就職先や転職先を探していると、「法人」という言葉を目にする機会は多いでしょう。では、「法人」とは何かというと、詳しく説明できない人もいるかもしれません。そこで今回は、「法人」の意味や種類を解説します。
法人とは?
法人とは、法律によって「人格」を持つことが認められた集団や組織を意味します。個人は生まれながらにして人格を持っていますが、これと同じように、集団や組織に人格を持たせることに何の意味があるのかというと、建物を所有したり売買契約を結んだりする権利を持てるようにするためです。
この概念がなければ、すべての取引や契約を個人間でおこなう必要があるため、たとえば企業間で取引を結ぶ場合、その取引に関わっているそれぞれの企業の社員間で契約を交わすことになります。そうなると、手続きが煩雑なだけでなく、必要書類も相当な量になることから、各種活動が滞ってしまう恐れがあるというわけです。
法人、会社、企業の違いは?
続いては、法人、会社、企業の意味の違いを見比べましょう。3つの言葉の意味は以下の通りです。
- 法人:法律によって人格を持った集団や組織
- 会社:会社法に基づいて法人登録をおこなっている営利法人
- 企業:法人・個人事業主に関わらず、経済活動をおこなっている組織や団体
つまり、企業のなかに法人があり、法人のなかに会社がある「企業>法人>会社」という図式が成り立ちます。
法人の種類は?
続いては法人の種類についてみていきましょう。
まず、法人は「営利法人(私法人)」「非営利法人(私法人)」「公法人」の大きく3種類に分けられます。「私法人」とは、国家や公共団体の権力を受けない法人で、経済的利益を得ることを目的とした「営利法人」と、経済的利益を得ることを目的としない「非営利法人」に分けられます。「公法人」とは、公の業務を担う法人のことです。それぞれ、以下のような法人が存在します。
営利法人(私法人)
- 株式会社:経営者が出資者に株式を発行して資金を調達して、その資本金を元手に事業をおこなう会社
- 合同会社:経営者と出資者が同一である会社です。全社員の合意によって利益を自由に配分できます
- 合資会社:事業をおこなう社員と、資本金を提供する社員によって運営される会社
- 合名会社 :複数人の個人事業主が事業をおこなう会社
- 士業に関わる法人:弁護士法人、司法書士法人、行政書士、税理士法人など、士業が活動をおこなうための法人
このほか、有限会社も 営利法人に含まれますが、有限会社の設立は、2006年に施行された会社法によって廃止となったため、現存する有限会社はそれ以前に設立されたものです。
非営利法人(私法人)
- NPO法人:社会貢献活動や慈善活動などをおこなう民間団体です。「国連UNHCR協会」「国境なき医師団」などが一例として挙げられます
- 社団法人:一定の目的のもと人が集まってできた団体です。一例として、「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が挙げられます
- 財団法人 :特定の個人や企業からの財産に法人格を与えたものです。施設の美術館や博物館などが該当します
- 社会福祉法人:社会福祉事業をおこなう法人です。有料介護老人ホームなどの福祉サービスのほか、駐車場経営などもこれに含まれます
- 信用金庫:特定の地域に暮らす人々が、金銭的に助け合い、地域社会の発展に貢献することを目的に設立された金融機関
- 商工会:特定の地域の事業者らが、地域の経済を発展させるための社会活動をおこなう団体
このほか、管理組合、協同組合、宗教法人などもここに含まれます。
公法人
- 地方公共団体:地域の統治活動を担う法人です。「地方自治体」「地方政府」とも呼ばれます
- 独立行政法人:公益性が高いものの、国が主体となって進める必要がない事務や事業を担う法人
- 特殊法人:「日本年金機構」「日本放送協会」など、具体的な法令に基づいて設立された法人のなかでも、独立行政法人、認可法人、特別民間法人に属さない法人
- 公庫:公共の目的によって、中小企業や農業従事者らに融資する、政府の金融機関です。ただし、現在はほとんど民営化されており、公法人としての公庫の数は限られています
求人で見かけることの多い「法人営業」とは?
