最終学歴が中卒である場合、その学歴が人生にありとあらゆる影響を及ぼすことがあります。
今回は、中卒であるがゆえに直面せざるを得ない現実に目を向けてみましょう。
中卒だからといって、これからの未来が苦労ばかりになるという話ではありません。中卒でも、そこからさまざまな分野で活躍し成功を収める人はたくさんいます。
ここでの目的は、中卒が直面する現実にはどのようなものがあるのかをあらかじめ知ることで、対策を考えられるようになることです。備えあれば憂いなし!ぜひ理解を深めてくださいね!
中卒で仕事に就く際のリアルな現実
中卒で社会に出て働く場合、考えられる障害にはどのようなものがあるのでしょう。この章では仕事に関わることの中で、中卒者たちが苦労しがちなポイントをまとめてみました。
中卒の若年労働者で正社員になれない人が64.6%もいる
中卒だと就職はできてもなかなか正社員になれないという話を聞いたことがある人はきっと多いのではないでしょうか。ここでは、実際のところ中卒者のうちどのくらいの人たちが正社員として雇用されずにいるのか、その数字に注目してみましょう。
15歳から34歳の若年労働者を対象にした「正社員雇用率」のデータがこちらです。
▼正社員雇用率
最終学歴 | 若年労働者を100とした際の正社員の割合 | 正社員になれなかった若年労働者の割合 |
---|---|---|
中学卒 | 35.4% | 64.6% |
高校卒 | 56.3% | 43.7% |
専修学校卒 | 66.6% | 33.4% |
高専・短大卒 | 66.2% | 33.8% |
大学卒 | 80.9% | 19.1% |
大学院卒 | 84.3% | 15.7% |
出典:平成30年「性、年齢階級・在学の有無・最終学歴、雇用・就業形態別若年労働者割合」より
若年労働者のうち、64.6%もの人たちが正社員として雇用されていないことが分かります。
半数を優に超える数字であり、中卒者が正社員として雇用されることは簡単でないことがうかがえます。
一方で、大学卒や大学院卒の若年労働者は8割以上が正社員として雇用されており、中卒者との違いはとても大きいことが分かります。
大卒の年収と比較すると200万の差がある
では、中卒者の年収はどうなのでしょう。年収と学歴にどのような関係があるのかを調べてみました。
最終学歴と平均年収の関係を示すこちらのデータを見てみましょう。
▼最終学歴からみる平均年収
学歴 | 平均年齢 | 月額給与 | ボーナス・賞与 | 年収 |
---|---|---|---|---|
中学卒 | 50.0歳 | 280600円 | 438700円 | 3805900円 |
高校卒 | 44.4歳 | 296900円 | 673700円 | 4236500円 |
高専・短大卒 | 41.0歳 | 302000円 | 775400円 | 4399400円 |
大学・大学院卒 | 40.5歳 | 398900円 | 1290900円 | 6077700円 |
学歴計(合計) | 42.5歳 | 333800円 | 905900円 | 4911500円 |
出典:「2017年 賃金構造基本統計調査」
年収の数字で見ると、中卒者の年収は3,805,900円。これに対して大卒者は6,077,700円。その差はなんと200万円以上となっています。これは大きいですね。
考えられる理由としては、中卒者は高卒者や大卒者と比べて昇進ペースがゆっくりであること、そして離職率も高いためになかなか順調に年収が増えていかないということが挙げられます。(離職率や昇進ペースに関しては後ほど詳しく解説しています)
中卒で社長に上り詰める割合は一番低い
企業のトップと言えば社長ですが、中卒者が社長に上り詰める可能性はどのくらいあるのでしょう。
全国の企業を対象に社長の最終学歴をまとめたデータがこちらです。
▼最終学歴からみる社長の割合
最終学歴 | 全社長 人数・構成比 |
大企業社長 人数・構成比 |
---|---|---|
中学校 | 37,104人 (6.74%) | 45人 (0.48%) |
高等学校 | 206,847人 (37.58%) | 765人 (8.13%) |
短期大学 | 9,610人 (1.75%) | 32人 (0.34%) |
大学 | 288,779人 (52.47%) | 8,037人 (85.43%) |
大学院 | 5,185人 (0.94%) | 345人 (3.67%) |
留学 | 2,827人 (0.51%) | 184人 (1.96%) |
このデータから分かることは以下の通りです。
- 中卒で社長になれるのはわずか6.74%
- 高卒社長は全体の37.58%
- 大卒社長は全体の52.47%
- 大企業の社長に至っては85.43%が大卒!
