「無職の人って保険に入れるの?」
雇われて仕事をしている方であれば、保険や年金などを自分で手続きなどする必要はありませんよね。
しかし、無職となると、自分の保険や年金がどうなっているのか分からない人が多いようです。
入れるよ。無職の場合、健康保険と国民年金については自分で手続きしないといけなくなるんだ。
働いている間は雇い主が保険や年金の手続き、支払いをしてくれていましたが、無職になると誰もやってくれません。
ましてや保険に入っていないと怪我や病気で病院にかかった際、高額な医療費が請求されることになってしまいます。
そこで、この記事では現在無職の方に向けて、最低限知っておくべき「保険」「国民年金」について解説していきます!
無職で給料がないからと言って、黙って支払わないのは一番危険で、もし支払いが難しいのであれは手続きが必要ですよ。
無職でも加入義務がある2つの保険
まず、無職の人でも加入義務がある保険を2種類ご紹介します。
- 国民健康保険
- 国民年金保険
では、それぞれの保険について解説していきます!
国民健康保険
無職でも加入が必要な保険の一つ目は、「国民健康保険」です。
- 保険料を納めることで、医療機関への自己負担を一定の割合に抑えられる制度
- 日本の全国民に加入義務有
国民健康保険に加入することで、病院で保険証を発行してもらえ、病院受診の際に医療費が3割負担になるのです。
なお、国民健康保険料は、前年1月から12月の所得をもとに計算されます。
現在の就業状況は関係なく、前年度会社員で給料がよかった人は保険料が高額になり、反対に前年度無職だった人は安い保険料になります。
国民年金保険
また、無職でも加入が必要な保険の二つ目は、「国民年金保険」です。
- 日本在住の20歳以上60歳未満の全ての人が納める必要のある保険
- 将来年金を受け取るために支払う
- 令和2年度の年金保険料は16,540円です。
(※参考:日本年金機構「国民年金保険料」より)
毎年年金保険料は改正され、令和2年度は16,540円となっています。
無職になった時の健康保険の手続き3パターン
次に、無職になった時の健康保険の手続きについてご紹介していきます。
会社員として働いているうちは、健康保険に関する手続きは全て会社が行いますが、無職になると違います。
無職になると全て自分自身で健康保険の手続きを行う必要があります。
無職の人が健康保険に入るには3つのパターンがあるので、紹介していきます。
▼無職になる際の健康保険の手続き
概要 | 手続きの期間 | |
---|---|---|
1.任意継続被保険者制度 | 在職中と同じ保険者資格を継続できる制度 | 退職翌日〜20日以内 |
2.国民健康保険 | 市区町村が保険者となる健康保険に切り替える | 退職翌日〜14日以内 |
3.家族の扶養に入る | 自身で保険料を支払わずに済むようにする手続き | 随時 |
では、それぞれのパターンについて詳しく解説していきましょう。
1.任意継続被保険者制度を利用する場合
任意継続被保険者制度を利用すれば、会社に在籍していたときと同じ被保険者資格を継続することが可能になります。
任意継続被保険者制度を利用できる人の条件をご覧ください。
- 退職前の被保険者期間が2ヶ月以上ある
- 退職翌日から20日以内に手続き可能
任意継続被保険者制度は最長で2年間利用することができるので、無職になっても2年以内に転職できれば国民健康保険に切り替えることなく次の会社の保険に入ることが可能です。
保険的に考えたら2年までは、働いていた頃の保険を継続できるってことだよね。でも2年間何して過ごすのが良いのかな〜
2.国民健康保険に加入する場合
また、会社を辞めて国民健康保険に切り替える方法もあります。
国民健康保険に関しては、保険料の算出方法が地方により異なりますが、以下をもとにして算出される点はどの自治体でも同じです。
- 前年度の所得
- 世帯の資産
- 家族の人数
それぞれの所得や家族形態によって保険料が変わってくるので、まずは窓口で相談するのがベターです。
3.家族の扶養に入る場合
そして、無職になったことで、家族の扶養に入ることができるケースもあります。
扶養に入ることができれば保険料を納めることなく保険証を持つことができますが、厳正な審査をパスする必要があります。
扶養に入ると国民健康保険に加入する必要がなくなり、扶養してくれる方の保険で自分の保険も賄われることになります。
失業給付をもらっていると審査に通らないなど細かな条件があるため、家族が加入している保険組合に問い合わせて詳細を確認しておきましょう。
無職になった時の国民年金保険の手続き3パターン
そして、無職になった場合でも、日本国民には「国民年金保険」を納める義務があります。
この章では、会社を辞めた人がとるべき国民年金の手続きを、以下の3つのパターンに分けて解説します。
- 配偶者の扶養に入るケース
- 配偶者の扶養に入らないケース
- 経済的な理由で支払いが困難な場合の対処法
1.厚生年金を払っている配偶者の扶養に入る場合
まず、配偶者がいる方であれば、厚生年金を払っている配偶者の扶養に入れるパターンがあります。
あなたの配偶者が国民年金第2号被保険者であれば、無職のあなたは配偶者の扶養に入ることが可能なケースがあります。
国民年金加入者のうち、会社員や公務員など「厚生年金」もしくは「共済」に加入している人
もし、このパターンでいくのならば、あなたが第3号被保険者になる必要があります。
国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2
- 20歳以上60歳未満
- 年収が130万円未満の人
ちなみに、年収130万円未満というのは必ずしも給与所得の話に関わらず、雇用保険の失業手当や傷病手当金なども含まれます。
扶養に入る手続きは、お住まいのエリアの役所の年金課で行うことが可能なので、まずは相談してみましょう!
