転職のやり方を解説。転職のスケジュールと成功のためのポイント

現職に不満があり転職を考えたものの、転職の流れややり方がよくわからない人もいるでしょう。事前に準備しておくべき項目や面接でのコツ、知っておきたい知識、注意点についてくわしく解説します。しっかり理解して転職活動をスムーズに進めましょう。

転職の大まかな流れ

まずは転職する際の流れを把握しましょう。転職活動期間は長すぎても短すぎてもうまくいきづらいため、一般的なスケジュールを知っておくのは重要です。

一般的な転職のスケジュール

一般的に、転職活動は以下の4ステップに分けられます。個人差はあるものの、すべてのステップが完了するのに2〜3カ月はかかると想定しておきましょう。

  1. 事前準備
  2. 応募書類の作成・応募
  3. 面接
  4. 内定・退職手続き

事前準備と応募書類の作成・応募は合わせて1カ月程度かけて行います。そして最重要ともいえる面接は、4〜5週間かけて複数社の選考を受けましょう。

内定が出た後は退職手続きを行います。退職通告は1カ月前までに行うことを社内規則で定めている会社が多いため、内定が出てから次の会社に入社するまでは約1カ月かかると見込んでおきましょう。

事前準備

転職活動を始める際は、就職活動と同様に綿密な事前準備が大切です。転職活動の事前準備として行うべきことを三つ解説します。

自己分析

まずは自己分析です。自分に合った企業に応募したり、面接で自分を上手にアピールしたりするためには、自分の強みや弱み、価値観を明確に認識する必要があります。特に以下の四つの観点から自己分析を進めるのがおすすめです。

  • 転職でどのような問題を解決したいか
  • それは現職では解決不可能か
  • 転職後どのような人材になりたいか
  • 自分の強み・弱み

自己分析がうまくできない場合は、転職エージェントに相談するか、エージェントのサイトなどにある自己分析サポートツールを使うとよいでしょう。

業界や企業の情報収集

自分が目指す業界や企業についての情報収集は、徹底的に行いましょう。特に未経験の業界に挑戦する場合は、細かい点まで調べておく必要があります。

業界や企業への理解が浅いと、ライバルよりもアピールが弱くなったり、業界に対する理解が浅いことが面接で明るみに出てしまいマイナス評価になったりします。

業界に関する調査はインターネットで行ってもよいですが、業界地図の書籍が1冊あると便利です。業界内での各企業の立ち位置などがわかるので、業界調査だけでなく企業分析にも役立つでしょう。

転職サービスに登録

企業に応募する前に、各種転職サービスに登録しておきましょう。転職サービスには以下の種類があります。

  • 転職サイト
  • 転職エージェント
  • スカウトサービス

転職サイトは、自分で求人を探して応募するタイプのサービスです。転職エージェントを利用すると、専任のアドバイザーが求人の紹介や面接対策などを行ってくれます。非公開の求人を紹介してくれる場合もあり、転職に慣れていない人に向いています。

スカウトサービスにプロフィールを登録すると、興味を持った企業から求職者にスカウトが届きます。

応募する企業を見極めるために、口コミサイトをチェックするのもおすすめです。求人情報には記載されていない、実際に働いている社員の生の声を見られるため参考になるでしょう。

応募書類の作成

事前準備が終わったら、応募書類を作成しましょう。応募書類とは履歴書と職務経歴書の2点を指します。各書類を書くうえでのポイントを解説します。

履歴書の作成

履歴書は本人確認書類の意味合いで使われるため、選考に直接関係することはほとんどありません。しかし履歴書には顔写真を貼付したり、職歴を記載したりするため、応募者の印象に少なからず影響を与えます。

そのため選考に関係ないからと手を抜いてはいけません。履歴書には自分の学歴や職歴、志望動機などを記載します。

準備せずに書き始めると、スペースが足りなくなったり、極端に余白が残ったりしてしまうため、下書きをしてあらかじめレイアウトを決めておくとよいでしょう。

職務経歴書の作成

職務経歴書は自分の職務経験や能力をアピールするための書類で、書類選考の合否に大きく関わります。見やすさとわかりやすさを心がけて、自分を魅力的にアピールしましょう。

