大学中退後の奨学金の手続き|大学を辞めた後に受け取りをやめる方法とは?

 

大学生の2〜3名に1人は奨学金を利用していると言われています。

しかし、大学中退する場合の奨学金はどうなってしまうのでしょう。

今回は、実際の体験をもとに大学中退の際に必要な奨学金の手続きを徹底解説します。

※本記事は、実際に大学中退を経験して、奨学金の手続きを行った体験者の話をもとに執筆しています。

 

大学中退者は奨学金を遅延せずに返済できているのか

大学中退者は中退後から奨学金の返済義務がありますが、返済状況はどうなのでしょうか。

 

奨学金を遅延している人の割合

 

ダルマちゃん
『平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果』によると、以下の奨学金の返済状況が分かりました。

 

▼奨学金返済の遅延について

平成29年度
延滞者 157,000人
無延滞者 3,819,000人
奨学金利用者 3,976,000人

出典:「独立行政法人日本学生支援機構に」よる「平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果

 

奨学金を遅延している割合

延滞者÷奨学金利用者≒ 0.04

つまり、奨学金返済を遅延している人は、奨学金利用者の約4%という事実が分かりました。

 

奨学金を遅延している人の遅延理由

 

ダルマちゃん
世の中の奨学金利用者が、返済を遅延してしまう理由は一体なんなのか調べたぞ

 

▼奨学金返済の遅延理由

家計の収入が減った 67.8%
家計の支出が増えた 40.2%
入院、事故、災害等 19.9%
忙しかった 13.9%
返還を忘れていたなどのミス 9.9%
返還するものと思っていなかった 3.8%
その他 27.5%

出典:「独立行政法人日本学生支援機構」による「延滞が始まった理由(きっかけ)(あてはまるものを全て選択)」

 

大部分を占めている「家計の収入が減った」「支出が増えた」を見ると、経済的な理由が奨学金の遅延理由のほとんどだと言えます。

 

▼遅延がさらに伸びる理由

本人の低所得 64.4%
延滞額の増加 45.0%
本人の借入額の返済 29.3%
本人が失業中 24.4%
本人親の経済困難(本人が親を援助) 24.2%
本人親の経済困難(親が返還する約束) 23.8%
家族の病気療養 16.1%
本人が病気療養中 12.5%
配偶者の経済困難 8.4%

出典:「独立行政法人日本学生支援機構」による「延滞が継続している理由

 

7割弱の大学中退生が、本人の低所得が理由で、奨学金の支払いが遅れてしまうことが分かりました。

 

▼低所得になってしまう理由
  1. 大学中退すると最終学歴が高卒になってしまうから
  2. 中退した事実がある分、高卒より不利だから
  3. 選べる職種が限られてしまうから

 

日本は現在も学歴社会で、入社後の出世にも学歴が大きく影響すると言われています。

そんな学歴社会で逆転するには、職歴とスキル・実績が特に重要になります。

 

▼職歴とスキル・実績が重要な理由
  1. 採用面接官の明確な判断基準になるから
  2. 学歴よりも確実な実力の証明になるから

 

上記の通りで、職歴とスキル・実績は、学歴よりもはるかに強力な武器になります。

「奨学金の対応や返済が先やろ、、」

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奨学金の返還期限猶予制度を利用している人の割合

奨学金の返還が困難な事情が生じた際には、返還期限猶予制度を利用することができるケースがあります。

返還期限猶予制度とは
災害、傷病、経済困難、失業などの事情が生じた際に、一定期間返還を猶予し先送りにすることができる制度

返還期限猶予制度を適応することより元金や利子が免除されることはないものの、当面の返還を先送りにできるため、知っておくと良いでしょう。

返還期限猶予制度がどのくらいの人たちに利用されているのか、延滞者と無延滞者に分けてその割合を見てみると、下記の通りとなっています。

 

▼返還期限猶予制度の利用率

申請したことがない 過去に利用した 利用中 準備・検討中 申請したが承認されなかった その他
延滞者 30.7% 25.3% 20.4% 10.2% 9.6%  3.8%
無延滞者 83.7% 13.1% 1.6% 0.7% 0.1% 0.7%

