大学中退者がまず一旦フリーターになる、というのはよくある話。
ゆくゆくは正社員としてガッツリ働くつもりでも、なかなかスムーズに就職先が見つからずとりあえずフリーターで生計を立てる流れになることは多いものです。
今回は、大学中退後にフリーターになった人たちに注目し、その現状をデータで細かくみていきます。
さらに、大学中退後の就活においてフリーターという経歴がどのように影響するのかを理解することで、就活準備に備えていきましょう!
大学中退したフリーターを客観的に見てみる
大学中退後にフリーターになる人はどのくらいいるのか、そして、どのくらいの期間フリーターを続けている人が多いのかも気になるところ。ここでは全国のフリーターをさまざまなデータで客観的に見ていきましょう。
全国のフリーター人口と推移
そもそもフリーターが世の中にどのくらい存在しているのか、ここではフリーター人口と推移を見ていきます。
出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2019 年(令和元年)平均(速報)」「パート・アルバイト及びその希望者)
全国のフリーターの数は、2019年平均で138万人となっています。男女別に見ると,男性は66万人,女性は72万人となっており、男性よりも女性のフリーターが多いことが分かります。
フリーターの数は2013年を境に現象傾向にあります。これは、労働市場自体の改善や、正社員以外の非正規社員としての雇用がより一般的になったことによるもの。つまり、フリーターが減っているからといって、正社員雇用が必ずしも増加しているかと言えばそうではない点も理解しておきましょう。
大学中退後にフリーターでいる期間
25歳から29歳までを対象に、正社員就業までにどれほどの期間を要しているのかを調べてみたところ、以下のような結果となっています。
▼正社員就業までの期間
離学前 | 離学〜3ヶ月以内 | 3年以内 | 3年超 | 正社員時期不明 | 正社員移行なし | 就業形態不明 | 未就業 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学・大学院卒 | 1.1% | 56.0% | 7.0% | 2.0% | 6.0% | 17.5% | 8.0% | 2.6% |
大学・大学院中退 | 1.5% | 11.9% | 15.3% | 4.1% | 11.4% | 38.6% | 7.5% | 9.7% |
出典:独立行政法人「労働政策研究・研修機構」『大学等中退者の 就労と意識に関する研究』「図表1-7 正社員就業までの期間(25~29歳)」2012年調査
大学卒業後にフリーターとして過ごす期間が離学から3ヶ月以内である割合は、大学・大学院卒で56%と半数以上。これだけ多くの人たちが卒業後3ヶ月以内に正社員として就職しているのです。
一方、大学中退者は中退から3ヶ月以内に正社員として就職する割合が11.9%と低い点が目立ちます。さらに、この調査を対象とした25歳から29歳の中退者のうちなんと38.6%もの人々が正社員に移行できていないことが分かります。
中退者が正社員として就職するのがどうみても「簡単ではない」ことが見てとれるデータですね。
大学中退者の中で20代後半フリーター・無職でいる割合
大学中退者の中で25歳から29歳の年齢に該当する人の中に、フリーターと無職がどのくらいの割合を占めているのかを調べてみました。
▼最終学歴ごとのフリーターと無職の割合
非正規雇用(アルバイト、パート、派遣社員、契約・嘱託、その他) | 無職の割合 | |
---|---|---|
大学・大学院中退 | 24.8% | 17.7% |
大学・大学院卒業 | 11.2% | 9.3% |
出典:独立行政法人「労働政策研究・研修機構」『大学等中退者の 就労と意識に関する研究』「学歴別キャリア類型(25~29歳;2012年調査)」
フリーターだけを正確に算出することはできないものの、アルバイトやパート、派遣や契約社員などの形で雇用されている人の割合で比較することができます。
大卒の非正規雇用が11.2%に対して中退者は24.8%と大きな違いが見られます。中卒者が正社員として雇用されにくいことは明らかで、30歳前に正社員の座に就くことができているのは4人に1人しかいません。
また無職の率は大卒と中卒で倍ほどの違いがあります。このデータから、中退者は正社員として雇用されるまでに時間がかかり20代後半まではフリーターとして、もしくは無職のままで過ごしている率が高くなっていることが分かります。
全国の大学中退したフリーターの現状を考察
大学中退のフリーターの現状をまとめると以下のとおりとなります。
- フリーターの総数は2013年移行減少している
- 大学中退後にすぐに正社員になることができずにフリーターになるケースが多い
- 20代後半の中退者のうち4人に1人が正社員でない雇用体系で仕事についており、無職でいる割合も17.7%と非常に高い
大学中退したフリーターが就職・正社員になるまでに必要な4つの準備
大学中退者のフリーターが就職するには、どうすれば良いのでしょう。ここではフリーターから正社員として就職するための4つのステップを紹介します。
