これから就職活動をするにあたり、面接や書類選考は必ず通らなければならない選考過程です。
大学を中退してしまった場合、中退の理由をどのように説明するかがとっても重要です!
同じ大学中退でも、説明の仕方次第で採用担当者が受ける印象は大きく変わります。
では採用担当者が「そういう理由なら中退でも全く問題ないな」と納得するように中退理由を説明するにはどうすればいいのか。
今回は実際の中退理由別に説明の仕方を具体的に分かりやすく解説します。
大学中退理由には大きく2種類ある
大学を中退する場合、理由は2種類に分けられます。
- 「外的要因」によるもの
- 「内的要因」によるもの
その2種類は全く別物であり、どちらに該当するかで対処法が異なります。
では、外的要因・内的要因について詳しく見ていきましょう。
外的要因の中退理由
外的要因による大学中退とは、「自分ではどうしようもない事情があって退学せざるを得ないケース」のことです。
具体的には以下のようなケースです。
- 収入の減少により学費が支払えなくなった
- 家族が重い病気にかかり看病のために中退した
- 病気や怪我の治療のために中退せざるを得なくなった
卒業まで通い続けたくても何らかの理由で不可能になることで大学中退をせざるを得なくなるケースは、「外的要因による大学中退」に該当します。
内的要因の中退理由
一方で、内的要因による大学中退とは、「自分自身に理由があり中退したケース」のことを指します。つまり、具体的には以下のような例が挙げられます。
- 学業不振
- 人間関係の問題
- 他大学への編入
- 留学
- 起業
このような上記の内的要因の中退理由には、大きく以下の2つに分類されます。
- 『学業不振』と『人間関係の問題』:ネガティブな理由
- 『他大学への編入』『留学』『起業』:ポジティブな理由
ネガティブな理由については、評価を下げないための対処法、ポジティブな理由に関しては、アピールポイントとして効果的に伝えるための方法を詳しく解説していきます。
参考:大学中退して就職で後悔した理由と大学中退して就職で後悔しなかった理由【経験者談】
大学中退したことを履歴書や面接で伝えなかったら?
大学中退という事実は選考においてネガティブな印象を抱かれるため、記載せずに事実を隠そうと考える人もいるようです。ですが、これは学歴詐称にあたります。
履歴書には正しい情報を記載する必要があります。もし正しい情報を記載せずに内定をもらったとしたら、内定取り消しになることは考えられるでしょう。また、採用されて働き始めていたとしたら、解雇や懲戒処分になる可能性もあります。
今後の転職活動においても、学歴詐称をして内定取り消しや解雇になってしまった場合、選考にさらにネガティブに働くことはいうまでもありません。くれぐれも履歴書には正しい情報を記載しましょう。
大学中退理由を面接で聞かれた時の状況別対処法10選
就職面接の際には大学中退の理由を必ず聞かれると思っておいた方がいいでしょう。
面接時にどう説明するかで、採用面接を制することができるか決まると言っても過言ではありません。
特に、あなた自身に理由がある「ネガティブな内的要因の中退」である場合は、採用される可能性を下げてしまう原因になってしまいます。
この章では、『大学中退理由には大きく2種類ある』で解説した大学中退の外的要因・内的要因の理由ごとに対処法を解説していきます。
経済的に大学在籍が難しい場合の理由
コロナウィルスの影響を受けて、急に収入が減り生活困窮に陥ってしまうケースは珍しくありません。
学費を払い続けることができなくなったために大学を中退してしまった場合、中退理由をありのまま正直に伝えるのが一番です。
「両親の事業がコロナの影響を大きく受けてしまったがために上手くいかなくなりました。
結果的に大学に通い続けるだけの経済力がなくなり、中退せざるを得なくなりました。
4年になるタイミングだったので、あと1年通えればと悔いは残りますが、これまで大学に通わせてくれた両親には感謝しています。」
- ありのままを正直に伝える
- 学費を支払ってくれていた両親への感謝の気持ちがあるとさらに好印象
