ブラック企業と聞くと、何となくイメージは浮かぶものの具体的にどのような特徴があるのかは理解できていない場合が多いのではないでしょうか。
ブラック企業うっかり就職してしまうと、
- とんでもなくサービス残業が多い
- パワハラがひどい
- 辞めようにも辞めさせてもらえない
などの恐ろしい実態が待ち受けています。
今回の記事では、ブラック企業に対する理解を深めるために、
- 勤務時間
- 採用・求人
- 人間関係
- 社風
- 退職時のトラブル
以上の5つのカテゴリーで、ブラック企業の知られざる実態について解説していきます。
今後就活を控えている方にぜひ読んでいただき、ブラック企業の特徴をしっかりと理解していただきたいです!
ブラック企業の恐ろしい実態「勤務時間編」

ブラック企業の最大の特徴とも言える、「長時間労働」。
この章ではまず、ブラック企業の勤務時間に関する実態について紹介していきます。


サービス残業は当たり前
ブラック企業は基本的に残業時間が長いです。
残業が多いだけでもかなり大変ですが、問題なのは「残業代が支払われていない」実態。
- 事前に申請しなければ残業自体が認められない
- 残業の必要性を否定される
などのケースがかなり多く、どう考えても残業は避けられないのに関わらず、企業が何かと理由をつけて残業の必要性を認めないために、結局サービス残業になってしまうのです。
毎月の残業時間が100時間を超えるような状況でありながら、1円も残業手当を支払ってもらっていない、というのはブラック企業の実態としてよく耳にする話です。
休日出勤が多い
ブラック企業は定められた勤務時間外に従業員を働かせることがとても多いです。
残業はもちろん、休日さえも「休日出勤」により奪われてしまいます。
特に、サービス業などでシフト制の勤務をしている場合には、自分が公休の日であっても、会社が忙しいからという理由で出勤を強いられることは珍しくありません。
お客様相手の仕事、営業や接客が絡む業務の場合、「お客様の都合に合わせて」シフトをころころと変えられ、「次の公休日にきちんと休めるのか」は常に不確か。
休日の予定を立てられず、楽しみにしていたお出かけの予定なども何度もキャンセルする羽目になるのです。
タイムカードは先に切るように指示される
会社員として働いている場合、勤怠管理のために出退勤の時間を記録するシステムを使用します。
- タイムカードを打刻する
- パソコン上で出退勤時間を打刻する機能を使用する
いずれにしても、「厳密に何時何分から何時何分まで働いたのか」が記録できるため、何か問題があった際にも非常に役に立つ証拠となります。
しかし、ブラック企業の中には、定時よりもうんと早い時間に出社するように強制させられるけれど、打刻は定時直前しか許されないケースがあります。
また、退勤時間も同様で、「残業するなら先にタイムカード打刻してね」などのありえない指示がオフィスを飛び交うのもブラック企業あるある。
こうなってしまっては、タイムカードの意味が全くありません。
「もう我慢できない!」と苦情を申し立てるにも、記録上は「時間外労働を一切行っていない」ということになるため非常に厄介です。

新人は勤務時間の1時間前出社が常識
ブラック企業はとにかく体育会系の風習。
新人たちは基本先輩よりも早く出社するのは当たり前の話で、それも10分20分というレベルではありません。
定時よりも1時間早めに来て清掃などをし始めておくように強制されるのはブラック企業に勤める新人なら多くの人が経験すること。
もちろんタイムカードの打刻はできません。
どこまでも非公式に時間外労働を強いられるのは、ブラック企業あるあるです。
休日や退社後に容赦無く呼び戻される
休日は仕事のことを考えず、ゆっくりと過ごすことができる唯一のチャンス。
しかし勤め先がブラック企業となると、休日をゆっくり過ごすことさえ危うくなってしまいます。
というのも、休日や勤務時間を終えて退社した後のタイミングでも、容赦無く職場に呼び戻されることがあるからです。
自分自身が何かをし忘れて、休日や退社後に職場に行くなら理解できますが、会社の都合で「ちょっと手が足りないから」などを理由に簡単に出勤を強要してくるのはブラック企業ならではです。
ブラック企業の恐ろしい実態「求人・採用編」