職務経歴書の自己PRを書く際は、以下の流れで書くと効果的です。

  1. タイトル
  2. 業務内容
  3. 達成したこと・成果
  4. 得られたスキル
  5. 会社に貢献できること

以上の流れを意識することで、その企業に合った自己PRが書けるでしょう。また志望動機も企業ごとに合わせたものを準備することが大切です。

もし書き方がわからない場合は、転職サービスが用意しているものを使うとよいでしょう。内容を魅力的に書けるようなフォーマットになっているのでおすすめです。

面接のコツ

面接は合否を分ける重要なポイントです。面接のコツを三つ解説するので、内定を取るためにしっかりと確認しましょう。

身だしなみに気を付ける

スーツはハイブランドや高価なものを着る必要はありません。重要なのは清潔感と、フィット感です。面接前にスーツをクリーニングに出しておくとよいでしょう。

スーツの色は、誠実さや聡明な印象を与えられる濃紺がおすすめです。靴はきれいに磨くか、新品に取り替えましょう。

私服でOKの場合は、シャツやジャケットなどのオフィスカジュアルで臨むのが無難です。私服といっても、どのような服装でもよいわけではありません。たとえば、ダメージジーンズや露出の多い服装は避けましょう。

髪型も清潔感を意識しましょう。常識の範囲内であれば、そこまで細かくこだわる必要はありません。

基本マナーを守る

部屋の入退室や、面接時の最低限のマナーは押さえておきましょう。面接時に過剰に慌てる心配がなくなります。

面接の10分前には到着するようにし、待合室に通されたらスマホや本などは見ずに案内を待ちましょう。部屋に入るときはドアを3回ノックし、返事があったら『失礼いたします』と言ってから入室します。

面接中は、基本的には視線を面接官のほうへ向けておくのが無難です。面接官が複数人いる場合は、話している人のほうを向きます。表情はリラックスしておくのがよいでしょう。

部屋を出るときには『ありがとうございました』とお礼を伝え、最後に『失礼いたします』と加えてから静かに退室するのがポイントです。

よくある質問を押さえておく

面接時に聞かれる質問は企業によって異なりますが、その中でも頻繁に聞かれる質問があります。とっさに聞かれた質問に対し、その場で十分にアピールするのは難しいものです。

よく出る質問にはあらかじめ回答を準備しておくとよいでしょう。深掘りされたときの回答まで用意しておくと安心です。質問の意図をきちんと把握したうえで回答を準備しないと、アピールが不十分になってしまいます。

転職サービスのサイトを見ると、よくある質問をまとめた記事や資料を公開している場合があるので、一度検索してみることをおすすめします。

内定と退職

晴れて内定が出たら、現職の退職交渉を行います。このときにトラブルを起こしてしまうと、新しい職場への入社が遅れるなど、迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。ここで気を抜かないよう、以下のポイントをしっかりと把握しておきましょう。

内定が出たら

内定が出たら、まずは承諾するかどうかを決めます。すぐに承諾するのではなく、まずは以下の観点から入社するかどうかを判断しましょう。

  • 社風は自分と合っているか
  • 給与などの労働条件に問題がないか
  • 複数社で迷ったら自分が重視する条件で比較する

社風は口コミサイトで社員の生の声を確認するのがおすすめです。また内定承諾前には契約書をよく読み、給与などの採用条件が面接時に話したものと相違がないかチェックしましょう。

複数社から内定が出ていて、1社に絞れない場合は、自分が重視する条件を満たしているかという観点から比較するのがおすすめです。紙に書き出して可視化することで、今までぼんやりしていたものがはっきりと見えるようになるでしょう。

退職の手続き

まずは直属の上司に退職する旨を切り出しましょう。目安は希望退職日の1〜2カ月前です。もし慰留をされても、退職理由は個人的なもので、現職では解決できない旨を伝えることが大切です。

その後改めて退職交渉を行うことになりますが、そのときにも意思が揺るがないことを伝え、退職日を遅らせるつもりはない点をしっかりと説明しましょう。想定される引き止め文句に対して、納得してもらえるような回答を準備するのも有効です。

退職交渉が終わったら、退職届を提出します。業務の引き継ぎやあいさつ回りは抜かりなく行いましょう。円満退社の秘訣は、『飛ぶ鳥跡を濁さず』です。

転職を成功させる秘訣

転職は現職の不満を解消するためにする場合がほとんどのため、できれば成功させたいものです。転職を成功させる秘訣を三つ解説します。

転職理由を明確にする

転職に成功する人は、転職する理由が明確です。転職の目的は、働くうえで現職では解決できない問題を解決することです。

そのため転職理由があいまいだと、目先の年収などの条件に目がくらんで転職先を選ぶといった行動をしてしまいます。それでは根本的な問題が解決できないので、さらに転職を繰り返すといった結果になりかねません。

