ブラック企業では最悪の場合「過労死」という悲惨な結末を迎えるなど、深刻な問題が起こっています。
長時間労働やパワハラなど、「快適に働ける環境」とは程遠いブラック企業ですが、一体なぜブラック企業はなくならないのでしょう。
今回は、ブラック企業がなくならない原因に注目し、
- ブラック企業がなくならない理由として考えられること
- ブラック企業側が改善のためにすべきこと
- ブラック企業に勤めているあなたがすべきこと
について解説していきます。
今ブラック企業にお勤めで、今後進むべき道に迷っている方や、ブラック企業についてもっと知りたい、という方にぜひ読んでいただきたい内容です!
ブラック企業とは
ブラック企業とは、具体的にどのような企業のことを指すのでしょう。
そもそも、ブラック企業という言葉には明確な定義が存在しないため、企業に対してはっきりと「ブラック企業であるか否か」を判定することは不可能です。
ですが、一般的なイメージとして、
- 労働時間が長すぎる
- 残業代が支払われない
- パワハラが横行している
などの場合に、「ブラック企業」と判断されることが多いです。
ここで厚生労働省が示すブラック企業の特徴について見てみましょう。
厚生労働省は、ブラック企業の特徴について以下のように示しています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
厚生労働省の言うことには、長時間労働・パワハラ・残業代未払いなどがブラック企業の特徴。
やはりこの3つはブラック企業の最大の特徴。
お勤めの会社がこれらの条件に該当している場合は、ブラック企業と言って間違いないでしょう。
ブラック企業がなくならない5つの原因
ブラック企業で働くということは、決して簡単なことではありません。
長時間労働により自分の自由な時間が奪われ、さらには上司からのパワハラ、さらに賃金未払いなどまさに踏んだり蹴ったり。
それにも関わらずブラック企業がいつまでもなくならないことに疑問を感じる人も多いでしょう。
この章では、なぜブラック企業がなくならないのか、考えられる5つの理由について解説していきます。
1.勤勉で真面目な日本人の国民性
誰も働いてくれる人がいなくなれば、ブラック企業は存在することはできなくなります。
しかし、日本人はとても真面目です。
- 逃げるのは恥だ
- 限界まで頑張るべき
- 仕事はきつくて当たり前
仕事に対してこのような考え方を持つ人は非常に多く、勤務先がブラック企業であると分かっても辞めようとしない人はたくさんいます。
労働者がいる限り、ブラック企業は劣悪な職場環境を改善することもなく、そのまま存在し続けることができてしまうのです。
2.転職難民になりそうで辞められない
ブラック企業で働いていると自覚しながらも、転職しない理由は他にもあります。
以下はブラック企業に勤務しているけれど、転職をしない人の理由について調査したもの。
最も多い理由が、「転職先が見つかるかどうかが不安だから」というものです。
51.5%もの人が転職に不安を抱えており、その不安からブラック企業を抜け出すことができなくなっているということになります。
転職に不安を抱える人の多くは、専門スキルがない人や学歴職歴に自信の無い人。
逆に考えれば、ブラック企業に勤める多くの人は自分の人材としての価値に自信がない人たちであるとも言えます。
3.昔ながらの縦社会がいまだに根強い
日本企業は昔から縦社会で、
- 会社の言うことは絶対
- 上司には逆らえない
という風潮があります。
そして、この縦社会の風潮は今の時代にも根強く残っており、その結果「パワハラ」や「長時間労働」が起こりやすくなっています。
なぜ縦社会がこれらの悪影響を及ぼすかは明確であり、
- 時代の流れに合った効率的な仕事の仕方ができていない
- ストレスが作業の効率を著しく下げてしまう
などが理由となっています。
目的を遂行することを最優先に考えるなら、新しい考えをどんどん取り入れる方が良いに決まっています。
ですが、若い社員が古株の先輩や上司に意見することができない縦社会においては、古めかしい仕事の仕方を何年も何十年も続けてしまうのです。
4.ブラック企業に対する取り締まりが甘い
ブラック企業がなくならないのは、ブラック企業に対するペナルティがあまりにもなさすぎるからでもあります。
ブラック企業対策として有効であると思われるものが何であるかをアンケート調査した結果が以下のものです。
▼ブラック企業対策として有効であると思う施策
多くの人が、ブラック企業の社名公表や、労基法の取り締まり強化と回答しています。
確かに、厚生労働省では平成29年に出された指針を元にブラック企業の社名公表が進められています。
しかしながら、公表されている社名は主に大企業のものであり、おまけにその数も十分ではありません。
ブラック企業の社名公表はまだまだこれからといった段階であり、高い効果を期待できるほどのものではないというのが現状です。
他にも、
- 労働基準法取締強化
- 労働基準法違反の厳罰化
などがブラック企業撲滅に有効であると考える人が多く、それだけ現状の取り締まりや罰則に関するルールが緩いことが伺えます。
5.資本主義である限り労働者は搾取される
日本のブラック企業問題においては、そもそもの資本主義に深く関係しているとも言えます。
営利目的の個人的所有者によって商業や産業が制御されている、経済的・政治的システム
引用:Wikipedia
「個人的所有者によって商業や産業が制御されている」と聞くと、何となくブラック企業が生まれやすい環境のように感じませんか?