続いては、求人や採用関連のブラック企業の実態についてです。
ブラック企業を事前に見極める際にも役に立つ内容が満載!
ぜひしっかりと理解して、就活時の見極めにも活用してくださいね。
常に求人広告が掲載されている
転職サイトなどに通年で求人広告が掲載されている企業は、「常に人材不足」であることが明らかです。
人が足りないという事態は、
- 勤続年数が平均的に極端に短い
- 離職率が高い
- 企業が急成長を遂げている最中
などの理由により起こります。
特に、「人が辞めるから」、「長く勤める人がいないから」という理由で人材不足に陥っている場合、その会社がブラック企業である可能性を疑う必要があります。
いつも求人広告が掲載されている企業がブラック企業であると決まったわけではありませんが、なぜそんなに採用し続ける必要があるかを考える余地は十分にあります。
求人に記載されている給与額がウソ
求人情報を見て採用試験にチャレンジし、面接までこぎつけた段階で発覚するケースがあるのは、
- 記載されている給与額が正しくない
- 休日日数が記載内容と異なる
などです。
例えば月給20万円以上と書かれていても、面接で16万円スタートなど、まったく別の給与額を告げられるとなれば就活する側も不信感でいっぱいになってしまいます。
通常、企業は求人情報に虚偽の記載をすることはまずありません。
少しでもずれがある場合には、ブラックなのではないかと疑う必要があります。
残業時間についての回答があいまい
ブラック企業はうまく言い逃れをすることに慣れています。
そのため、残業時間などに関する質問に対する返答が「具体性のないもの」になりがちです。
「毎月の残業時間はどれくらいが平均でしょうか」、と尋ねてみたところ「時期や部署によって異なります」などの一点張りで明確なルールについてふれない場合は黄色信号だと認識しましょう。
ブラック企業は平気で嘘の情報を求職者に伝えることもありますが、リスクを避けるために「明確でない答えでかわす」ことを選ぶ傾向があります。
逆手に取れば、面接の段階でブラック企業を見極める材料にもなり得るため、覚えておきましょう。
ほぼ誰でも採用される
大した経歴や学歴がなくてもまず不採用になることがないのはブラック企業あるあるです。
常に人が辞めていくため人手不足の問題を抱えるブラック企業だからこそ、基本「誰でもいいから採用したい」と考えているところがあります。
元ニートや、高校中退などの歴を持つ多くの人は、「なかなか採用してもらえない」という状況に陥りやすいもの。
そのため、「採用されればどこでもいい!」とワラにもすがる思いで、ようやく採用されたのがブラック企業だったということになってしまいがちです。
不採用者を出さない企業には、何かしら理由があります。
安易に「入りやすいなら自分も受けてみよう」とやみくもに狙うのはおすすめしません。
労働契約書を発行しない
内定をもらったら、労働条件が明記された書面を発行するのが通例です。
この書面を「労働契約書」と言います。
別名、「労働契約書」「雇用契約書」「労働条件通知書」などと呼ばれる、労働条件(賃金や契約期間、勤務地、勤務時間、業務内容など)を記載した書類のこと。
ブラック企業の中には、入社前に労働契約書を発行しないところも多く存在します。
労働契約書は、のちに給与や残業時間などで企業とトラブルになった際に、法的効力を発揮する大切な書面です。
「給与やその他の条件についての説明が全て口頭だった」などの場合には、書面を発行するよう依頼する必要があるのはもちろん、その企業がブラック企業であることを疑いましょう。
ブラック企業の恐ろしい実態「人間関係編」

次に紹介するのは、ブラック企業の実態としてよく挙げられる「社内の人間関係」についてです。
職場の人間関係は、その会社で長く勤めることができるかどうかを左右する重要な要素。
ブラック企業の問題として注目されがちな「パワハラ」も、人間関係の問題の代表格。
実際にどのような状況が繰り広げられているのか、具体的な事例を見ながら理解していきましょう。


