専門卒は就職において、「専門卒である」ことを有利に作用させることが難しい場面があります。
専門学校で学んだことを直接的に就職や入社後の業務に役立てられれば別ですが、特に大卒と比較するとどうしても不利になることが多いのが専門卒。
この記事では、専門卒と大卒を以下の6つの視点で徹底的に比較していきます。
- 就職率
- 年収
- 出世スピード
- コネ
- 求人条件
- 就活の進め方
専門卒で、就活をすでに始めている人や、これから就活をスタートさせる人にとっては、とても役に立つ内容が満載です。
専門卒と大卒で就職率を比較
専門卒と大卒では、就職率にどのような違いがあるのか見てみましょう。
以下は平成30年度の学歴別の就職率を表したものです。
▼学歴別就職率
学歴 | 就職率 |
大卒 | 97.6% |
短大 | 98.6% |
高卒 | 98.2% |
専門卒 | 99.6% |
このデータを見る限り、専門卒の就職率は非常に高いことが分かります。
専門学校は座学も多いですが、専門的で実践的な技術についてより詳しく学べることが多いため、即戦力として就職できる場合が多いのが特徴です。
「専門卒よりも大卒の方が就職しやすい」というイメージを持つ人もいますが、これはデータ上誤りだと言えます。
専門卒と大卒の年収比較
専門卒と大卒を年収で比較してみると、以下のようになります。
▼学歴別賃金比較(全年齢計)
学歴 | 賃金(男) | 賃金(女) |
大学・大学院卒 | 400,500円 | 290,100円 |
専門卒 | 313,800円 | 258,200円 |
大卒と専門卒の年収を比較すると、大卒の方がかなり賃金が高いことが分かります。
そして、その差は男性の方が大きいのが特徴です。
年収比較をの結果をポイントでまとめると、
- 男の専門卒は月の賃金が大卒よりも8万円以上安い
- 女の専門卒は月の賃金が大卒よりも3万円以上安い
- 収入差は男性の方が顕著である
となります。
専門卒と大卒で出世の早さを比較
入社後の出世スピードで比較すると専門卒と大卒ではどのような点に違いがあるのでしょう。
以下は学歴と性別による昇進スピードを比較したものです。
▼学歴と性別ごとにみる昇進スピード比較
係長への昇進 | 大卒男性=大卒女性=専門卒男性>専門卒女性 |
課長への昇進 | 大卒男性>専門卒男性>専門卒女性 |
部長への昇進 | 大卒男性>専門卒男性 |
参照:大阪大学「昇進競争における学歴と性別~百貨店業の事例~」
大卒は出世に強い、というのはイメージだけでなく事実であることが分かります。
大卒の学歴があれば、同じように仕事をしていても専門卒よりも早く出世できることが多いのです。
となると、結果的に「専門卒は出世しにくい」と頭に入れておく必要がありますね。
専門卒者と大卒者でコネや派閥の違いを比較
コネという言葉を聞くとあまり良いイメージを持たない人も多いかもしれませんが、実際入社後に会社の中に「派閥」があることは少なくありません。
「大卒組」、「専門卒組」というような派閥が自然と確立されていて、出世するのはいつも「大卒組から」という暗黙のルールができあがっている会社はたくさんあります。
専門卒は入社後のコネやコミュニティが大卒と完全に分けられてしまい、いわゆる「万年平社員コース」がなんとなく目に見えてしまう状態も多いです。
大卒には、大卒というブランドの価値があり、専門卒がこの差別に苦しむことになるケースは多いです。
専門卒と大卒の求人条件の比較
専門卒と大卒では、同じように新卒で採用されるにしても条件面での違いがある場合がほとんどです。
以下の例をご覧ください。
▼「任天堂株式会社」初任給の比較
大卒 | 233,000円 |
専門卒 | 211,500円 |
▼「リコージャパン株式会社」初任給の比較
大卒 | 196,000円~217,000円 |
専門卒 | 180,000円~201,000円 |
参照:リクナビ2020
専門卒を採用している企業は少ないわけではありません。
専門卒の就職率を見ても決して「専門卒は就職先が見つかりにくい」とは言えません。
ただし、大きなポイントとして「同じ部署に入り同じ業務をするのに給与が初めから違う」という点について知っておく必要があります。