中卒で採用面接を受けられる求人が少ない
中卒の場合、目指したい企業があっても高卒以上でなければ採用試験に挑戦することさえできないケースがあります。
令和2年3月現在のデータによると、求人数と求職者数からみる求人倍率は以下の通りです。
▼最終学歴ごとの求人倍率
求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | |
---|---|---|---|
中卒者 | 1,696 | 537人 | 3.16倍 |
高卒者 | 約484,000 | 約168,000人 | 2,89倍 |
出典:厚生労働省ホームページ令和元年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」より
中卒者は求人数自体が少ないのが特徴です。高卒者と比べても、その違いはかなりのもの。
高卒者だと484,000人もの求人数があるのに対して、中卒者だと1,696個の枠しかないのです。もちろん中卒者自体の数が少ないので、倍率だけで見るとそれほど変わらないように見えるのですが、注目すべきは求人数。
これだけ少ない求人数の中から、自分の進みたい道を選択して採用試験を受けていくのは正直大変な上、「やりたいことに近い仕事内容の求人が見つからない」というケースも少なくありません。
中卒の学歴が昇進のスピードに影響する
中卒だと昇進のスピードが高卒や大卒と比べて遅くなってしまうのでしょうか。昇進のスピードと学歴の関係について調べてみました。
百貨店の例ではありますが、昇進スピードが学歴に大きく関わっていることを示す次のデータがあります。
▼昇進スピードと最終学歴の関係
係長への昇進スピード | 大卒男性=大卒女性=高・短卒男性>高・短卒女性 |
課長への昇進スピード | 大卒男性>高・短卒男性>高・短卒女性 |
部長への昇進スピード | 大卒男性>高・短卒男性 |
参考:大阪大学「昇進競争における学歴と性別~百貨店業の事例~」より
アンケートの結果をまとめると、大卒と高卒では係長へ昇進するタイミングはほぼ同じであるものの、係長から課長、課長から部長への昇進ではあきらかに大卒組が早いことが分かっています。また女性よりも男性の方が昇進が早いという特徴があります。
これは中卒の場合でも当てはまり、学歴がある人の方が早く昇進することが多く、特に肩書きのランクが高くなればなるほどに学歴ごとの影響が強く出ると言えます。
係長まではスムーズだったけれど、そこからなかなか課長になれない、部長になれない、というケースがあります。
中卒の6割は就職後3年以内に離職してしまう
中卒者は離職率が高いことも明らかになっています。下記は中卒者の在職期間別離職率を示す表です。
▼中卒者の離職率
在職期間1年目離職率 | 在職期間2年目離職率 | 在職期間3年目離職率 | 合計離職率 | |
---|---|---|---|---|
2018年 | 34.9% | データなし | データなし | 34.9% |
2017年 | 36.6% | 14.3% | データなし | 50.9% |
2016年 | 41.1% | 13.6% | 7.7% | 62.4% |
2015年 | 42.6% | 13.0% | 8.5% | 64.1% |
2014年 | 45.4% | 14.4% | 7.9% | 67.7% |
2013年 | 42.0% | 14.3% | 7.4% | 63.7% |
2012年 | 44.3% | 14.0% | 7.0% | 65.3% |
2011年 | 44.8% | 12.5% | 7.6% | 64.8% |
2010年 | 41.3% | 13.1% | 7.6% | 62.1% |
出典:厚生労働省「若年者雇用関連データ」(2019年10月21日時点)
ちなみに、大卒者のデータは下記の通りとなります。
▼大卒者の離職率
在職期間1年目離職率 | 在職期間2年目離職率 | 在職期間3年目離職率 | 合計離職率 | |
---|---|---|---|---|
2018年 | 16.8% | データなし | データなし | 16.8% |
2017年 | 17.2% | 12.3% | データなし | 29.4% |
2016年 | 17.4% | 11.7% | 10.1% | 39.2% |
2015年 | 18.2% | 11.6% | 9.6% | 39.3% |
2014年 | 19.5% | 12.0% | 9.3% | 40.8% |
2013年 | 20.1% | 11.8% | 9.1% | 40.9% |