資本主義が進行するにつれて、所有者(つまり社長)が利益を上げるために労働者の賃金を下げる、その結果業務効率が下がり企業の利益も上がらなくなります。
企業はそこからどうにか這い上がるため、人件費を今以上にかけることなく、最大限の成果を上げようとするでしょう。
ここで限度を超えた長時間労働が発生します。
労働者は搾取され続けるのです。
ブラック企業が今でもなお生まれ続け、なくなる気配がないのは資本主義の影響も関係していると言わざるを得ません。
ちなみに、ZOZOの前澤社長は著名な実業家の一人ですが、インタビューで資本主義とブラック企業の関連性についてこのように述べています。
資本主義はそもそもシステム上、労働者に優しいものではありません。いかに安い労働力を使って大きな利益を上げるかが至上命題でしょう?そのシステムに乗っている以上、すべての企業が「ブラック企業」になり得るのではないでしょうか。資本主義を否定しなければ、すべての会社がブラック企業予備軍ですよ。
ブラック企業がなくならないことが資本主義の代償であるとすれば、それはこの先も根本から変わることがないため、問題として残り続ける可能性は高いです。
ブラック企業を改善するために会社がやるべきこと
ブラック企業側がもしも改善の意思があり、ブラックである要素を取り除こうとした場合、どのような方法があるのかを考えてみましょう。
ここでは、ブラック企業がするべき「脱ブラック」の方法として有効な手段を2つ挙げて解説します。
従業員の意見を聞くシステムを作る
ブラック企業では、労働者側が抱える不満や悩み、意見を汲み取るシステムが確立されていないケースがほとんどです。
あるとしても実際には機能しているとは言えないなど、結局は平社員たちが日々思うことに対して耳を貸していないのが現実です。
耳を貸さないから従業員の気持ちが分からない、分からないから改善する余地もない、と言う悪循環にはまってしまうのです。
意見を聞くシステムが整えば、労働者の抱える問題に早い段階で気づくことができ、問題が大きくなる前に解決することもできるでしょう。
業務量を可視化
誰がどれだけの仕事を抱えているのかが全く見えない仕組みになっているのもブラック企業の特徴です。
そのため、
- 仕事の割り振りのボリュームに問題がある
- 誰か一人に大きな負担がかかっている
などの問題に気付くことができません。
対策としては、それぞれの労働者の抱える仕事内容が「誰から見ても分かる」仕組みを作ること。
こうすることによって、「○○さん、今週絶対大変なはず!手伝わなきゃ」など、周りの協力体制ができやすくなります。
ブラック企業では、労働者にかかる負担について深く考慮することがほぼありません。
ですが、業務量が可視化されていれば、上司も無視はできなくなります。
明らかに業務量が多すぎる場合には再度調整をかけ、バランスよく割り振りすること、人が足りなければ補充することなど、対策をとるようになるでしょう。
外部のコンサルの力を借りる
ブラック企業がホワイト化することができれば、会社にとってもメリットはたくさんあります。
- 従業員のモチベーションUP
- 仕事の生産性UP
- 企業イメージがUP
- 求人広告費の削減
などが主なメリットでしょう。
会社側がどうしてもブラック企業から抜け出せずにいる場合には、プロの力を借りるのも有効です。
ブラック企業をホワイト企業化するための外部のコンサルティングを入れることで、問題を根本から見直し、効果的に改善することが可能です。
ブラック企業は今後もなくなることはない
ブラック企業がなくならない理由についてここまで長々と解説してきましたが、ここで結論を言うと、「ブラック企業が今後なくなる可能性は極めて低い」です。