2.厚生年金を払っている配偶者の扶養に入らない場合
では、扶養に入らない場合は、国民年金第2号被保険者から国民年金代1号になり国民年金を支払う必要があります。
国民年金加入者のうち、会社員や公務員など「厚生年金」もしくは「共済」に加入している人
- 日本国内にお住まいの20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の方とその配偶者の方
- 厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第3号被保険者でない方
どのタイミングであろうと、国民年金第2号被保険者から国民年金代1号になるという点では変わりませんが、会社を辞めるタイミングや再就職するタイミングで手続きが変わります。
ここでは、考えられる4つのケースを挙げ、それぞれの場合について解説していきます。
1.会社を月末にやめて無職になる場合
月末日が退職日になる場合には、翌月1日から国民年金第1号に切り替える必要があります。
例:3月31日に仕事を辞めて4月1日から無職の場合
- 3月31日までは厚生年金保険等(国民年金第2号)
- 4月1日からは国民年金(第1号被保険者)
この場合、4月分から国民年金保険料の納付が必要となります。
2.会社を月の途中にやめて無職になる場合
月の途中で会社を退職するケースもあるでしょう。
この場合は以下のようになります。
例:4月15日に仕事を辞めて4月16日から無職の場合
- 4月15日までは厚生年金保険等(国民年金第2号)
- 4月16日からは国民年金(第1号被保険者)
この場合、4月分の国民年金保険料は納める必要があります。
3.会社を退職後、無職期間を経て新たに会社に入社した場合
無職期間を経て新たな就職先を見つけて働き出す場合については以下のようになります。
例:3月末日に仕事を辞めて、4月16日から新しい職場で働き出した場合
- 3月末日までは厚生年金保険等(国民年金第2号)
- 4月1日から15日は国民年金(第1号被保険者)
- 4月16日からは厚生年金保険等(国民年金第2号)
この場合、4月の国民年金保険料の支払いは不要です。
4.会社を退職後、無職期間を経て新たに会社に入社後すぐに退職した場合
仕事を辞めて無職になったけれど、その後就職し、またすぐに退職するというケースも考えられます。
この場合は以下のようになります。
例:3月末日に仕事を辞めて、4月16日から新しい職場で働き出したが4月20日に退職した場合
- 3月末日までは厚生年金保険等(国民年金第2号)
- 4月1日から15日は国民年金(第1号被保険者)
- 4月16日から4月20日は厚生年金保険等(国民年金第2号)
- 4月21日以降は国民年金(第1号被保険者)
この場合、新しい職場で働いた5日間の厚生年金保険料は会社から徴収されますが、4月分の国民保険料は自分で支払う必要があります。
3.経済的に国民年金保険の納付が難しい場合
そして、経済的に国民年金保険の納付が難しい場合には、保険料の納付が免除される、支払いを先延ばしできる制度があります。
必ず納める必要がある国民年金保険ですが、無職の方の中には「どうしても支払いが厳しい」という人もいるでしょう。
支払いが厳しい方は、以下の手順で手続きを行っていけば問題ありません。
- 身分証明証と年金手帳を持参して役所へ行く
- 年金窓口にて状況を説明する
- 状況に応じて「免除」もしくは「猶予」してもらう
免除されればその分支払う年金額は減るわけですが、将来受け取ることのできる年金額にも影響があります。
そのため、年金の免除を受けた場合には、10年以内に追納することをおすすめします。
- 免除された保険料を後から遡って納めること
- 国民年金の追納は10年以内なら可能
苦しい時には払わなくて良いけど、お金ができたら遡って支払っておいた方が将来のためということだよ。
地域別の保険料サポートプログラム
経済的に困難なタイミングにある無職の人々を支援するため、地域にはさまざまな保険料のサポートプログラムがあります。これらのプログラムは、住民が健康保険の恩恵を受けられるようにすることを目的としています。
地域自治体による保険料軽減措置
各自治体は、住民の経済状況に応じた保険料の軽減措置を提供しており、これにより保険料の負担が軽減されます。
特別な支援が利用可能な対象者
障害者、高齢者、低所得者など、特定の条件を満たす人々は、さらに手厚い支援を受けることができます。これにより、社会のさまざまな層が適切な保険を受けられるようになります。
無職でも国民健康保険、国民年金保険は必須
今回は、無職の方にしっかりと理解していただきたい税金や保険、年金について細かく解説しました。
- 無職でも国民健康保険、国民年金保険は必須
- 無職になったら保険、年金の手続きが必須
- 保険には免除/支払い期限延長/追納制度がある
- 分からなければ各自治体の役所で相談
収入のない状況で税金や保険料を納めるのは非常に大変で、「とりあえず放っておこう」と納付書をしまいこんでなかったことにしたくなる気持ちは分かります。
しかし、後のことを考えれば今納めるべきものを納めておくことは非常に大切なことですよ。
正しく理解をして、支払うべきものは確実に納める、または免除申請手続きをするなどの対応をしましょう!
そもそも無職の人って保険に入れるの?