再就職手当を受給する条件、必要な手続きは?

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企業に勤めている間、一定期間以上、雇用保険に入っていれば、退職後に失業保険を受給できることをご存知の人は多いでしょう。しかし、早期に再就職した場合に受給できる「再就職手当」に関しては、受給条件などを把握していない人も多いかもしれません。そこで今回は、再就職手当について説明していきます。

再就職手当とは?

再就職手当とは、離職後、一定の条件のもとで再就職が決まると受給できる手当です。支給される手当の総額は、再就職するタイミングが早いほど多くなります。失業手当をアテにして、なかなか再就職しない人を減らすためにも役立っている制度であると考えられます。

再就職手当の受給要件は?

再就職手当を受給するためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります。

1. 失業手当受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職または事業を開始していること
2. 再就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
3. 再就職先が、離職した前の事業主のもとではないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接なかかわり合いがない事業主への就職を予定していること
4. 受給資格に係る離職理由によって給付制限(=失業手当が支給されない期間)がある人は、求職申し込みをしてから待期期間満了後1カ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業所の紹介によって就職したものであること
5. 1年を超えて勤務することが確実であること
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定めて雇用契約の更新にあたって一定の目的達成が条件づけられている場合、または派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません)
6. 原則として、雇用保険の被保険者になっていること
7. 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと(事業開始に係る再就職手当も含みます)
8. 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと

受給要件5つめの「1年を超えて勤務することが確実であること」に関してですが、正社員として採用されたのであれば問題なくクリアできますが、雇用期間が1年より短く設定されている派遣社員や、もしくはアルバイトやパートの場合、この要件を満たしていると判断されないことが多いでしょう。ただし、派遣社員に関しては、契約書に「更新の可能性あり」の明記があれば受給資格が認定されることもあります 。

参考:ハローワーク「再就職手当のご案内」

再就職手当はいくらもらえる?

前述の通り、再就職手当は、再就職するタイミングが早いほど多くもらえます。具体的には、失業手当の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は「基本手当日額×支給残日数×60%」、所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は「基本手当日額×支給残日数×70%」を受給できます。

たとえば、所定給付日数が90日だとして、30日以上を残した状態で就職が決まったら、失業手当としてもらえる予定だった総額の残金の60%を支給してもらえます。所定給付日数が90日だとして、60日以上を残した状態で就職が決まったら、失業手当としてもらえる予定だった総額の残金の70%を受給できます。

この計算において注意すべきは、「受給資格決定日を含めた7日間の待期期間を考えて計算すること」と「手当が支給されるのは”就職日の前日まで”」ということです。

たとえば、所定給付日数が270日の人が受給資格決定日から50日目に就職する場合、就職する50日目の1日前である49日目までのうち、待期期間の7日間を除いた42日が失業手当受給期間となります。

つまり、270-42=228日間が再就職手当受給期間となり、たとえば失業手当の日額が4,000円だった場合、4,000円×228日×70%=638,4000円分を受け取れるというわけです。

参考:ハローワーク「再就職手当のご案内」

再就職手当を受給するために必要な手続きは?

再就職手当を受給するためには、ハローワークに申請する必要があります。具体的には以下の手順を踏むことになります。

1. ハローワークに再就職が決まったことを報告する
2. 再就職手当支給申請書を受け取り、新たな就職先から証明書を発行してもらう
3. 申請書に必要事項を記入のうえ、再就職から1か月以内に提出する
4. ハローワークの審査後、問題がなければ支給される

審査で不備が認められなかった場合、ハローワークから「再就職手当支給通知書」が届いて、再就職手当が振り込まれます。

再就職手当の受給手続きはいつまでにすればいい?

再就職手当の申請は、原則、再就職した日(入社日)翌日から1か月以内と定められています 。ただし一方で、申請の有効期限は2年間 とされているので、期限を過ぎていても交渉の余地はあるといえるでしょう。仕事が忙しくて営業時間内にハローワークに行く時間が取れないなどであれば、事前に電話で連絡を入れておくことをおすすめします。

再就職手当の申請をしたのに仕事を辞めることになったら?

再就職手当の受給手続きをした時点では、1年以上働く予定だったとしても、なんらかのトラブルが生じて仕事を辞めざるを得なくなる可能性は十分あり得ます。その場合、すぐにハローワークに連絡を入れましょう。なぜかというと、失業手当受給の権利が有効な期間であれば、残っている失業手当を受給できるため。再就職手当より失業手当のほうが額としては大きいので、そのほうが有利です。

新しい仕事に試用期間が設けられている場合はどうなる?

試用期間中に雇用保険に加入できないとなると、再就職手当の受給対象とならないのではと不安になるかもしれません。しかし、試用期間後に1年以上の雇用が見込まれているのなら何も問題はありません。

再就職手当にこだわりすぎると損をすることがある

再就職手当を受給できるのはうれしいことですが、再就職手当をもらうこと、または再就職手当をできるだけ多くもらうことにこだわりすぎると、かえって損をすることがあるので注意が必要です。たとえば、「失業手当の70%をもらいたい」と焦って就職先を決めたとしても、自分が本当にやりたい仕事でなければ喜ばしいことではないでしょう。

また、前の仕事を辞めてすぐに理想の再就職先が見つかったとして、「待期期間の7日は動けない」と行動しなかった結果、チャンスを逃すことなどもあるでしょう。まずは、より理想に近い働き先を探すことに専念すると同時に、だらだらと時間をかけて探したことで受給資格を失って後悔することのないよう、時間を有効に使うことを心がけてくださいね。



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