社会保険労務士(以降、社労士)になるためには、社会保険労務士試験にパスしたうえで、「社会保険労務士名簿」に登録することが必要です。つまり、社労士になるためのファーストステップは社会保険労務士の試験に合格することですが、高卒でも試験の受験資格はあるのでしょうか?
社会保険労務士とは?
社会保険労務士は、「労働および社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者らの福祉の向上に資すること」を目的に幅広い業務に携わります。具体的には、労働・社会保険に関する諸問題や年金の相談に応じることなどが、重要な業務として挙げられます。
社会保険労務士試験の受験資格は?
続いて、社会保険労務士試験の受験資格からみていきましょう。
社会保険労務士の試験を受験するためには、以下の3つのうちいずれかの要件を満たしている必要があります。
1.学歴
基本的には、大学や短大、高等専門学校を卒業していることが条件となります。ただし、大学在学中でも62単位以上取得していれば受験資格として認められるほか、修業年限が2年以上で、総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了していることなども受験資格として認められます。いずれにしても、高卒では受験資格がないということになります。
2.特定の業種での3年以上の実務経験
「公務員として行政事務に3年以上従事」「社労士や弁護士の補助に3年以上従事」「事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事」など、通算3年以上の実務経験が求められます。つまり、高卒の新卒ではこの資格を満たしていないということになります。
3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格
社会保険労務士以外の国家試験のうち、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格していることが必要です。「厚生労働省が認めた国家試験」は、弁理士試験、税理士試験、司法書士試験、気象予報士試験など約79種類あります。79種類の試験のなかには、たとえば気象予報士など、高校生以下でも受験可能かつ合格者が存在するものもありますが、いずれの国家資格も有していない場合は、この資格を満たしていないということになります。
参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
参照:社会保険労務士試験受験資格一覧
参照:厚生労働大臣が認めた国家試験
高卒で社会保険労務士の試験合格を目指すには?
以上のことから、高卒かつ進学することなく社会保険労務士の受験資格を得る方法は「②特定の業種での3年以上の実務経験」「③厚生労働大臣の認めた国家試験合格」のいずれかとなります。
では、最短ルートはというと、③に該当する資格を高校卒業までに取得しているパターンですが、このパターンは稀。それ以外の最短ルートとなると、「③の国家試験のいずれかにスピーディに合格する」ということになるでしょう。
ただし、いずれの資格も難易度が低くはないうえ、(合格が要件となる資格自体に)受験資格が求められるものもあります。
79種類のなかでおすすめの資格は?
「3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格」のなかからどの資格取得を目指すかは自由ですが、積極的に取得したいと思う資格がない場合は、行政書士の資格取得を目指すのが得策でしょう。
理由は、行政書士試験合格のためにも法律の知識が必要になるので、行政書士試験の勉強を通して、難しい法律用語に慣れることが考えられるためです。また、行政書士、社労士の両方の資格を所有できたら、独立開業を目指す際に大きな強みとなるはず。独立後に扱える仕事の幅も広くなります。
社会保険労務士の合格率は10%未満
見事受験資格を得たとしても、社会保険労務士の試験は合格率が低いため、油断は禁物です。直近10年間の合格率は、2.6~9.3%といずれの年も10%に届いていません。言うまでもなく、合格者のなかには高卒も大卒も社会人もいます。合格を勝ち取るために相当な努力が必要なことは明らかと言えます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年度 | 37,306 | 2,937 | 7.9% |
2020年度 | 34,845 | 2,237 | 6.4% |
2019年度 | 38,428 | 2,525 | 6.6% |
2018年度 | 38,427 | 2,413 | 6.3% |
2017年度 | 38,685 | 2,613 | 6.8% |
2016年度 | 39,972 | 1,770 | 4.4% |
2015年度 | 40,712 | 1,051 | 2.6% |
2014年度 | 44,546 | 4,156 | 9.3% |
2013年度 | 49,292 | 2,666 | 5.4% |
2012年度 | 51,960 | 3,650 | 7.0% |
参照:受社会保険労務士試験オフィシャルサイト「過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女別割合」
行政書士、社労士両方の資格を取得すれば将来の可能性が広がる
行政書士の資格取得のための勉強は、少なくとも1年は必要ですし、試験に一発合格できる可能性も高くはありません。
しかし、どちらも最短で資格取得することに成功したら、大卒者と比べて早く一人前になれる確率は高いといえます。また、2つの資格を有しているぶん知識も豊富なので、独立開業するにしても、よりよい条件を選択しながら将来を切り開いていけるでしょう。
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