公認会計士に憧れているものの、高卒だとハードルが高そうだと諦めている人もいるかもしれません。しかし、公認会計士になるために学歴は必要ありません。公認会計士の国家試験に受かって、2年以上の実務経験を積めば、誰でも公認会計士になれるのです。
では、公認会計士の試験はどんな試験なのでしょうか?また、高卒で公認会計士への道を歩み始めることにデメリットはあるのでしょうか?反対にメリットはどんなこと?早速解説していきます。
公認会計士試験の受験資格は?
まずは公認会計士試験の受験資格についてみていきます。
公認会計士の試験は、冒頭で述べた通り学歴不問です。性別や年齢、国籍も一切問われません。2005年以前は、大卒であることや旧1次試験に合格していることが条件とされていましたが、2006年からは、社会人を含めた多様な人が受験できるよう、試験制度が大幅に簡素化されています。
とはいえ、決して「受かりやすくなった」ということではありません。合格者の質が下がることがないよう考慮された改定でしたが、結果的に高卒者や大学在学中の合格者が増えていることから、高卒者でも合格できることが証明されています。
高卒の公認会計士試験の合格率は?
金融庁が発表している「令和3年公認会計士試験合格者調」によると、令和3年の公認会計士試験の合格率は9.6%。10%にも満たないのでかなりの狭き門と言えるでしょう。
願書提出者は14,192人。一次試験に該当する短答式試験(マークシート方式による択一式試験)に合格して、二次試験に該当する「論文式試験」を受験した人は3,992人で、最終的な合格者数は1,360人です。
このうち、高卒者の願書提出者は1,367人で合格者は75人。わずか5.5%という結果です。一方、短大または大学在学中の受験者の合格率は44.4%、短大または大卒者の合格率は41.7%なので、大きな開きがあるといえます。つまり、高卒で公認会計士試験に合格しようと思ったら、相当な努力が必要ということです。
参照:金融庁「令和3年公認会計士試験合格者調」
参考:中卒で公認会計士を目指す方はコチラ
高卒で公認会計士を目指すメリットは?
続いては、高卒で公認会計士を目指すメリットをみていきましょう。
国家資格である公認会計士の資格があれば、高額な年収を目指せるだけでなく、社会的信頼を得やすいといえます。また、公認会計士の監査業務は独占業務であることから、景気に左右されずに安定的に活躍できるのが大きなメリットとして挙げられます。
冒頭で述べた通り、公認会計士試験に合格しても、その後、2年以上の実務経験を積まなければ公認会計士になることはできませんが、見習い期間である実務経験中でも給料が発生します。この期間の年収は平均400万円前後ですが、見習い期間が終わって一人前の公認会計士として働き始めると、年収は大きくアップします。
高卒で公認会計士を目指すデメリットは?
続いてはデメリットをみていきます。
高卒で公認会計士を目指すことそのものにデメリットはありません。しかし、公認会計士試験に合格するためにはかなりの勉強が必要なので、アルバイトなどで収入を得ながら勉強時間を確保することを大変だと感じることはあるかもしれません。また、万が一途中で匙を投げてしまった場合、勉強に打ち込んでいた空白期間について、就職面接などでつっこまれる可能性があります。
公認会計士試験に合格後はどうなる?
公認会計士の国家試験に受かっても、その後、2年以上の実務経験を積まなければ一人前の公認会計士になれません。
実務経験とは具体的にはどのようなことをするのかというと、「業務補助」または「実務従事」です。両方の実績を積んだ場合、それぞれの経験年数を合算できます。
業務補助とは?
業務補助とは、公認会計士または監査法人の監査証明業務の補助です。法定監査、任意監査のいずれも業務補助として認められています。
また、1年につき2つ以上の法人の監査証明業務を補助することが必要です。ただし、「金融商品取引法によって、工員会計士または監査法人の監査を受けることが定められている法人」「会社法によって会計監査人設置会社と認められた法人」のいずれかの法人の監査証明業務であれば、1年につき1つの法人でもよしとされています。
実務従事とは?
実務従事とは、財務に関する監査や分析などの実務に従事することです。対象となる業務はいくつかあり、たとえば、国や地方公共団体の機関での「会計に関する検査もしくは監査」や「国税に関する調査もしくは検査の事務」、金融機関や保険会社での「貸付、債務の保証その他これらに順ずる資金の運用に関する事務」などが該当します。
見習い期間にも給与が発生するため、高いモチベーションを保って一人前を目指せる!
公認会計士の資格を取得した後も、2年以上の実務経験を積まなければ一人前になれないとなると、気が遠くなるように感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、業務補助などをおこなうことになる、いわゆる”見習い期間”にも給与が発生するうえ、大手監査法人なら初任給が30万円を超えることもあるので、大卒の平均初任給を上回ることになるため、一人前になるためのモチベーションは保ちやすいといえるでしょう。
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