出典:「独立行政法人日本学生支援機構に」よる「返還期限猶予制度の申請状況

 

ここから分かることは、

  • 延滞者に関しては利用中と利用経験がある人の率が多いとは言え、これまでに申請したことがない人が3割以上いる
  • 無延滞者の中にも返還期限猶予制度を利用したことのある人が13.1%いる

延滞してしまった人たちの中には、返還期限猶予制度を申請すれば延滞することなく支払いを先送りにすることができた可能性が十分にあったと言えます。

 

大学中退後に奨学金の受け取りをやめる方法

大学中退後には奨学金の受け取りをストップする必要があります。

中退後もそのまま奨学金を借り続けると、奨学金の種類によっては後々利息を支払わなくならなくなるなどの問題が発生する可能性があります。確実に手続きをし、奨学金の振り込みを停止させておきましょう。

ここで、その手続き方法について解説します。

奨学金停止の手続き
  1. 学校担当者に連絡し、奨学金の振込を止めてもらう
  2. 「異動願(届)」を学校から受け取り、必要事項を記入し学校へ提出する
  3. 「貸与奨学金返還確認票」を学校から受け取り、内容を確認する。住所等に変更がある場合は、スカラネット・パーソナルから変更する
  4. 金融機関の窓口で口座振替(リレー口座)の加入手続きを行ない、「預・貯金者控」のコピーを学校に提出する。

出典:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金貸与中の届出・願出

中退時には奨学金に関する手続きについて説明がある場合が多いとはいえ、中には説明されなかったというケースもあります。その場合には自分から奨学金に関する手続きをしたい旨を伝えましょう。

 

奨学金の返済前に抑えておくべき3つの制度

奨学金の返済に関しては、知っておくべき制度が3つあります。

  • 返還期限猶予制度
  • 減額返還制度
  • 返還免除制度

この章では、これら3つの制度について詳しく紹介します。返還が困難な状況になった場合、これらの制度を知っておくことによりうまく対処することができることがあります。

 

返還期限猶予制度

先ほども触れましたが、

返還期限猶予制度とは
災害、傷病、経済困難、失業などの事情が生じた際に、一定期間返還を猶予し先送りにすることができる制度

最長10年もの間奨学金返済の必要がなくなりますが、1年ごとに返還期限猶予願いを提出する必要があります。

そして、返還期限猶予期間が過ぎると返済を再開することになり、返済予定額は減額されるわけではない点も知っておかなくてはなりません。

返還期限猶予制度が適用されるのは以下のどちらかに該当する人となります。

  • 年間収入金額(税込)300万円以下
  • 給与所得以外の所得のある方で年間所得(必要経費等控除後)200万円以下

 

減額返還制度

減額返還制度とは
最長15年間、毎月の返還金額を2分の1、3分の1に減額できる制度

毎月の返済額が減額されれば、支払いは楽になります。その分返済期間が長くなるものの、利子を含めた総支払額は変わらないため、生活を圧迫せずに無理のない返還が可能となります。

減額返還制度が適用されるのは

  • 給与所得者で年間収入が税込325万円以下
  • 給与所得以外の所得のある方で年間所得(必要経費等控除後)225万円以下
  • 新卒もしくは中退者
  • 減額返還開始希望月から遡り6ヶ月以内に失業した方

のいづれかに該当する人となります。

 

返還免除制度

返還免除制度とは
本人が死亡した場合や、精神もしくは身体的な障害により働けなくなった場合に奨学金の返還を全額もしくは一部免除できる制度

免除となるため適用条件は厳しく、働けないことを証明する医師の診断書が必要となります。申請の際には日本学生支援機構に問合せ、適用条件を確認しましょう。

 