現職に不満がある場合は、まずは自力で解決できないか工夫することも大切です。転職は自分の人生を左右するイベントなだけに、一時の勢いでするものではありません。

また面接でも、転職理由が現職ではどうにもならない点を伝えることで、説得力も増し、よい結果につながるでしょう。

譲れない条件を決めておく

転職先に求める条件は人それぞれですが、絶対に譲れない条件は明確にしておきましょう。譲れない条件には優先順位を付けて、同時に、ある程度は妥協できる条件も決めておきます。

たとえば、ワーク・ライフ・バランスを絶対の条件とするなら、給与は現状維持か多少下がってもいいという判断ができます。

一番よくないケースは、すべての条件を満たす企業を見つけようとして、結局見つからず転職をあきらめてしまうことです。

希望の条件をすべて叶えられる理想の会社はほぼありません。絶対に譲れない条件は死守し、その他は妥協するほうが転職は成功しやすいでしょう。

一つの企業にこだわらない

企業に応募する際は、本命以外の企業にも複数応募しましょう。複数社の面接を受けることは、面接の練習にもなります。また他社からも内定が出ていると安心感が生まれ、本命企業の面接もリラックスして臨めるでしょう。

もし本命企業しか受けていない場合、そこに落ちてしまったときに大きな焦りが生まれてしまいます。転職には運やタイミングも関わってくるものです。

本命でないと思っていた会社が、思いのほか自分に合っているケースも考えられるので、選考は複数社受けるようにしましょう。

転職の注意点

転職活動をするうえで、どういった点に気を付けたらよいのでしょうか。転職する際の注意点を三つ解説します。

できれば在職中に転職活動を始める

転職活動は在職中に行うことが大切です。転職活動が終わる前に退職してしまうと、次の職を得るまでに収入がストップし、焦りが生まれてしまいます。その結果、目先の内定が出た会社に決めてしまい、本当に自分に合った企業に転職できない可能性があります。

また、内定を持っていることは退職交渉においても有利です。次の会社が決まっていることを伝えれば、現職側も慰留をしづらくなります。金銭と心に余裕を持った状態で転職活動を行いましょう。

職場の人に転職の話をしない

転職活動中は、職場の人にそのことを話さないようにしましょう。気の置けない同僚だけに話したとしても、噂はすぐに広まるものです。社内で転職活動をしていることが知られたら、居心地が悪くなってしまいます。

また、万が一転職活動のことが重職者の耳に入った場合、転職を阻止しようと異動や出向を命じられるケースもあります。そうなると転職活動も思うように進められなくなるので、不用意に口外しないようにしましょう。

入社までブランクがある場合は各種手続きを

新しい会社へ入社するベストなタイミングは、前職の退職日の翌日です。もし退職日と入社日の間に1日でもブランクがある場合は、年金と健康保険の手続きが必要になります。

年金については、住んでいる市区町村の役所の国民年金窓口で手続きをしましょう。健康保険については、以下のいずれかの対応が必要です。

  • 現職の会社の保険を任意継続する
  • 国民健康保険に切り替える
  • 家族の扶養に入る

社会保険の任意継続と国民健康保険のどちらが保険料をより抑えられるかは、扶養家族の人数によって異なります。家族の扶養に入る場合は、収入が被保険者の年収の1/2以下、かつ130万円未満であることなどいくつか条件があります。

転職サイトの選び方

転職サイトの数が多く、どれに登録したらよいかわからない人もいるでしょう。転職サイトの選び方を四つ解説します。

参考:オススメの転職エージェントと転職サイト9選を比較|自分に合った選び方も解説

転職サイトの種類を知っておく

転職サイトは、広告掲載型とエージェント型が代表的です。広告掲載型とは、求職者向けに幅広い業界や職種の求人情報を掲載しているサイトです。基本的に求職者は自分で求人に応募し、面接の日程調整から条件交渉までを行います。

一方でエージェント型は、キャリアアドバイザーが求職者に対し転職活動のサポートをしてくれるサービスです。求人情報も非公開のものが多く、応募から条件交渉まで求人者の代わりに行ってくれます。中には面接対策や応募書類の添削をしてくれるところもあります。

