教員になるためには、教員免許を取得する必要があることは周知の事実。しかし、大学や短大に通わなくても教員免許を取得できることは、あまり知られていないのではないでしょうか。そこで今回は、高卒でも教員免許を取得できる方法や、取得できる免許の種類を解説していきます。
高卒の教員免許の取得方法は2つ
教員免許を取得する方法は3つあります。そのうち2つの方法を利用すれば、高卒でも教員免許取得が可能です。まずは、3つの方法とはどのような方法なのかをみていきましょう。
大学や短期大学の教職課程を修了して「普通免許状」を取得する
もっともよく知られているのは、大学や短期大学の教職課程を修了して「普通免許状」を取得する方法です。普通免許状は、大学や短期大学で教職課程を終了するか、もしくは既に大学を卒業している人なら、特定の科目だけを履修して取得を目指すこともできます。
教員資格認定試験に合格する
教員資格認定試験に合格すれば、教員免許状を保持していなくても教員として働くことが可能です。
教員資格認定試験は以下の3種類があります。
幼稚園教員資格認定試験
保育士の資格取得後、3年以上の勤務経験を有している人が、幼稚園教諭免許状を取得するための試験です。
小学校教員資格認定試験
受験資格は、大学を卒業しているか、もしくは満20歳以上で「高校を卒業した者、その他大学に入学する資格を有する者」とされています。
特別支援学校教員資格認定試験
障がい者教育の教員になるための認定試験です。受験資格は、大学を卒業しているか、もしくは満22歳以上で「高校を卒業した者、その他大学に入学する資格を有する者」とされています。
特別免許状を取得する
「特別免許状」は、教員免許を持ってはいないものの、すぐれた知識や経験を持っていると認められた社会人に発行される免許状です。学校教育の多様化・活性化を促進するために導入された制度で、小学校、中学校、高等学校の全科目および特別支援学校の自立教科(理療、理容、自立活動など)が対象となります。
つまり、高卒でも教員免許を取得できる方法としては、「教員資格認定試験に合格する」「特別免許状を取得する」ということになります。後者の取得条件である「すぐれた知識や経験を持っている社会人」になるためにはそれなりの社会人経験が必要であるうえ、知識や経験が認められることが不可欠なので、「誰もが目指せる方法」となると、前者といえるでしょう。
ちなみに、これまでに特別免許状が授与された例としては、看護師経験がある人に授与された高等学校の「看護」の特別免許状、英会話学校講師に授与された中学校の「英語」の特別免許状などが挙げられます。
教員資格認定試験の種類は?
続いては、教員資格認定試験の概要を説明します。教員資格認定試験は、大きく3種類に分けられます。
幼稚園教員資格認定試験
幼稚園教員資格認定試験を受けるためには、前述の通り、3年以上の勤務経験が必要です。そのため、高卒で幼稚園教員資格認定試験を受けるには、まず保育士の資格を取得して3年間の実務経験を積むことが必要です。
試験内容は、「教育原理や教育制度など」「保育内容の指導法や幼児理解など」「幼稚園教育指導資料と指導案の作成」の3科目なので、基本的には実績を積みながら、試験合格に必要な知識を身に着けられるといっていいでしょう。
小学校教員資格認定試験
小学校教員資格認定試験は一次試験と二次試験で構成されており、一次試験では、マークシート方式および筆記試験の4科目を受け、二次試験では、授業観察や指導等案作成、討論などを実践します。問題の大半は学習指導要領から出題されますが、一発合格を目指すなら、暗記するくらいの意気込みで読み込んでおくといいでしょう。
特別支援学校教員資格認定試験
特別支援学校教員資格認定試験も、一次試験、二次試験で構成されています。一次試験では、「教職に関する専門知識」および「特別支援教育や自立活動に関する知識」が問われ、二次試験では、口述試験などを通して、自立活動担当教員として必要な能力が備わっているかをチェックされます。
教員資格認定試験の合格率は50%以下
続いては、教員資格認定試験の合格率をみていきましょう。
幼稚園教員資格認定試験
文部科学省の公表によると、最新データとなる、平成30年度の幼稚園教員資格認定試験合格率は21.4%です。これは、平成22年度以降の結果のなかで2番目に低い合格率ですが、もっとも合格率が高い平成23年度でも49.5%と半数に達していません。一度で合格を目指すなら、過去問などを確認して早い段階から対策を練ることが望ましいでしょう。
小学校教員資格認定試験
小学校教員資格認定試験の合格率はさらに低く、平成22年度から平成30年度にかけてずっと10%台。もっとも合格率が高い平成23年度でも17.5%なので、合格のためにはしっかりと勉強時間を確保することが必要だといえます。
高卒で教員を目指すならチャレンジを続けたい
教員資格認定試験は、1年に1度しか実施されていません。そのため、万が一不合格となった場合、次のチャンスがくるまでの期間、気持ちが塞ぐこともあるかもしれません。
しかし、そこで諦めてしまっては夢を叶えることはできません。ストレスをうまく発散しながらも、次のチャンスを必ずものにできるよう努力を続けてくださいね。
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