- 就活資金を貯める
- 自分の進むべき就活ジャンルを決める
- 本格的な就活前にインターンを挟む
- 実績やスキルをある程度身につける
一つ一つ詳しく解説していきますね。
①就活資金を貯める
就活には資金が必要です。何にお金がかかるの?と思う人もいるかもしれませんが、主に資金が必要なのは下記の2点です。
- 面接や試験を受ける際の交通費
- スーツや鞄などのリクルートグッズ一式
就活で県外まで足を運ぶケースも珍しくありません。その場合には交通費に加え宿泊費がかかることもあるため、場合によって大きな費用がかかる可能性があります。
アルバイトをする、両親に援助を頼むなどして、就活資金を調達しましょう。
②自分の進むべき就活ジャンルを決める
どのような仕事に就きたいのか、どのような業種がいいのか、あなた自身が進むべき就活のジャンルを絞らないことには就活をスタートできません。
就活ジャンルを絞るために必要なのが自己分析。あなたがどの進路を選ぶべきかを知るための自己分析は以下の手順で行いましょう。
- 自分がやりたいことを書き出す
- 自分がやりたくないことを書き出す
- やりたいこととやりたくないことに関連する業種を挙げる
やりたいことを考えようとしても思い浮かばないことは案外多いものです。そんなときには逆に、やりたくないことから考えていくと「あれは嫌、これも嫌」と思い浮かぶことが多いです。
自己分析をしていくと、進むべき就活ジャンルが見えてきます。これはとても重要なステップなのできっちりおこないましょう!
③本格的な就活前にインターンを挟む
中退者にとって、正社員への道は必ずしも簡単ではありません。不可能ではないものの、なかなか正社員として採用されず苦戦を強いられるケースもたくさんあります。
そこでおすすめなのが、本格的な就活の前にインターンというワンクッションを挟むこと。インターンを経験するメリットは
- その後の就活時に大学中退のイメージを一変し「スキルのある経験者」として見てもらえる
- 実績を積みながら給料がもらえるため就活資金も同時に貯められる
などが挙げられます。でもインターンなんて簡単に見つかるの?と不安に思った方、大丈夫です!
ここで、大学中退者向けのインターンシップを紹介し、その後の転職までをフルサポートしてくれる「リバラボインターンシップ」をぜひ紹介したいです。
ここでサービスの詳細はお話ししませんが、詳しく紹介しているページを載せておきますね。ぜひ覗いてみてください!
④実績やスキルをある程度身につける
中退者が就職を目指すには、目指す職種に関連するスキルを身につけるのも有効です。
先程のインターンで実績を積む方法の他にも、資格を取得することで就活時に「自分にはこれがある!」と胸を張ってアピールできるものを持っておくといいでしょう。
大学中退後にフリーターだった人こそやるべき就活のコツ
大学中退後フリーターになった人が就活するには、抑えるべきコツがあります。ここでは4つのコツについて紹介します。
人材不足のベンチャー企業を狙う
比較的大学中退であることが障害になりにくいのが、ベンチャー企業への就職です。
ベンチャー企業の特徴は
- 人手不足であることが多いため採用されやすい
- 成果主義なので学歴にかかわらず努力で成り上がることが可能
- 就活時に中退を理由に不採用になることが少ない
ベンチャー企業を狙えば就職は比較的しやすくなります。ベンチャー企業でキャリアを積み、その後の転職に役立てる方法もありますね。また、中退であろうと高卒であろうと出世の道が開かれているのがベンチャーの魅力です。
汎用性の高い業界を選ぶ
IT業界のような、他の業種でも応用が効きやすい業界を狙うのもコツです。IT業界には、さまざまな仕事があります。SEやプログラマーのようなエンジニアと呼ばれる人たちには、IT業界とはかけ離れた業種においても活躍の場がいくらでも用意されています。
例えば飲食業界や医療業界でもシステムは使われています。技術職を身につけていればこれらの業界でも重宝され、就職に困ることが非常に少なくなります。
このような汎用性の高い業界を選んでおけば、中退後フリーターを経て就活する際にもどこかの業種で道が開ける可能性は高くなります。
大学中退後にフリーターをしていた理由を明確にしておく
大学中退後になぜフリーターになったのかを就活の際にきちんと説明できるようになっておく必要があります。なぜなら、就活の際にフリーターになった理由をうまく説明できなかった場合、「どこも社員で雇ってくれなかったからフリーターになったのでは」と思われる可能性があるからです。
ここでのポイントは以下の通りです。
- フリーターになった理由をポジティブに伝える
- 目的があってフリーターになったことを明確にする
また、フリーターをしていた理由だけでなく、大学の中退理由は面接の際に必ず聞かれます。どのように回答すべきかきちんと準備しておきましょう。
大学中退理由の説明のコツはこちらの記事でくわしく解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね!
