警察官は多くの人が憧れる人気の仕事ですが、警察官になるためには何が必要なのでしょう。
人々が安心して日々の生活を送るために欠かせない警察官。
その給料や日々の生活、警察官になるための方法を知りたい!と思う人はきっと少なくないはずです。
今回は、高卒の学歴で警察官を目指す方法について解説していきます。
この記事を読むことで
- 高卒でも警察官になることができるのか
- 警察官の年収や日々の生活
- 高卒で警察官を目指すための具体的な方法
を知ることができます。
警察官になることに興味のある方は、ぜひここで正しい知識をつけておきましょう!
高卒でも警察官になれるのか
まずはじめに、高卒でも警察官になれるのかどうかを知っておかなければ何も始まりません。結論から先にお伝えしておくと、高卒でも警察官になることは可能です!
しかし警察官には種類があり、種別によって条件や試験内容が異なります。
この章では、警察官になるために知っておくべき基本情報である「警察官の種別」について解説していきます。
警察官には大きく2種類ある
警察官は、警察庁所属の警察官と、都道府県警察所属の警察官の2種類に分けられます。
警察庁と都道府県警察のそれぞれの言葉の意味を説明しておきましょう。
警察庁は警察全体を取りまとめる機関のこと。都道府県警察間の調整業務などを行います。警察庁採用の警察官は、国家公務員となります。
都道府県警察は地域に密着した取り締まりを主に行います。都道府県採用の警察官は地方公務員となります。
警察庁採用の警察官は国家公務員、都道府県採用の警察官は地方公務員である点がポイントです!
警視庁の採用試験に挑戦できるのか
東京都の警察機関のことを警視庁と呼びます。都道府県警察と同じ意味合いではあるものの、東京都に限っては、その呼び方が異なります。
高卒の学歴で、警視庁の警察官の採用試験を受験することは可能です。
警視庁の受験資格には、いくつかの条件がありますが、そのうちの一つに
35歳未満で高校(学校教育法による高等学校)を卒業または令和3年3月までに卒業見込みの人
引用元:令和2年度警視庁採用サイト「採用案内」より
と記載があります。高卒はこの条件に該当するため、受験が可能となります。
都道府県警察の採用試験に挑戦できるのか
都道府県警察は、各都道府県ごとにその募集要項が掲載されています。
ですが、全国どのエリアにおいても、高卒で都道府県警察の採用試験を受験できる点に変わりありません。
高卒警察官のリアルな暮らし
高卒で警察官になった場合、一体いくらくらいの収入が見込めるのかどうかも知っておきたいところ。
給料が良さそう!とイメージされることの多い警察官ですが、実際のところ年収はいくらなのかをここで詳しく見ていきましょう。
また、年収だけでなく、高卒で警察官になったらどのような生活が待っているのか、仕事内容は具体的にどのようなものなのかも解説していきます。
高卒警察官の年収
警察官の職務期間 | 年収 |
1年未満 | 289万円 |
1年以上2年未満 | 300万円 |
2年以上3年未満 | 315万円 |
3年以上5年未満 | 338万円 |
5年以上7年未満 | 365万円 |
7年以上10年未満 | 399万円 |
10年以上15年未満 | 445万円 |
15年以上20年未満 | 525万円 |
20年以上25年未満 | 606万円 |
25年以上30年未満 | 650万円 |
30年以上35年未満 | 679万円 |
35年以上 | 695万円 |
参照:総務省「平成28年地方公務員給与実態調査」
警察官になって1年目の年収が289万円、5年経てば365万円とその上がり幅が大きいのが特徴です。
やはり安定の公務員!長く続けることで確実に年収を増やしていくことができるため、警察官は安定した職業だと言えますね。
採用試験後の警察学校での暮らし
警察官になるには採用試験に合格する必要がありますが、試験に合格したらすぐに警察官として街のパトロールに出られるかと言えばそうではありません。
警察官の採用試験合格後は、必ず全員警察学校に入学することが決められています。
警察学校についての基本情報を表にまとめてみました。
▼警察学校について
在学期間 | 10ヶ月(大卒者は6ヶ月) |
在学中の給与 | 初任給165,000円程度(福岡県の例) |
カリキュラム | 一般教養(OA実習・国語など)・法学・警察実務・術科(体育・柔道/剣道など) |
生活スタイル | 全寮制 |