2012年 | 19.2% | 11.7% | 8.6% | 40.0% |
2011年 | 19.6% | 11.3% | 8.8% | 39.6% |
2010年 | 19.5% | 11.3% | 8.4% | 39.2% |
出典:厚生労働省「若年者雇用関連データ」(2019年10月21日時点)
全体的に中卒の離職率が高いのは明らかですが、それ以上に気になるのは、入社してから1年目の離職率が大卒と比べて倍以上の数字になっている点です。
中卒者は就職してから3年以内に離職してしまう割合が6割を超えており、これは大卒者と大きく異なります。
さまざまな理由が考えられますが、「昇進できるイメージができない」ことでモチベーションを保てなかったり、高卒や大卒の同期と比べて給料が安いなどの不満が離職の引き金になったりするケースもあると考えられます。
最終学歴が中卒だとなれない職種がある
最終学歴が中卒の場合、目指すことができない職種もあります。
例えば保育士の仕事は国家資格が必要ですが、この国家資格は高卒の資格もしくは認可施設において5年の実務経験がなければ取得できません。(参考:保育士受験資格|全国保育士養成協議会)
その他にも求人票を見ていると、「高卒以上」と記載されていることはかなり多く、これは中卒者にとっては、エントリーさえできないという悔しい気持ちにさせられてしまう理由となっています。
中卒の恋愛・結婚は厳しい現実が待っている
中卒であることで、恋愛や結婚に影響が及んでしまうことも少なくありません。ここでは、具体的に中卒の恋愛や結婚の状況が、高卒大卒者たちと比べてどのように異なるのかを詳しく解説します。
中卒の未婚率は非常に高い
近年、未婚率は上昇傾向にありますが、未婚率と学歴にも密接な関係があります。下記のデータは、生涯未婚率と未婚でいる人たちの学歴についての統計結果となります。
▼生涯未婚率と未婚でいる人たちの学歴についての統計結果
出典:内閣府男女共同参画局「生涯未婚率の推移(男女別)」より
女性に至っては、学歴が中卒であろうと大卒であろうと、ものすごく大きな違いがあるとは言えません。しかし、一方男性の未婚率に関しては学歴別でかなり顕著な違いが見られます。
教育別生涯未婚率のデータを見ると、大卒・大学院卒の未婚者が13.8%なのに対して、中卒以下の未婚者の割合は35.2%
平成2年のデータから違いは明らかですが、その差は常にキープしたまま全体の未婚者率が増加しているのが分かります。
中卒者は、結婚したくても中卒の学歴が理由で周囲の反対を受けるなどのケースが実際に起こっていて、それが数字となって反映されていると考えるのが自然でしょう。
学歴による偏見で恋愛対象になりづらい
中卒という学歴は偏見を持たれることもあります。例えば知人の紹介や合コンの話においても、中卒であることが原因で、声がかからなくなってしまうことがあります。
学歴を気にしない人たちはもちろんいます。しかし、紹介者や合コンの主催者が「中卒ってどうなんだろう」とネガティブなイメージをもっている場合には、出会いのチャンス自体を回してもらえないこともあるのです。
また、せっかく出会いがあっても、「さすがに中卒ってちょっとな」と躊躇されてしまうこともあります。固定観念は覆すのがとても大変です。それよりも、偏見のない人たちと交流を持つ方が賢明です。
中卒でもその後社会に出て一生懸命働いている姿を見て、「中卒だからって何が悪いわけでもないし!」とポジティブに考えてくれる人と多く関わることで、出会いの機会を増やすことができるでしょう。
年収や出世の伸びしろを考慮して結婚の対象になりづらい傾向にある
素敵な出会いがあって、恋愛関係に発展することは大いにあり得ます。中卒だからと言って恋愛ができなくなるなんてことは一切ありません。しかし、中には「付き合うならいいけれど結婚となると中卒はなぁ」と相手に思われてしまうこともあります。
中卒が結婚対象になりづらい理由として考えられるのは
- 出世ができない可能性が高そう
- 収入がなかなか安定して上がっていかない可能性が高そう
- 親から反対されそう
相手の親に反対されやすい
自分たちの世代は、学歴をそれほど意識しない人たちも多く、中卒だからと言って常に負い目を感じて生きている人はそれほど多くないのではないかと思います。
しかし、親世代となると考え方が変わります。
- 「学歴ばかりが大事だとは言わないけれど、せめて高校くらいは出ている人を選びなさい」
- 「中卒の人と結婚したらこの先苦労するわよ」
- 「中卒の人なんて、何かしら問題があるに決まってる!」