上司には意見することさえ許されない風潮
昔ながらの体育会系の「部活」のような風潮が根強く残るブラック企業。
先輩や上司には逆らえず、どれだけ理不尽なことで叱られても、与えられたノルマがいかに非現実的であっても、ひたすら耐えるのがブラック企業です。
上司や先輩の言うことは「絶対」。
言ってみれば宗教のようにも見える以上な風潮ですが、ブラック企業ならそれが当たり前。
最初は違和感を感じていても、次第に「従うしかない」と諦めることに慣れていきます。
何か言えば怒られる、怒られるくらいなら黙って従おうと、自分を守る行動を取るようになるのです。
教えてもらえず聞いても怒られる
ブラック企業では研修体制が整っていないことが多いです。
ブラック企業の実態としてよく言及されることの一つに、「何も教えてもらえない」ということが挙げられます。
ブラック企業の新人が通る道は以下のパターン。
- 新人研修がない
- いきなり現場に放り出される
- 分からないから先輩に聞く
- 先輩に自分で考えろと言われる
- 自分なりにやってみる
- 失敗してまた叱られる
つまり、教えてもらえないから分からない、分からないからミスをするのです。
それにも関わらず先輩や上司は「ミスをした事実」だけを取り上げ叱りつけます。
こうなってしまうと、メンタルがやられてしまうのも時間の問題ですね。
パワハラが横行している
ブラック企業の問題としては「パワハラ」に関するものも多く挙げられます。
- 必要以上に叱る
- 叱る際に人格否定をする
- 理不尽なことで不必要に叱る
このような叱り方をされ、「自分は役に立たない人間なんだ」と激しく自責の念にかられ精神に異常をきたしてしまうケースも少なくありません。
パワハラはエスカレートすると、最悪人を自殺に追い込むこともあります。
ブラック企業では、パワハラが横行しており、もはやそれが当たり前になってしまっているケースが少なくありません。
そのため、「パワハラの被害を訴える」こともしないまま、黙ってひたすら我慢している従業員が山ほどいるのです。
飲み会を欠席しただけで職場いじめに遭う
ブラック企業はやたらと仲間意識を主張しがちです。
そのため、「仲間同士の親睦を深める」という名目で飲み会を定期的に実施します。
会社の飲み会が行われるのは必然的に業務終了後、勤務時間内ではないので参加するもしないも本来であればその人の自由です。
しかし、参加を拒否したことで、職場いじめに遭ったり、さらには査定にまで影響を及ぼしたりするのはブラック企業あるある。
「面倒なことになったら大変」と、行きたくもない会社の飲み会に毎回参加する羽目になり、貴重な自由時間を奪われストレスを抱える人が後をたちません。
トイレにいくのも上司への声かけが必須
ブラック企業ではとにかく上下関係が凄まじいため、勤務時間内は何をするにも上司の許可が必要。
中には、「トイレに行くたびに上司に断りを入れる」必要がある企業も!
さらに最悪なケースとしては、「トイレの回数が多いことで叱られた」、「トイレにいくことをサボりであるかのように非難された」などの事例もあります。
単純にトイレに行くだけでも上司に声をかけなければならないことで、トイレを我慢するようになり、結果膀胱炎を患う人も少なくありません。


ブラック企業の恐ろしい実態「社風編」

ここからは、ブラック企業の実態「社風編」です。
ブラック企業にありがちな社風の特徴について解説していきます。
やる気と根性があれば不可能はない
ブラック企業の社風は、とにもかくにも「精神論」でいっぱいです。
- やる気があればできるはず
- 根性があればどうにかなるはず
- 失敗するのはメンタルが弱いからだ
- 全員の想いが同じであれば全てうまく行くはずだ
など、精神論で何もかもが解決されるという考え方は、ブラック企業の社風の最大の特徴とも言えます。
実際、精神論だけで会社の成長はあり得ません。
会社が成長するためには論理的思考が必須であり、論理的思考と精神論は完全に真逆のものだからです。
軍隊並みの縦社会
人間関係の章でもお伝えした通り、ブラック企業の社内は軍隊並みの縦社会で成り立っています。
- 先輩よりも早く出社
- 先輩の言うことは必ず聞く
- 先輩よりも先に帰ろうとするなど論外
当たり前のようにこのような状況下に置かれ、日々を過ごしていくうちに、感覚はおかしくなってしまい「麻痺状態」になります。
「まあ、こんなものなのかもしれないな」と、あり得ないほどの極端な縦社会に順応し、自分が先輩の立場になると、後輩にこれまで自分がされてきたことと同じことをするようになるのです。
こうして、ブラック企業の軍隊並みの縦社会は延々と引き継がれ、定着していきます。
社長がカリスマ的存在
ブラック企業の実態としてありがちなのが、「社長がカリスマ的存在」というケース。
特にベンチャーのブラック企業に多く見られる傾向で、
- 社長が若い(30代、40代)
- 社長が常にジーンズにTシャツ
- 社長がとにかくイケイケな雰囲気
などのケースが典型的な例です。
もちろん、このようなタイプの社長がいるからと言って、必ずブラック企業であると言い切れるわけではありません。
しかし、従業員の中に社長の熱狂的ファンや信者と呼べるほど社長を崇拝する人がいるような会社はやはり「普通」ではありません。
しかし、社長の言葉なら120%信じる、何があろうとも社長を裏切らない!というような精神で働く人が多い会社は要注意と言えます。
社長の側近の女性は皆美人
社長の側近である幹部が、芸能人並みに美人揃い、というのもブラック企業でよくある話。
本社勤務の女性は「顔で選ばれているとしか思えない」ほどのメンバーだったり、モデルのようなルックスの社長秘書がいたりするような会社もあります。
ずば抜けて美人な女性はもちろん存在しますが、役職が上がるごとに綺麗な女性が明らかに増えているようであれば、やはり不自然であると言えるでしょう。
社員は「家族」
ブラック企業はやたらと社員を家族に例えたがるところがあります。
「僕たちは家族だから、一丸となって頑張ろう」などの考え方は一概に悪いとは言いません。
しかし、何かにつけて「家族」というワードを振りかざすのは考えもの。
特に、
- 家族はどんなときでも味方である
- 家族だったら何をしても許される
- 家族を助けるためなら自己犠牲も厭わない
というような、本来の家族の意味を逆手に取ったような使い方をするのは完全にアウトです。
「来月は商戦期のピークだ!一番の勝負時だから1ヶ月休みはないと思ってくれ」などと無茶なことを言う会社ほど、ブラック企業の中のブラック企業です。
ブラック企業の恐ろしい実態「退職編」

