「大学に行かず自衛隊に入りたい」
高校卒業後、大学進学せずに自衛隊入隊を目指すには4つのルートがあります。
自衛隊は公務員の中でも特殊な仕事ではありますが、安定した将来を見込める職業として人気があります。
そこで、この記事では高卒で自衛隊を目指す方の「入隊条件」と「試験内容」を解説します。
高卒で自衛隊に入隊可能な4つのルート
高卒で自衛隊になるためのには、4つのルートがあります。
どのルートでも自衛隊にはなれますが、ルートによって最終的なポジションや給料が異なります。
ここでは4つのルートについてそれぞれ解説していきます。
- 自衛官候補生になるルート
- 一般曹候補生になるルート
- 幹部候補生になるルート
- パイロットになるルート
自分に合ったルートを考えながら読んでみてくださいね。
自衛官候補生になる時のルート
「自衛官候補生」になるルートは、すぐに現場で自衛官として働きたい人に適しています。
自衛官候補生は、18歳以上33歳未満であれば学歴にかかわらず全ての人が応募できます。
自衛官候補生になれれば、その後3ヶ月間の訓練を経て2等陸・海・空士として任官されます。
- 陸上自衛官は1年9ヶ月が1任期
- 海上・航空自衛官は2年9ヶ月が1任期
- 任期満了時には自衛官を継続 or 民間企業への就職を選択
- 自衛官として働き続ける場合は「曹」への昇任試験必須
一般曹候補生になる時のルート
「定年まで自衛隊」、「将来的に幹部を目指したい」場合は、「一般曹候補生」になるルートがおすすめです。
一般曹候補生も、8歳以上33歳未満であれば学歴にかかわらず目指すことができます。
- 自衛官候補生を指導する立場になる人材を育成
- 入隊後は2年9ヶ月経過以降、選考により3等陸・海・空曹に昇任
- 昇任後は全国の部隊に配置
- その後4年で幹部候補生部内選抜試験の受験資格付与
幹部候補生になる時のルート
「幹部候補生」になるためには、防衛大学を経て自衛隊に入る必要があります。
- 自衛隊の幹部を目指す上で必要となる知識や技術を習得するための学校
- 超難関大学
- 入学するためには高い学力が必要
高校を卒業して防衛大学に進学し卒業することで、「幹部候補生」として自衛隊入隊が可能です。
- 「一般幹部候補生」「歯科幹部候補生」「薬剤科幹部候補生」と3つのコースに分類
- 入隊段階で既に幹部となることが前提
- 頭脳明晰で頭の切れる人が多い
パイロットになる時のルート
ここまでの3つと少し違うのが、「パイロット」を目指す場合のルートです。
パイロットになるためには防衛大学に進学し、以下の2つのどちらかをクリアする必要があります。
- 防衛大学2年進級時に「航空要員」に区分
- 自衛隊の航空学生採用試験に合格
先ほどもお伝えした通り、防衛大学は超難関です。
そのため、後者の「自衛隊の航空学生採用試験に合格」の方がパイロットになれる確率が高いです。
航空学生は、学生宿舎で2年間の団体生活を送りながら飛行訓練や操縦課程を学びます。
以下が、航空学生採用試験の受験資格で、受験者の多くは高卒です。
海:18歳以上23歳未満の者(高卒者(見込含)又は高専3年次修了者))
空:18歳以上21歳未満の者(高卒者(見込含)又は高専3年次修了者))
高卒でなれる各候補生の給与
一般的な企業などは高卒の人は給料が大学卒よりも低いことが多いですが、自衛隊はどうでしょうか。
ここでは、自衛隊の各候補生ごとの給与について解説していきます!
各候補生の給与
自衛隊のホームページの情報を参考に初任給を算出してみました。
各候補生の初任給は以下の通りです!
▼各候補生の初任給
自衛官候補生 | 130,000円 |
---|---|
一般曹候補生 | 166,000円 |
幹部候補生 | 222,000円 |
自衛官候補生が受け取れるボーナスは、年に2回(夏・冬)、それぞれ給料の約2ヶ月分と設定されています。
また、自衛隊は6ヶ月以上在籍することで退職金の対象となる点も大きな特徴です。
参考までに、防衛大学在学中に受け取れる手当については以下の通りです。
▼防衛大学校在学中に受け取れる手当
毎月学生手当 | 117,000円 |
---|---|
期末手当(6月・12月) | 397,800円(年間合計) |
防衛大学在学中は全員学生舎に居住し、被服、寝具、食事などが貸与又は支給されます。
さらに、学生手当と期末手当が受け取れるため、金銭的な待遇は悪くないですよね。
自衛隊独自の特別手当て
自衛隊は、自衛隊ならではの独自の特別手当てが存在します。
まず、自衛隊にも一般的な企業に勤める場合同様、以下の手当てがあります。
- 通勤手当
- 単身赴任手当
- 扶養手当
では、自衛隊ならではの特殊手当をご覧ください。
- 乗組手当(艦艇に乗り組む場所で勤務する場合に支給)
- 航海手当(艦艇で航海する場合に支給)
- 航空手当(航空業務に携わる場合に支給)
- 災害派遣手当(災害派遣において活動した場合に支給)
これらは給与とは別に手当として支給されるもので、危険な現場で働く自衛隊ならではです。
高卒で自衛隊に入隊できる各候補生の入隊条件
ここからは、高卒で自衛隊に入隊する場合の条件と試験内容に関して解説していきます。
それぞれの候補生ごとに条件が異なるので、しっかり理解しておきましょう。
自衛官候補生
「自衛官候補生」の応募資格は、以下のとおりです。
18歳以上33歳未満
ただし、32歳の者にあっては、採用予定月の1日から起算して3月に達する日の翌月の末日現在、33歳に達していない者に限る。
年齢以外の条件はありません。
試験科目については以下の通りです。