参照1:厚生労働省 「平成29年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」
参照2:福岡県職員募集2020年度「勤務条件等」より
警察学校は体力的にも精神的にもハードであると知られています。
警察学校で過ごす期間は、警察官になるための強いメンタルと強靭な体を作り上げるための訓練でもあるということですね。
警察官の仕事内容
警察学校での厳しい訓練を乗り越えたら、いよいよ警察官として地域に貢献することができるわけですが、その仕事内容についてもここで詳しく解説しておきましょう。
警察官の仕事内容は以下の通りとなります。
- 交番勤務
- 交通取り締まり、パトロール
- 交通事故処理
- 刑事事件の取り扱い
警察官の仕事には昼も夜も関係ありません。配属される部署によっては夜勤があり、生活のリズムが崩れてしまいがち。
警察官は幅広い業務を全て担う必要があり勤務スケジュールもハードな仕事です。しかし、その分やりがいも大いに感じられるのが警察官という仕事の魅力でもあります。
高卒で挑戦できる警察官の試験詳細
高卒で警察官を目指す場合に必ず受ける必要がある採用試験の内容についても知っておく必要があります。
この章では、警視庁の採用試験と都道府県警察の採用試験の内容を詳しく解説していきましょう。
警視庁の採用試験
警視庁の採用試験には、1次と2次があります。
1次試験で筆記試験と身体検査が行われ、2次試験は面接試験と体力検査という流れです。
それぞれについてさらに詳しく見てみましょう。
▼1次試験
教養試験 | 【知能分野】文章理解、判断推理、数的処理、資料解釈、図形判断
【知能分野】人文科学、社会科学、自然科学、一般科目(国語、英語、数学) |
論文試験 | 課題式の論文(作文)試験 |
国語試験 | 国語力を測る記述式試験 |
身体検査 | 身長体重などの測定 |
適性審査 | 警察官としての適性を見るためのマークシート方式の検査 |
参照:令和2年度警視庁採用サイト「採用案内」より
▼2次試験
面接試験 | あなたがどのような人物なのかを知るための面接試験 |
第2次身体検査 | 【検査内容】視力検査、色覚検査、聴力検査、運動機能の検査、医師の診察、レントゲン検査、血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質等検査、血糖検査)、尿検査 |
第2次適性検査 | 警察官としての適性を測る記述式の検査 |
体力検査 | 警察官としての職務執行上必要な体力の有無についての検査
【種目】 |
参照:令和2年度警視庁採用サイト「採用案内」より
警視庁の警察官になるには、以上の1次試験と2次試験に合格することが必須となります。
都道府県警察の採用試験
都道府県警察の採用試験内容は、どの都道府県で試験を受験するかによって変わります。
▼大阪府警察の採用試験内容
1次試験 | 教養試験 | 現代文・英文理解、判断推理、数的推理、資料解釈、社会一般(人権関係等を含む) |
2次試験 | 論文(専門) ①か②を選択 |
①法律・経済分野 |
②情報分野 | ||
論文(見識) | 社会事象に対する基礎的知識や論理的思考力、企画提案力、文章作成力などを問う | |
個別面接 | 面接官と1対1で面接を行う | |
適性検査 | 警察官としての適正を判断する検査 | |
3次試験 | 個別面接 | 面接官と1対1で面接を行う |
集団討論 | グループでディスカッションを行う |
警視庁の採用試験と内容的には大きく変わりませんが、3次試験まである点が大阪府警の採用試験の特徴です。
高卒でも警察官になるための試験対策
高卒で警察官を目指すなら、その対策方法を知っておかなければなりません。
この章では、警察官を目指すにあたり、特に注意すべき点やトレーニングの方法などをわかりやすく解説していきます。
特に対策が必要なのは論文・面接試験
警察官の採用試験対策において、特に時間をかけて念入りに行うべきは「論文」と「面接」の対策です。
筆記試験で行われる学力検査は学力を測るためのもの。求められるのは基本的な教養や学力です。
一方、論文と面接は「正解」が一つしかないものではありません。
そして、論文と面接こそ、警察官として活躍できる素質があるかどうかを判断する際に重要になるポイントなのです。
その理由は
- 的確に物事を伝える文章力がなければ警察官としての仕事に差し支えるから
- 警察官は人々の模範となるべき存在であるため、その人となりや対人スキルが非常に重要となるから
と言えます。
