「失敗は宝物」ーー 乗り越えるハードルが高いほど、大きく飛躍できるんだ

過去の大きな失敗や苦労をどのように乗り越え、現在に活かしているのか。第一線で活躍するビジネスパーソンの成功の裏側に迫るインタビュー・「私にとっての失敗」

第3回は、株式会社西村組 取締役西村幸志郎さんにインタビューを行いました。

プロフィール 株式会社西村組 西村幸志郎

2018年に大学を卒業後、土木関係の専門学校に1年通い測量、土質力学、水理学などを学ぶ。その後、曽祖父が立ち上げた家業後継のため株式会社西村組に入社。現場監督を1年ほど経験する。その後、企業理念やビジョン立て直しのため経営企画室を立ち上げ、室長を担当。2020年6月より取締役に就任し、採用、ブランディング、広報、業務改善など幅広く携わる。Twitterアカウント:西村 幸志郎 a.k.a 組の四代目若頭 通称、若

ー 現在の仕事内容について教えてください。

西村: 経営はもちろんですが、採用、ブランディング、広報PR、業務改善、理念浸透などバックオフィス業務を幅広く担当しています。採用とブランディングには特に尽力しており、未経験の領域も多いので大変ですが日々奮闘中です。

ー 貴社の事業内容はどういったものになりますか?

西村: 道路や河川、海の建設などを行う建設業をメインで行っております。例えば津波から街を守る防波堤の建設や、漁業関係者が仕事できるように岸壁をアップデートしていくのも僕たちの仕事の1つです。この会社は曽祖父が設立し、現在は父が経営しています。

自己変革のため日本一周へ

ー 若くして後継として入社しようと思ったきっかけは何ですか?

西村: 大学4年生の時に行った日本一周が大きなきっかけの1つです。若気の至りかもしれませんが、当時の自分は世の中の全てをもう知っている気になってて(笑) 他人に感謝できない日々が続いていましたが、そんな自分に嫌気がさして本気で変えたいと思ったんです。じゃあ何をしたら変われるかなと思った時に、厳しい環境に身を置いて人に感謝せざるをえない状態を作ることだと思ったので、思い切って旅に出ました。

旅をする中で自分の心を突き動かす人々との出会いや経験を通して、自分が大切にしたい価値観や人生の軸を改めて再認識しました。じゃあそれらを体現できる仕事はなんだろうと考えた時に、家業の「西村組」 しかないと思い入社を決めました。

ー 日本一周の中でどんな出会いや学びがあったのでしょうか。

西村: いろんな人との出会いがありましたが、東北地方での出来事は今でも強烈に覚えています。東北に住む友人を訪ねると、会ったことも話したこともない彼の友人が「来てくれて本当にありがとう」 と温かく迎え入れてくれたんです。見ず知らずの僕にここまで優しくしてくれるのかと衝撃でした。また、当時まだ大学生だった僕は大学のレポートを提出する必要があったのですがWi-FiがなくてPCが使えず困っていると、「〇〇の家にはあるから、行きなよ!」 と声をかけてくれて。知らない人を当たり前かのように家に泊めて、家族のようにもてなしてくれるんですよ(笑) 違う価値観の人と過ごすことで、今まで持っていた固定概念を見事に壊された瞬間でした。人に助けてもらえるとこんなに人生のプラスや嬉しさを感じれて、「感謝って幸せなんだ」 という価値観を取り戻すことができた経験です。これは今も大事にしている価値観ですね。

自分の名前は会社の看板を背負っている

ー これまでで1番苦労したこと、失敗したことがあれば教えてください。

西村: コロナ禍に社内でオンラインイベントを企画したのですが、これを開催する意義や認識がうまく伝わらず、社員の方と衝突してしまったことがありました。こうした提案に対し「家庭もあるのに、夜にそんなイベント参加できません」 と否定的なコメントが寄せられたのですが、ネガティブな空気を広げるのはよくないと思いそのコメントを消してしまったんです。当然社員からは「消すのはどうかと思う」 といった声が上がり、自分でも確かによくないと思い即座に謝罪。コメントをした当人とも直接話をしてその場は収まりましたが、リーダーとしてのあり方コミュニケーションの取り方にとても悩んだ出来事でしたね。

ー 伝え方って難しいですよね。そこからどのように改善しましたか?