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人間関係が原因である場合の理由
大学で友人関係が上手く築けず通うことが苦痛になり中退を選んだという内的要因による中退の場合には、理由を正直に語った上でそこから学んだことを織り交ぜるのが良いです。
「大学3年のときに、人間関係が上手くいかず悩んでしまい、そこから退学を考えるようになりました。
結果的に中退する決断に至ったわけですが、それでは解決したことにならないと強く感じました。
社交的に良好な人間関係が築いていけるようその後のアルバイトの職場では特に意識しました。
大学時代の自分には、今のようなコミニュケーション能力が欠けていたことに気づきました。」
- 自分の対人能力が十分でなかったために中退を選択したことを正直に伝える
- その上で、コミニュケーション能力を向上させるためにどう努力して結果を出したを伝える
学業不振の場合の理由
勉強についていけず、単位が十分に取得できずに中退を選ぶケースもあります。
こちらもネガティブな内的要因なので、伝え方に気をつけなければなりません。
反省をどう活かすか、その決意を例題を参考にしながら明確に表明してみよう!
「レベルの高い大学にどうしても入学したかったため、精一杯受験勉強に励み志望校へ入学しました。
ですが、そこから講義についていくのはとても難しく、努力しても単位が取得できないという状況に陥りました。
留年することで両親に迷惑をかけたくなかったので中退という選択をしました。
自分の努力が足りなかったことを真摯に受け止め、今後の社会人生活においては、人一倍努力をして周りに迷惑をかけることなく、率先して引っ張っていける存在になれるよう努めます。」
- 学業不振による中退であると正直に伝える
- 自分の非を認め、具体的にどう改善していくのかを示す
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病気や怪我の場合の理由
病気や怪我をしたことがきっかけで中退したケースは、外的要因です。
ですが、なぜ休学でなく退学したのかを不思議に思う採用担当者はいますので、具体的に説明も考えておきましょう。
特になぜ休学ではなく、退学を選んだのかについて例題を見ながら確認していこう!
「交通事故に遭い、3ヶ月に渡り入院することになりました。
まずは休学の形を選択していましたが、退院してからすぐにテストがあり、多くの単位を落としてしまいました。
3年生に上がることができなくなってしまい、留年が決まってしまった際に両親と相談し、中退することに決めました。
オンラインで講義を受ける選択肢もありましたが、大学での最大の目的であったゼミに入れないことが最大の理由となり、中退を選びました。」
- 病気や怪我による中退であることを明確に伝える
- 休学でなく退学する決断に至った理由を聞かれる前に答える
海外に留学した場合の理由
比較的ポジティブな理由なので回答しやすいのが「海外留学のための大学中退」です。
この場合はありのままを前向きに伝えるのが良いです。
「海外留学のために大学を中退しました。
初めは交換留学で半年間ニュージーランドに滞在して日本の大学に戻ってきたのですが、異文化を知ることや英語力を伸ばすためにも学生のうちに長期で滞在して、さらに多くを学びたいと感じるようになりました。
結果、カナダへ留学するために大学を中退しました。
理由は、カナダの大学で大卒の資格を取得できることを知ったからです。
その結果、TOEICのスコアは890点まで伸ばすことができ、語学以外にも多くを学ぶことができたので、大学を中退してまで留学した価値は十分にあったと思っています。」
- 単に遊ぶために海外へ行ったのではなく学びに行ったことをアピール
- 休学ではなく中退して留学した理由を明確に説明
学業よりも就職を決断した場合の理由
大学に通っている途中に、何らかの形で就職への道が開けて卒業を待たずに就職するケースもあります。
この場合は、なぜそのタイミングで就職する必要があったのかを説明することがポイントです。
例題を見ながら就職のタイミングを説明する箇所を重点的にチェックしていこう!