ブラック企業に勤めていて、我慢の限界に達して退職を決意した場合、そこからも様々な問題が発生します。
最後の章は、ブラック企業の実態「退職編」です。
ブラック企業を辞めるとなった場合に起こりがちなトラブルを紹介します。


辞めさせてもらえない
ブラック企業の実態として、「辞めると言い出した人をひたすら引き止める」というのも良く挙げられることの一つです。
通常、退職の意思を伝えさえすれば、退職するのはそれほど難しいことではありません。
本人の意思で「退職」を決意したのであれば、それ以上会社ができることはあまりないからです。
しかし、ブラック企業に関しては違います。
ただでさえ辞める人が多いわけですから、会社としては離職者を少しでも減らしたい。
となると、あの手この手で引き留めるのも頷けます。
何が原因で辞めたいと思っているのかをひたすら追求され、うまく言葉巧みに問題を解決する姿勢をアピールし、退職の意思を曲げようとするのがブラック企業のやり口です。
離職票がもらえない
退職するにあたり、企業は離職票を発行する必要があります。
離職票は、今後失業保険を受給する際の必須書類となるため、非常に重要なもの。
ブラック企業において、辞める社員への嫌がらせとして、離職票を作成しない、作成しても渡さないといったケースが見受けられます。
また離職票には退職理由の記載がありますが、会社都合の退職であっても、「自己都合」と書かれているケースもあります。
ブラック企業において、離職票をめぐるトラブルは非常に多いのです。
突然出社しなくなる人がいる
会社を辞める際には「辞めます」と言って退職するのが通常のケースですが、ブラック企業の場合は異なります。
なぜなら、会社が簡単に辞めさせてくれないために、従業員が会社から逃れられず、やむを得ずある日から突然出社しないという選択肢を選ぶからです。
当然、周りに迷惑がかかりますし、きちんと手順を踏んで退職しないとなると、非常に後味も悪くなります。
ですが、ブラック企業において「いきなり誰かが出社しなくなる」ことは珍しくありません。
精神疾患が原因で退職する人が後をたたない
ブラック企業に多いのが、
- 長時間労働で体を壊す
- パワハラでメンタルがやられる
など、従業員が心や体にダメージを受け、勤務することができなくなってしまうケース。
中でも、精神的に病んでしまうケースは特に多く、以下の流れで会社を辞める人は少なくありません。
- パワハラに遭う
- 精神的に病む
- 仕事に行けなくなる
- 休職する
- 退職する
普通に仕事をしていれば、精神的に病んでしまうなどの状況はそう簡単に起こりません。
しかし、ブラック企業では「精神疾患を理由に退職する」人が多く存在するのです。
辞めると言ったらボーナスがゼロになる
ボーナス(賞与)は本来、定められた期間に出した成果をもとに査定され、金額を決められるもの。
ですが、ブラック企業に関してはこのあたりもかなり曖昧です。
特に、退職の意向を伝えたら、途端にボーナスをカットされるというのもブラック企業あるある。
ブラック企業を退職するタイミングはボーナスをもらった直後の申し出がベスト。
最もダメージの少ない方法を考え、リスクを最小限に留めましょう。
まとめ
今回は、ブラック企業の実態についてさまざまな事例を紹介しました。
一般的な企業では考えられないような、極端なものも多く見られましたね。
就職先を探す際には、ブラック企業をなるべく正確に見極めることがとても大切です。
ブラック企業に勤めてしまうと、あなたの自由な時間や健康な体と心など、多くのものを失ってしまうリスクがあります。
ここで紹介した事例の中には、就職する前の見極めに役立つものもありました。
ぜひ今後の就活に役立てていただければ幸いです!