上記のほかにも、ハイクラスなど特定の層に特化した転職サイトや、SNSと連動しているものなどもあるので、自分に合ったサイトを探してみましょう。

自分のキャリアから選ぶ

転職サイトの中には、アッパークラス層に特化したものや、フリーターなど正社員経験のない人に特化したものなどがあります。

高年収を狙いたいなら、アッパークラス層向けのサービスがおすすめです。独自の非公開求人が多く、高年収・高ポジションの求人を紹介してくれるでしょう。もし初めて正社員として働きたい場合は、未経験OKの求人を多く掲載しているサービスがおすすめです。

特にこだわりがない、またはどれに登録するか迷ったときは、幅広い求職者を対象としているサイトに登録するのが無難です。

求人数が多いサイト

求人数が多いサイトほど、自分の希望にマッチした求人を見つけやすいでしょう。求人を検索するときには、勤務地や働き方などの条件で絞って検索します。

求人数が少ないと、希望に合った求人がまったくヒットしない場合もあります。求人数が多ければ、それだけ条件にマッチした求人がヒットしやすくなるので、求人数の多いサイトに登録することは重要です。

また『求人数が多い=それだけ企業がお金を払って求人を出したいと思っている』とも捉えられるので、優良サイトを見分ける目安にもなります。

複数の転職サイトに登録する

転職サイトは複数登録するのが基本です。各転職サイトには強みがあり、それぞれが独自の非公開求人を持っている場合もあります。

そのため複数登録しておいたほうが、自分に合った求人情報に出合える確率が高くなります。またどのサイトも登録は無料なので、いくつ登録しても費用はかかりません。

違う種類のサイトを使い分けるのもおすすめです。たとえば、広告掲載型は主に情報収集のために、エージェント型は本命の企業に合格するために使うといったやり方です。目安としては、2〜3個登録しておくとよいでしょう。

知っておきたい転職の知識

転職活動をするうえで知っておきたい知識を三つ紹介します。転職にかかる期間や費用、20代の転職で求められるものを把握しておきましょう。

転職にかかる期間

リクナビNEXTの調べによると、転職に成功した人の約半数は2〜6カ月で転職を終えているようです。また1カ月以内で転職を終えた人が4割弱いました。転職活動は早く終わるに越したことはありませんが、余裕を持って予定を立てることが重要です。

また退職後に転職活動を行う場合は、当面の収入として失業保険をもらうことをおすすめします。失業保険の受給には雇用保険の加入年数の条件があるので、自分が受給資格を満たしているかチェックしておきましょう。

転職活動にかかる費用

リクナビNEXTの調べによると、転職者の7割弱が転職活動に10万円未満の費用をかけていたとされます。転職活動にかかる主な費用は以下の通りです。

  • 交通費
  • 宿泊費
  • 時間調整のために入ったカフェ代
  • スーツや靴などの身だしなみ
  • 各種書類をそろえる費用

退職後に転職活動をする場合は、生活費も必要になるので、より大きなお金が必要となります。中には数十万円かかるケースもあるので、退職後に転職活動をする場合はある程度の貯蓄を作ってから行うとよいでしょう。

20代の転職で求められるもの

特に20代前半の人材はまだ経験豊富とはいえないため、転職が難しいと考える人もいるでしょう。しかし実際のところ、20代の人材の需要は高いといえます。

大きな理由は、ポテンシャルの高さです。まだ年齢も若く、いろいろなことを吸収できる20代は、異業種や未経験の職種でも活躍できる見込みがあります。事実として『第二新卒』と呼ばれる、20代前半をターゲットとする市場も存在しています。

ただし、社会人としての最低限のマナーや立ち振る舞いは求められるので、面接時の言葉遣いなどには注意しましょう。20代後半の人材には、ある程度のスキルが求められる場合があります。

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しっかり準備して転職を成功させよう

転職は自分の人生を左右する一大イベントです。そのため一時の感情ですぐに会社を辞めてしまうのではなく、きちんと計画を立て、十分に準備をしたうえで転職活動に臨みましょう。

一般的に転職にかかる期間は2〜6カ月が多いものの、あまり時間をかけすぎるとモチベーションの維持が大変になります。転職サイトは各媒体の特徴の違いを理解し、複数登録しておくのがおすすめです。

20代は転職市場でも需要が高く、ポテンシャルが重視されます。社会人経験が浅いからこそ、未経験の業界や業種にチャレンジしてみるのもよいでしょう。



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