「大学3年の夏休みに、親戚の事業を手伝う機会がありました。
事業内容は農業関係で全く知識のない分野でした。
持病を抱える叔父の会社だったのもあり、少しでも力になればと夏休み限定で手伝っていましたが、思った以上にやりがいを感じられたこと、そして叔父の病状が思わしくないこともあり、大学を中退し叔父の会社に入社しました。
学生と社会人の違い、会社という組織の一員として仕事をすることの責任の重さを体感することができました。
大学を卒業できなかったことはもったいないことです。
しかし、必要とされるタイミングで叔父の会社の役に立てたこと、そこで社会人としての生き方を学べたことは自分の誇りでもあります。」
- なぜ卒業を待たずに就職したのかを明確に説明
- 大学中退して就職したことで何を学んだのか、何を得たのかを説明
起業・独立した場合の理由
卒業を待たずに起業するケースも最近ではそれほど珍しくありません。
学生を続けながらビジネスを立ち上げる人もいれば、中退してビジネスに本腰を入れる人もいます。
起業・独立を理由に大学を中退した際には、中退するだけの熱量を注ぐ理由があったことを伝えることが大切です。
起業や独立の場合は、人と違うことを追いかけることになる。その分、どのくらい熱量があるのかを伝えるために例題を読んで伝え方を工夫するんだぞ!
「大学ではプログラミングなどの技術系の知識を多く身につけることができました。
将来的にSEを目指していた私がなぜ中退したかというと、起業のチャンスが訪れたからです。
技術系の専門学校を卒業した友人と、ウェブデザインの会社を立ち上げることになったのです。
初めは学業と両立する予定だったのですが、想像以上に学ぶことが多く両立は現実的に難しいと感じました。
さらに、立ち上げ当初から多くの顧客を得ることができたこともあり、いまここで踏ん張ることが自分にとって最善であると判断しました。
大学3年の秋に大学を中退しましたが、その代わりにウェブデザインの知識や起業のノウハウを学ぶことができたので、中退してまでビジネスの企業に注力したことは正しい選択だったと思っています。」
- なぜ卒業を待たずに起業する必要があったのかを説明する
- 大学を中退してビジネスを優先した理由を明確に説明する
他大学に編入した場合の理由
他大学に編入するための大学中退の場合には、それほどネガティブに捉えられることがないため比較的説明はしやすいです。
注意すべきは「他に興味が移ってしまいやすい飽きっぽい人」と思われないようにすることです。
他大学に編入することは悪いことじゃないので、きちんとポジティブな理由に終わるようにするんだ!例題を参考にな!
「大学では英文学を専攻していました。元々英語が得意で興味があったからです。
しかし、必須科目ではない一般教養の科目として選択した心理学に強い興味を惹かれるようになりました。
講義だけでなく、自分で本を買い多くの知識を身につけました。
大学2年の終わり頃に、心理学に特化した大学があることを知り、編入する道があることがわかりました。
英語への興味はもちろん常にありました。
しかし、心理学専門の大学でも英語の授業は受けられます。思いきって当初通っていた大学を中退し、心理学で有名な◯◯大学へ編入しました。」
- なぜ編入する必要があったのかを説明
- 編入することで何を得たのか(この例では心理学のより深い知識)を明確にする
妊娠・結婚した場合の理由
在学中に妊娠した、もしくは妊娠させてしまったという理由で大学を中退するケースもあるかもしれません。
中には卒業を待たず結婚するケースもあるでしょう。
無計画な妊娠により中退したのであれば、企業側のイメージは良いものにはなりません。
面接官によっては、かなりの嫌悪感を示してくるかもしれん。だからこそ、例題のようにしっかりと嘘をつくことなく気持ちを伝えることが重要だぞ!