就活の期間は3ヶ月程度と決める
就活をする際にはいつまでに就職先を見つけるのか、具体的なゴールを設定しましょう。そしてその期間は3ヶ月以内に設定するのがおすすめです。
その理由は
- 就活が長くなると時間とお金ばかりがかかりストレスになりやすい
- 就活が長引けば「このまま就職先が見つからないかも」と自信喪失に繋がりやすい
からです。就活は短期集中的に行うのがコツです。
フリーターの期間が長期化すると就活が厳しくなる
大学中退後、フリーターの期間が長期化すればするほどその先の就活が難航する傾向があります。ここでは実際のデータを見ながら、フリーターの継続期間と正社員雇用の関係について見ていきましょう。
フリーターの継続期間が長いと正社員になれなくなる傾向あり
フリーターの継続期間と、正社員になれた割合をグラフにしたものがこちらです。
出典:独立行政法人「労働政策研究・研修機構」『大都市の若者の就業行動と意識の分化』
このデータから分かることは、フリーター期間が1年までであれば正社員雇用率は下がることがないものの、1年を超えるとどんどん正社員雇用率が著しく低下するということです。
フリーター1年以内であれば、男女平均で見て60%以上あった正社員雇用率が、2年を超えると40%ほどに落ち込み、さらに5年以上となると20%まで低下します。
フリータを長く続けている人に対するイメージが良いものではなく、フリーター期間が長ければ就活に悪影響を及ぼすのは明らかですね。
30代・40代のフリーターは正社員になれなくなる傾向あり
続いては、年齢別にフリーターの正社員移行率を見てみましょう。
▼年齢別フリーターの正社員移行率
非典型雇用離職者計 | 正社員移行率2017年 | 正社員移行率2012年 | 正社員移行率2007年 |
---|---|---|---|
15-19歳 | 29.9% | 16.4% | 12.0% |
20−24歳 | 32.7% | 21.9% | 22.2% |
25−29歳 | 25.5% | 18.3% | 19.7% |
30−34歳 | 18.1% | 13.0% | 13.4% |
35−39歳 | 15.5% | 10.9% | 11.7% |
40−44歳 | 15.6% | 10.2% | 11.5% |
このデータからは、単純に年齢が上がるほどフリーターの正社員移行率が難しくなることが分かります。特に、30歳を超えると正社員に移行できる率は2割を切ってしまいます。逆に24歳までであれば3割以上の人が正社員に移行できているのが分かります。
希望的な考察としては、フリーターの正社員移行率は2007年のデータ、2012年のデータと比較すると2017年のデータが最も高い数値を記録しているという点です。以前に比べてフリーターの正社員雇用率が上がっているのは、フリーターからの就活を控える人にとって希望の持てるデータですね!
大学中退後のフリーターからの就活のコツ
大学中退後にフリーターになった場合、そこからの就活を成功させるためには以下のポイントを抑える必要があります。
- フリーターの期間が長いより短い方が有利!就活は3ヶ月を目安に短期集中で進めよう
- フリーターからインターンを経て就活をスタートする方法もおすすめ
- 中退理由とフリーターになった理由の両方を就活に備えて準備する
昔に比べると、フリーターからの正社員移行率は上がっています。大学中退後にフリーターになった人にとっても、これはチャンスアップだと考えて良いでしょう。
とは言え、準備を万全にしておくに越したことはありません。ここでお伝えしたことを参考に、中退フリーターからの就職に向けてしっかり対策を練っていきましょう!