 本当にブラック企業なのかを判断する
- 辞める際には確固たる決意を持ち続ける
- 退職届を配達記録郵便で郵送する方法もある
- 退職時は離職票を必ず手に入れる
これらのポイントをしっかりと理解し、あなたにとって退職することが最善の選択肢であるかを正しく見極め、退職する場合にはスムーズに進められるよう尽力しましょう!
言うまでもありませんが、ブラック企業は長く勤めるのにふさわしい勤務先ではありません。
今後転職する際には、同じことの繰り返しにならないよう注意深く念入りに事前リサーチを行い、再びブラック企業に入社してしまわないよう細心の注意を払うことも忘れずに!