西村: 相手からの発言はまず受け入れ否定しないことを徹底していきました。人の発言を咎めたり弾圧するのはリーダーとして絶対やってはいけないことで、信頼を失う原因になりかねません。自分の中にある小さなプライドは捨てて、よくないと思ったら即改善に向けて行動をするよう心がけています。例えそれが間違っていたとしても、頭ごなしに言うのではなく、彼らがなぜそのような発言や思考に至ったかの背景を理解し、その上でどう伝えるのがベストか考え、事実に基づいて建設的に会話を進めるようにしています。また、僕のこうした行動は立場上「会社の判断」 として取られがちです。想像以上に会社の看板を背負っているからこそ、細かい言動一つひとつに気を配るようにしています。

ー そうすることで社内や周辺で変化はありましたか?

西村: 少しずつですが、コミュニケーションの取り方に変化が見えるようになりました。こちらから問いかけたことに対して自分の意志を伝えたり、自発的に考えを発信してくれる方が増えたように感じます。僕たちが変わることで会社全体が良い方向に進み社員のみんなもより良い会社を目指して多くのアイデアを出してくれることは本当に嬉しいですね。

苦労に対してありがとうと思える余裕を

ー 西村さんにとって、「失敗」 とはなんでしょう。

西村: 失敗は宝物(プレゼント) だと思います。その瞬間は辛くてしんどいですが、結局そこから学ぶことの方が多いと思いませんか? ということは、自分が一歩先に進めたり成功するためのプレゼントなんです。これに気づいてからは、うまくいかないのは自分がダメだから… とネガティブにならず、チャレンジしている証拠だまた1つ自分のレベルが上がったんだ! と捉え、苦労に対して「ありがとう」 と思える余裕を持てるようになりました。

ー 苦労を苦労と思わず取り組む西村さんにとって、今のやりがいは何でしょうか。

西村: 今いる仲間が活躍できる環境や会社を作ることが僕の役目なので、理想とする姿に会社全体が前進していると感じられると嬉しいですね。さっき話したコミュニケーションの変化もその1つです。できることが多くなり、次に乗り越えるべきハードルが高くなるほど「まだまだ上を目指せる」 と感じれてワクワクします。

ロマンとそろばんの両立目指して

ー 今後の目標を教えてください!

西村: ロマンとそろばんを両立させるのが目標です。会社として利益を出すことも大事ですが、お金ばかり追いかけると「結果さえ出せば良い」 と会社の在り方が不安定になり、秩序が乱れるケースがあります。それにせっかく働くなら、会社のビジョンに沿って物事を判断・行動し、その先々でメンバーが叶えたいことにチャレンジする。そうすることで会社の売り上げも上がり、頑張った人にそれらがバックされる。そんな良い循環があるところで働きたくないですか? こうした企業こそ今の現代に求められていて、より成長できると感じているので本気で取り組んでいきたいですね。

ー では最後に、転職や人生に迷っている方へのメッセージをお願いします。

西村: 自分が大事にしている北海道弁の言葉に「死ななきゃいいべ」 というのがあります。こう見えて僕は昔、とても恥ずかしがり屋でいつもモジモジしてたんです(笑) 失敗したくない、怒られたくない、馬鹿にされたくないという感情が強かったのですが、学生の頃働いていたラーメン屋さんでその考えを変える出来事がありました。当時の店主に「幸志郎、一度自分で作って提供してみろ!」 と無茶振りをされ、やったこともないし無理ですと断ると「大丈夫だって、失敗したって死ななきゃいいべ」と言われて。緊張しながらも実際に作ってみると、なんだ、できるじゃん。ビビッて挑戦しないってもったいないな と思えて一歩踏み出せたことがありました。

例え失敗しても、それであなたの人生が終わることも、一生馬鹿にされることもきっとありません。失敗をしてからがスタートのようなものです。自分の可能性を信じて、迷ったらぜひ行動してみてください!

ー ありがとうございました!

株式会社西村組 公式サイト



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