法人について一通り理解したところで気になるのが、求人サイトなどでよく見かける「法人営業」という言葉です。特に、IT、保険、不動産、金融、建設などの業界の求人では見かけることが多いでしょう。
法人営業とは具体的にどんな営業かというと、法人を対象におこなう営業で、顧客が法人であることから、扱う商品やサービスの単価が高い場合がほとんどです。交渉が成立となればそれだけ大きなお金が動くことになるので、やりがいも感じられやすいでしょう。
ただし、個人が相手の場合とは異なり、相手もシビアに評価しているため、いかに魅力的な提案ができるかが肝。先方との信頼関係を築けたら、コンスタントに売り上げを伸ばせる場合も多いので、そのぶん賞与が弾むこともあるかもしれませんね。
法人と個人事業主の違いは?
また、法人は規模も設立目的もさまざまであることを理解したことで、なかには「法人の設立は自分にとってもひとつの選択肢かもしれない」と思った人もいるかもしれません。
しかし、会社勤めを辞めてやりたいことをやるには、法人を設立するより個人事業主として起業するほうが適している場合もあります。そこで続いては、法人と個人事業主の違いをみていきましょう。
まず、開業資金や開業方法、税金に関しては以下のような違いがあります。個人事業主を経て法人を設立する場合も、開業方法が異なるため、初めての経験となることになります。
法人 | 個人事業主 | |
開業資金 | 6~30万円 | 0円 |
開業方法 | 公証役場での認証を受けた定款および登記申請書、就任承諾書、払込証明書を法務局に提出する | 個人事業の「開業・廃業等届出書」を税務署に提出する |
税金 | 法人税を法人申告する・課税額は、1年間の収入から経費と給与を差し引いた金額・決算書の作成は税理士に依頼する | 青色申告または白色申告で所得税を確定申告する・課税額は、1年間の収入から経費を差し引いた金額・自分で確定申告することも可能 |
法人として開業するメリット、デメリットは?
続いては、法人として開業するメリット、デメリットをみていきましょう。
法人として開業するメリット
まず、メリットとしては、投資家や顧客などからの社会的信用が高くなることや、売り上げによっては個人事業主より税制負担が少なくなること、経営者本人の給与および保険料が経費として認められることなどが挙げられます。
法人として開業するデメリット
開業や決算などの手続きが煩雑で時間がかかることのほか、廃業時にもコストがかかることが挙げられます。また、利益がほとんどない年も税率が一定でかかります。
個人事業主として開業するメリット、デメリットは?
個人事業主についてもみていきましょう。
個人事業主として開業するメリット
個人事業主としての開業は、先に説明した通り、資本金が不要です。また、赤字の場合は所得税を納める必要がないため、独立したてで金銭的に心許ない場合は、まずは個人事業主からスタートしてもいいかもしれません。
個人事業主として開業するデメリット
デメリットとしては、社会的信用が低いことや、事業主本人の給与や保険料を経費として計上できないことが挙げられます。また、累進課税が適用となるため、所得が一定金額を上回ると、法人として同じ金額を稼いだ場合より支払う税金の額が大きくなります。
多様な働き方から自分に合った働き方を選択しよう
法人の一員として法人営業に携わる働き方もあれば、自ら法人を設立したり個人事業主として開業したりする働き方もあります。どの働き方が合っているかは人それぞれですし、自分に合った働き方であるかどうかは、試してみないとわからないこともあるでしょう。
試してみた結果、自分に合っていなかったということももちろんありますが、その場合は新しい、そこから軌道修正すればいいだけのこと。まずは、自分の興味はどこにあるのかを探り、可能性の幅を広げることを楽しんでみてもいいかもしれませんね。
リバラボ内で1~2年間の実務インターンを行い就労実績や収入実績を積み上げ(平均年収400万円以上) インターン後の優良企業への転職まで支援するサービスです。社宅完備等の福利厚生も充実しています。
②キャリア派遣を活用してキャリアアップ
提携先(大手/上場/成長ベンチャー)企業にて社員転換を前提としたトライアル就労が可能な形態です。 期間内であれば複数の企業で実績を積むことができ、自身と企業のカルチャーマッチを 確認してから社員になれるので早期離職することなく着実なキャリアップが可能となります。
③職業紹介を活用してキャリアアップ
未経験、学歴職歴を問わず募集をしているポテンシャル採用に力を入れている企業を厳選し 貴方のキャリアを大きく飛躍するためにマッチする企業をご紹介いたします。