理由としては以下の通り。
- 日本人特有の真面目な気質があり、皆が辞めてしまうことなどあり得ない
- ブラック企業を取り締まる仕組みがかなり緩く、ほぼ野放し状態
- 縦社会の文化は今後も消えることはなさそう
- 資本主義自体が変わることは今後もない
などのことから、ブラック企業が全て改善されてホワイト化するなど、まずあり得ないと言えます。
ブラック企業がなくならないのであれば、これから一体どのように対処していけば良いのでしょう。
次の章では、あなたが今からやるべきことについて解説していきます。
勤務先がブラックだと思ったらやるべき2つのこと
今のあなたの勤務先がブラック企業である場合、ここからあなたができることは以下の2つです。
- ブラック企業を辞めて転職する
- 責任を問えるよう、証拠集めをしておく
もちろん、これ以外の選択肢として「このまま我慢する」という道もありますが、長い目で見ると結局いつかは限界がくると考えられるため、ここでは触れていません。
つまり、ブラック企業がなくならないのなら、あなたの方がブラック企業から去るしか方法はないということです。
この章では今からあなたにぜひ始めてほしい2つのことについて詳しく解説していきます。
1.転職に向けてリサーチを開始する
ブラック企業は退職するのも一苦労ですが、退職に関しては、別記事「ブラック企業の確実な辞め方4ステップ|よくあるトラブルについてもあわせて解説」にて解説していますので、そちらをご覧ください。
ブラック企業を辞めるとなると、当然その次の転職先を探す必要があります。
転職先を決める際には、
- ブラック企業を避けるためのリサーチ
- 自己分析
- 進むべき業界・職種の絞り込み
など、挙げればキリがないほどのリサーチが必要です。
今はまだ在職中でも、今の時点でリサーチなら始めることができるはず。
辞めてから始めるのではなく、辞める前からできることを見つけて着手しましょう。
2.残業・パワハラなどの証拠を集める
ブラック企業を辞める際の心境としては、
- 辞められるならそれで満足
- 未払いの残業代やパワハラ被害について訴えたい
と2つのパターンに分けられます。
前者であれば必ずしも気にする必要はありませんが、やはり万が一後になって「会社から被った損害について訴えたい」などと思った場合に備えて準備をしておく方が良いです。
在職しているうちに、サービス残業を証明するものや、パワハラの被害を証明するメールの文章や録音した会話のやりとりなど、「証拠」を集められるだけ集めておきましょう。
ブラック企業を訴える場合の窓口や証拠集めの詳細に関しては、「ブラック企業を訴える場合の相談窓口と必要な証拠|ブラック企業からの転職3ステップも解説」の記事で詳しく解説しています。
あわせて読んでみてくださいね!
まとめ
今回は、ブラック企業がなぜなくならないのか、その原因について詳しく解説しました。
結論、ブラック企業がなくならない原因としては、
- 日本人の真面目な性格
- 資本主義
- 縦社会の風潮
- 罰則の緩さ
など、多くの要素が挙げられるため、簡単に今後ブラック企業がなくなることは考えにくいということがお分かりいただけたかと思います。
今からあなたができることは、転職に向けて動き出すこと。
あなたが去らなければ、会社が自動的にホワイト化されて一気に問題が解決される日がくることはまずありません。
自分の未来を変えるのは自分だけです。
あなたが行動を起こすことで、これからの未来はいくらでも変えていくことができます。
善は急げ!1日でも早く行動を起こしましょう!