- 筆記試験
- 口述試験
- 適性検査
- 身体検査及び経歴評定
※経歴評定とは多様な経歴を有する受験者の能力を総合的に評価するもの
一般曹候補生
「一般曹候補生」の応募資格は以下の通りです。
日本国籍を有する18歳以上33歳未満の者
※32歳の者は、採用予定月の末日現在、33歳に達していない者
自衛官候補生と同じ年齢条件ですが、「日本国籍を持つ人」でなければいけません。
試験科目ついては以下の通りです。
- 1次試験 筆記試験及び適正試験
- 2次試験 口述試験及び身体試験
幹部候補生
「幹部候補生」の応募資格は以下の通りです。
【一般】
[大卒程度試験]
22歳以上26歳未満の者(20歳以上22歳未満の者は大卒(見込含)、修士課程修了者等(見込含)は28歳未満)
[院卒者試験]
修士課程修了者等(見込含)で、20歳以上28歳未満の者
【歯科】
専門の大卒(見込含)20歳以上30歳未満の者
【薬剤科】
専門の大卒(見込含)20歳以上28歳未満の者*詳細は募集要項
- 大卒資格が必要
- 中には大学院卒もいる
- 大学の歯学科や薬学科から目指すルートあり
試験科目は以下の通りです。
- 1次試験 筆記試験
筆記式操縦適性検査(飛行要員希望者のみ)
- 2次試験 小論文試験、口述試験、身体検査
(飛行要員希望者のみ航空身体検査を実施)
参考までに、令和2年の幹部候補生(一般)の試験日程について以下に記載しておきましょう。
【1回目】
1次 令和2年6月20日(土)・6月21日(日)(21日は飛行要員希望者のみ)
2次 令和2年7月21日(火)~7月27日(月)のうち指定する日
3次 海・空飛行要員のみ
(海)令和2年8月17日(月)~21日(金)
(空)令和2年8月22日(土)~9月3日(木)
【2回目】
1次 令和2年8月8日(土)・8月9日(日)(9日は飛行要員希望者のみ)
2次 令和2年9月10日(木)~9月14日(月)のうち指定する日
3次 海・空飛行要員のみ
(海)令和2年10月5日(月)~9日(金)
(空)令和2年10月24日(土)~29日(木)
高卒から「幹部候補生」になるには、防衛大学校入学を目指すのが理想です。
防衛大学校は超難関ですが、大学受験をしてから幹部候補生の試験を受けるよりも効率的でしょう。
高卒から目指せる自衛官のキャリア
ここでは、「高卒で目指せる自衛隊のキャリア」をご紹介していきます。
以下の図は、自衛官募集ホームページより抜粋したものです。
▼自衛隊のキャリアアップの流れが分かるマップ
高卒で自衛隊に入隊した場合、考えられるキャリアは以下の通りです。
- 自衛官候補生→任期制自衛官→曹→陸曹航空操縦学生or准尉を経て幹部候補生へ
- 一般曹候補生→曹→陸曹航空操縦学生or准尉を経て幹部候補生へ
- 防衛大学校→幹部候補生として1年間幹部候補生学校に入校後→3尉に昇任
自衛隊入隊後のキャリアアップとして、最も一般的なのが「幹部自衛官になる」ことです。
幹部自衛官の特徴は以下の通りです。
- 10名から50名の部下を持つ指導者(小隊長の例)
- 業務量は増えるがやりがいも増える
- 海外への災害派遣や国連PKO派遣の任務など
責任重大な任務を任され、多くの部下をまとめるリーダーである必要があります。
激務と言われることも多い幹部自衛官ですが、それだけ仕事から得られるやりがいが豊富です。
幹部自衛官はトップ層なので、給料や待遇もどんどんと上がっていきます。
▼自衛隊給与例
年齢 | 入隊時 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 45歳 | 50歳 | 退職金 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
幹部自衛官 | 約370万円 | 約510万円 | 約610万円 | 約730万円 | 約870万円 | 約900万円 | 約980万円 | 約2700万円 |
参考:自衛隊鳥取地方協力本部「自衛隊の福利厚生」
※上記表は右にスクロール可能です
しかし、キャリアアップして幹部自衛官になれるのはほんの一握りで、実はかなり厳しい世界です。
「いつか頑張れば・・・」そのいつくるか分からないいつかに向かって努力をするのは辛いものがあります。
自衛隊に入って厳しい訓練を受けなくても、違う世界で頑張る選択肢も実はあるんです。
それが、リバラボインターンシップです。
- 学歴・職歴に関係なく18~29歳の若者が2年間の長期有給インターンを通し、キャリアを再生するプロジェクト
- 2年のインターンを卒業した後は、転職までサポートあり
- 色々な学習サポートがあり、インターンとして働きながら自分の希望の職を目指せる
実は、2年間のインターンを卒業する時の平均年収は490万円です。
中には、最高で921万円という例もあります。
自衛隊として一からキャリアを積み上げていくよりも、遥かに効率的で伸び代が見込めますよね。
インターンをすれば、高卒でもどんどんキャリアアップできることを知っておいてくださいね。
まとめ
この記事では、高卒で自衛隊に入隊する4つのルートをご紹介しました。
- 自衛官候補生へ
- 一般曹候補生へ
- 幹部候補生になるために防衛大学に進学
- パイロットを目指し航空学生へ
ルート次第で、自衛隊入隊後の働き方や幹部自衛官になるまでの道のりも大きく変わります。
学歴で将来やりたいことを封じ込めるのではなく、高卒の人でも自衛隊になる選択肢があります。
まずは、自分自身が将来どうしたいかを考え、自分にあったルートを選択していきましょう!