専門卒と大卒の就活の進め方を比較
専門卒と大卒とでは、就活自体の進め方が異なります。
最後の章では、専門卒と大卒の就活の違いを以下のポイントで比較します。
- 応募方法
- 求人の応募件数
- 内定までにかかる期間
- 大手や人気企業における違い
ではさっそく内容へと進みましょう。
求人への応募方法
専門卒の就活の大きな特徴の一つに、「推薦が多い」という点が挙げられます。
これは、専門学校が特定分野における教育を専門的に行っているため、その特定分野に関わる企業側が学校側に求人が寄せられるからです。
一方大卒に関しては、一般的に「自分が求人サイトを見て興味のある企業にエントリーをする」というケースが多いため、この時点でかなり大きな違いがあると言えます。
ここまで読んで、あなたはもしかすると「専門卒の就活の方が楽そう!」と思ったかもしれません。
しかし、専門卒が学校の推薦で求人に応募することが多いというのは、裏を返せば「選べる求人がかなり限定される」とも言えます。
また、大卒はOB訪問などの機会を活用しやすく、実際に入社した先輩の会社情報を入手しやすくなるメリットもあります。
ここで、専門卒と大卒の求人応募方法の特徴をまとめておきます。
- 専門卒は学校の推薦で求人応募するケースが一般的
- 大卒は求人サイトで自力で希望企業を探し出してエントリーするケースが一般的
- 大卒の方が選べる企業の幅が広い
- 専門卒は学校の推薦があるため採用されやすいが選択肢は狭まる
求人への応募数
専門卒と大卒とでは、求人への応募数にも違いがあります。
専門卒は学校推薦の企業に応募するケースが多く、専門学校で学んだ知識が活かせる業種のみしか検討できないため、応募企業は10社ほどと少なめです。
これに対して大卒は、平均して30社ほどにエントリーして、その中から内定を勝ち取っていきます。
多くの企業に応募することが、「大変」だと思うのか「チャンスがたくさんある」と捉えるのかはあなた次第です。
しかし、事実として専門卒と大卒の求人応募数に大きな違いがある点は知っておくと良いでしょう。
求人応募から内定までの期間
求人に応募してから企業からの内定をもらうまでにかかる期間は、大卒よりも専門卒の方が短い傾向にあります。
この理由は以下の2点です。
- 専門卒は学校の推薦があるため、2次面接で内定がもらえるケースが多い
- 大卒は基本3次面接以上が一般的なため、その分期間を要する
同じタイミングで就活を始めた専門卒と大卒では、圧倒的に専門卒の内定獲得が早いのが特徴です。
大卒は同時進行で多くの企業に応募し、並行して何度も面接を受けていきます。
そのため、就活時はアルバイトも一切できないほどの超多忙な日々を送ることも珍しくありません。
大手企業や人気企業への応募や内定
大卒は大手企業や人気の高い企業への内定を獲得しやすいのが一つの特徴です。
なぜなら、
- 大企業の中でも老舗企業は特に学歴を重視しがち
- 応募者が多いため、ふるいにかける方法として「学歴フィルター」がある
- 専門卒は総合職で採用されづらい(専門分野と関わりが薄いため)
などの理由で、大卒の方が専門卒よりも有利になることが多いからです。
人気の高い企業や大企業の中には「大卒以上」を求人の条件に載せていることも多く、専門卒は「興味を惹かれた企業なのに、応募さえできないんだ」と苦しい思いをしてしまうことも珍しくありません。
まとめ
今回は、専門卒と大卒を就職における様々なポイントで徹底的に比較しました。
今現在専門卒で就活を控えているあなたにとっては、少々耳の痛い話もあったことでしょう。
今回の記事の内容をまとめておきます。
- 専門卒の就職率は大卒よりも高い
- 専門卒は大卒よりも出世が遅くなる傾向がある
- 専門卒は給与面で大卒に負けている
- 専門卒の就活はほぼ推薦、大卒は自力
- 大卒は大手や人気企業の就職に強い
専門卒が就活において実際どうなのかがよく理解できたのではないかと思います。
専門卒の学歴は、いまさらどうすることもできません。
あなたが今からするべきことは、「専門卒の位置付け」を理解し、専門卒だからこそ有利に動ける方法を考えていくこと。
専門卒が大卒と比較してどうなのか、その違いを理解した上でうまく立ち回る就活計画を立てていきましょう!