常に理由付けを行うトレーニングをする
面接と論文の対策にぜひおすすめしたいのが、常に「なぜ?」を考えるトレーニングです。
なぜなら、日々の行動や言動に対して理由付けができるようになれば、論文を書くときにも面接の受け答えにもスムーズに対応できるようになるからです。
例えば面接時は、
- なぜ警察官を目指したいと思ったのか
- なぜ大学に進学しなかったのか
など、理由を聞かれる質問がたくさん投げかけられます。
質問にスムーズに答えるためには、日々、あなた自身の行動や言動に理由付けをする訓練をしておく必要があるのです。
ここでのコツは、「なぜ?」を繰り返すこと。
例えばなぜ警察官になりたいと思ったのか、という質問に答える際
- 子供の頃から警察官になるのが夢だったから
↓なぜ? - 警察官に対して良いイメージを持っていたから
↓なぜ? - 子供の頃に迷子になったとき、警察官に助けてもらったことがあったから
などというように、「なぜ」を繰り返すことでより具体的で明確な理由にたどり着くことができます。
このトレーニングは、物事を相手に伝える時に非常に役に立ちます。
よって、口頭で伝える場合(面接)、文章で伝える場合(文章)の両方に役立てることのできるトレーニングです。
参考書の論文解答例を暗記する
警察官の採用試験の過去問を見れば、過去にどのような論文試験が出題されていたのか、その模範解答もあわせて見ることができます。
全てにおいて「基本」は大切です。模範とされる文章をまずはしっかり読み込み、その流れを暗記してしまうことから始めましょう。
論文の模範解答を暗記するときには以下の点に意識しましょう。
- 背景
論文のテーマを理解し、その裏にある社会的背景がどう書かれているか - 課題
背景を土台として浮かび上がる具体的な問題点についてどう書かれているか - 解決策
課題を解決する解決策がどのように書かれているか - 具体例
具体例がどのように盛り込まれているか
基本的な質問事項は全て回答を用意する
面接に関しては、聞かれる可能性の高い質問があらかじめ分かっているため、それぞれの質問に対する回答を準備しておくことができます。
質問に答える際には以下のポイントが重要です。
- 簡潔にまとめられているか
- 根拠が説明できているか
- 説得力があるか
- 論理的な文章になっているか
それでは実際に、警察官の採用面接試験でよく聞かれる質問を3つ挙げ、回答の仕方を考えてみましょう。
消防士でも自衛官でもなく、警察官を選んだ理由を一文で答えるのがポイントです。
以下の2点を簡潔に盛り込んで回答を作りましょう。
- 警察官になりたいと思ったきっかけ
- そのきっかけから何を感じて警察官になりたいと思ったか
警察官になりたいのなら、警察の仕事について理解していて当然。
どの程度本気であなたが警察官を目指しているかが伝わるように回答するのがポイントです。
以下は、知っておくべき基本情報です。採用試験を受ける前に必ず暗記しておきましょう。
- 県警に所属する警察官の人数
- 警察署の数や交番数
- 部署ごとの仕事内容
- その県警の特徴
この質問では、あなたが警察官に対して抱く思いの強さを測ることができます。そのため、だらだらと話すのではなく、結論から簡潔に具体的に伝えるのがカギとなります。
以下の2点を簡潔に盛り込んで回答を作りましょう。
- 「◯◯な警察官です。」と結論から伝える
- なぜ○○な警察官が理想の警察官なのか、理由付けをする。
面接の評価基準を把握しておく
面接試験をクリアするために知っておくべきことは、「面接官が面接においてどの部分に注目しているのか」という点です。
参考までに、公務員試験の面接評定票の例と評定項目が記載されたものを見てみましょう。
▼面接評定票の例と評定項目
一般的な企業の面接と公務員試験の面接が違うところは、「その人材に問題がないかどうかを確認する要素」が強い点にあります。
そのため、アピールをし過ぎれば良いということでもなく、「組織の一員として問題なく働ける協調性がある」ことを知ってもらうことが大切とも言えます。
まとめ
高卒でも憧れの警察官を目指すことは十分可能であることが分かりましたね!
警察官になるには、採用試験に合格することが必要不可欠な条件です。
警察官の採用試験にはさまざまな項目があり、「大変そう!」と思った人もきっと多いと思います。
しかし、高卒でも採用試験をクリアし警察官として日々活躍している人たちは大勢います。
あなたも警察官の仕事に就きたいと思うなら、今からしっかりと試験対策を始めていきましょう!