などと強い固定観念を持っている人は、親世代にはたくさんいるものです。実際に中卒であることだけを理由に親から結婚を認めてもらえず別れてしまったという話は筆者の身近にも起こっています。
中卒の学歴は人間関係にも影響するという現実
中卒者の人間関係を高卒・大卒社と比べると、人間関係においても違いがたくさんあることに気づかされます。ここでは、中卒者の人間関係の特徴について解説します。
コミュニティーが大卒に比べて狭くなってしまう
中卒者の傾向として、中卒同士でのコミュニティ内に人との交流が限定されがちである点が挙げられます。その理由としては、
- 同学年の仲間が高校・大学に通う時間には仕事やアルバイトをしており、高校・大学生がアルバイトをしている時間に自由な時間があるため、なかなか時間が合わず疎遠になる
- 中卒で社会に出る場合、その職場にも中卒者の占める割合が多く、先輩も同僚も同じく中卒である環境に慣れてしまう
などが考えられます。これによりコミュニティが広がらず、広がったとしても同じ中卒同士など、自分と似た人とばかり交流するようになってしまいます。
学歴の偏見が邪魔して敬遠されてしまう
中卒であることに対して、偏見を持たれることも少なくありません。
- 「今どき中卒だなんて、何か悪いことでもしたんだろう」
- 「高校も出てないってさすがにやばいんじゃないか」
- 「中卒の人と関わってもあまり良いことなさそう」
など、人間性を見るまでもなく学歴だけで人格まで決めつけられてしまい、敬遠されてしまてしまいます。
皆が皆そうではないにしろ、偏見は確かに存在します。そして、この偏見によって中卒者のコミュニティはなかなか広がることがなく、似たような境遇の人たちのみの限定されたコミュニティになりやすいのです。
高校や大学で得られる人脈や人間関係が作れない
高校や大学に通うことは、学歴を得て将来の就職に役立たせるためだけではありません。高校や大学で得られる人脈はその後も長く継続的に人生に影響を与え続けるものです。
例えば、高校に通うメリットを考えると
- 具体的に将来の話をする時期でもあり、長く続く親友ができることが多い
- 部活動や学校行事を通して同世代の仲間とたくさんの経験ができる
など、人生経験や人間関係に関わるものが多く考えられます。
さらに、大学ではこの先「恩師」と呼べる信頼できる教授と出会える可能性が高く、この点も中卒では作ることのできない人脈を語る上では欠かせないポイントとなります。
▼大学生の教職員との関係
出典:芝浦工業大学 准教授谷田川 ルミ「大学における “つながり”の重要性」
こちらは、大学1年生から4年生までを対象に教職員との関係について調べたものです。
大学生と大学の教員の関係性を見ると、「気軽に相談できる」「普段から気にかけてくれる」と感じている生徒の割合は4年生において半数以上。さらには、大学以外の場で交流する機会があると答えている大学4年生は43.2%と半数近くにのぼります。
大学に通うことで、同年代の生徒以外に職員や教員との人間関係を築いていける点も、大学進学のメリットになるでしょう。
中卒では、ここで紹介したような高校・大学で築くことのできる人間関係を構築する機会を持つことがありません。そのために、中卒後に知り合う人たち(同じく中卒者が多い)とばかり交流する機会が増えてしまうのが特徴です。
中卒で仕事も恋愛も人間関係も右肩上がりに改善するための方法
中卒であることで、仕事や恋愛そして人間関係に至るまで、さまざまな点でチャンスが限定されてしまうことはお伝えした通りです。
だからといって、現状を変えられないのかと言えばそうではありません。
中卒でも挽回する方法はあり、もっともおすすめできるのは、中卒後に何か特定の分野で技術や経験を積み、安定した収入を得られる正社員として雇用されることが挙げられます。
安定した仕事に就いていれば、「中卒だから出来損ないだ」なんて思われることはなくなります。
恋愛や結婚においても、「中卒でも頑張って◯◯会社で働いている人」と思ってもらえれば、相手や相手の家族にも認められやすくなります。
でも中卒でどうやってまともな会社に就職できるの?と思ったあなたに紹介したいのが「リバラボインターンシップ」です。
中卒者など学歴に自信がない人に特化したインターンシップサービスで、実績を積みながらその後の転職までをフルサポートするリバラボインターンシップ。まさに中卒から挽回するのにぴったりの手段です。
中卒だからと言ってこの先の人生が、就職や恋愛・結婚全てにおいて苦労ばかりになるなんてことはありません。
これからの未来をあなたの望む未来にするかどうかは今から行動に移すのか、後回しにするかにかかっています。