大学中退後に他大学や専門学校に進学する際に奨学金は継続できるか

大学中退後に他大学や専門学校に進学するケースがありますが、この場合には奨学金は継続できるのでしょうか。

答えはNOです。

通っていた大学を中退した時点で、それまで借りていた奨学金は停止する必要があります。その上で、再度奨学金を利用したいとなれば再申請が必要となります。

過去に奨学金を借りたことのある人は、奨学金を新たに申込む際に審査が厳しくなるため、借りられなくなる可能性は十分にあると理解しておきましょう。

 

大学中退後に奨学金の残高を確認する方法

今、奨学金の残高がいくらあるのが確認する方法は、大きく分けて2つあります。

スカラネットスカラネット・パーソナルを閲覧

スカラネットスカラネット・パーソナルは、奨学金を貸与・給付中・返還中の方が、自分の奨学金に関する情報を確認できるシステムです。利用するためには登録が必要となります。

スカラネットスカラネット・パーソナルでできる項目は以下の通りです。

    ・繰上返還の申込
    ・在学猶予願・在学猶予期間短縮願の提出
    ・奨学金情報の閲覧・確認
    ・奨学金減額返還願・奨学金返還期限猶予願の作成・印刷
    ・各種証明書の発行申請
    ・最低返還月額申請(所得連動返還方式選択者)

日本学生支援機構に電話して問い合わせる

日本学生支援機構に電話で問い合わせて確認できます。

    電話:0570-666-301(ナビダイヤル)
    海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話:03‐6743‐6100
    受付時間:月曜~金曜の9時00分~20時00分(土日祝日・年末年始を除く)

残高以外に、奨学金に関する相談がある場合もこちらに問い合わせてみましょう。

 

大学中退後に奨学金が返せなかった人の末路

大学中退後に奨学金の返済ができなくなってしまった場合には、どのような展開がその先に待ち受けているのか気になりますよね。

返済するに越したことはありませんが、奨学金を万が一返済できなかった場合に考えられるリスクを2つ紹介しておきましょう。

 

個人信用機関のブラックリストに載ってしまう

奨学金返済における救済制度を紹介してきましたが、もしも仮にこれらを利用することなく手続きなしに返済を滞納してしまった場合には以下の展開が予想されます。

  1. 督促状や督促の電話がくる
  2. それでも返済せず3ヶ月が経過したら連帯保証人に請求される

この時点で、本人が返済に応じなかったということが確定してしまい、最終的には個人信用機関のブラックリストに載ってしまいます。

こうなると、クレジットカードを作る際や、ローンを組む際、家を借りる際などが一気に難しくなってしまいます。こうならないために、返済が苦しい場合には先ほど紹介した制度を利用するのが賢明ですね!

 

返済できずに自己破産してしまう

奨学金の返済ができない場合、ブラックリストに載ってしまってもそれで終わりではありません。

ブラックリストは今後の借り入れなどに影響しますが、今現在の奨学金返済義務を帳消しにするものではありません。

返済が遅れることで延滞金がつき、さらに支払いが苦しくなるという悪循環を招いてしまうこともあります。こうして本人や保証人が返済できなくなる場合には、自己破産を申請することができます。

自己破産とは
  • 裁判所に借金の返済能力がないと認められることにより返済義務をなくすことができる制度
  • 財産処分や今後の借り入れが制限されるなどのデメリットが大きい

奨学金の返済ができないために自己破産し、さらに連帯保証人までもが自己破産してしまうケースもあります。このような事態は極力避けなければなりません。

 

大学中退後は奨学金の受け取りをやめる

今回は、大学中退後の奨学金の手続きについてまとめました。

大学中退後の奨学金の手続きや返済のポイント
  1. 中退後は必ず奨学金受け取りをストップするための手続きが必要
  2. 奨学金返済を先送りできる制度や返済額を減額できる制度がある
  3. 返済せず放置した場合ブラックリストに載ったり自己破産してしまったりと良くない状況を招く

中退後は奨学金をすみやかに停止し、月々きちんと返済していきましょう。難しい場合には放置せずに救済制度を利用するのが最善です!

きちんと収入があれば奨学金の返済に困ることはまずありません!そのためにも就職先を見つけ安定した収入が得られるようになるといいですね。

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