「大学3年のときに、交際していた彼女を妊娠させてしまいました。
二人で話し合い、結婚して子供を迎えることに決めました。私も彼女も大学生だったため収入はわずかなアルバイト代しかありませんでした。
両親には反対されましたが、収入がなければ結婚の準備も子供を迎える準備もできないため、大学を中退し就職する道を選びました。
結果的には収入を得ることができるようになり、大切な家族を守ることができたので後悔はしていません。
ただ、これからはやらなくてはならないと思ってやるのではなく、自分がやりたいと思う仕事にチャレンジしたいと思っています。」
- 妊娠した、させたことにより中退し就職したことはそのまま伝える
- 結婚し、大切な人を守るために収入が必要になり中退したことを伝える
学業に対して興味を失ったの場合の理由
大学中退者の中には、在学中に学業に対しての興味が薄れてしまい中退したという人もいるでしょう。
「ただ興味がなくなってつまらなくなったので中退した」と伝わってしまうと採用担当者に良い印象を与えることができなくなるため、注意が必要です。
例題を参考に、他のどんな分野に興味を持ったのかを示すことが重要だぞ!
「大学中退の理由は、専攻していた経済学よりも別の分野に興味を持ってしまったことです。
講義を受けるにつれ、経済学よりもコンピューターに関わる技術系の分野に強い関心があることに気づかされました。
中退後はコンピューターの専門学校に通い、そこでプログラミングの知識を身につけました。
大学に入学したことで自分の進む道が明確になったので、大学に入学して中退した過程に後悔はありません。」
- 興味を失ったのではなく、他に興味を持つことができたことを伝える
- 大学を中退してから得たものを具体的にアピールする
大学中退した際の履歴書の書き方|Q&A
大学中退については履歴書に記載する必要があるのでしょうか。
そして記載する場合にはその理由までを書くのか悩んでしまう人もいるでしょう。結論からお伝えすると下記の通りです。
- 大学中退は履歴書に記載する必要がある
- 大学中退の理由までを履歴書に記載する必要はない
- 大学中退したのに「卒業」と書くのはNG
ここからより詳しくその記載方法について紹介します。
これらは就職活動においてとても重要なポイントなので、しっかり覚えておきましょう!
大学中退の理由は入れない
大学を中退した場合には、中退した旨をはっきりと記載しなければなりません。
通常「卒業」と書くべきところに何も書かないのは不自然ですし、卒業していないのに卒業と書くなど論外です。
書き方としては、下記のように記載するのが一般的です。
- 「○年○月 ○○大学 △△学部 中途退学」
これだけでOKです。
このときに、「◯◯の理由により」などの記載は不要です。
履歴書に必要な情報は事実のみ、中退理由の記載も必要ありません。
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格した場合は?
高卒認定試験に合格した場合はもちろん記載しましょう!学歴は中卒扱いですが、高卒の学力があることを証明になります。
書き方としては、下記のように記載するのが一般的です。
- 「○年○月 高等学校卒業程度認定試験合格」
大学中退を大卒と経歴詐称した場合
「大学中退したという事実を隠したい…もしかしたらバレないんじゃ?」と考える人もいるかもしれません。
ですが、大学中退を偽り「大卒」と記載してしまうことは絶対にNGだということだけは覚えておきましょう。
履歴書に嘘偽りを記載するのは「経歴詐称」です。
仮にあなたが大学中退した事実を偽り「大卒」であると記載したらどうなるのか、考えられるリスクは以下の2つです。
- 学歴詐称がバレると仕事を失ってしまうリスクがある
- 嘘をついたことに対して在籍中ずっと罪悪感が残る
確かに、「確実にバレるのか」と言われればそうではありません。
ですが、いつバレてもおかしくない秘密を抱えてこの先ずっと生きていくのは想像以上に大変です。
大学中退理由をポジティブに伝えるポイント
大学中退にはさまざまな理由がありますが、就職において大学中退者が大卒者と比べて不利になりやすいのは事実です。
しかし、大学中退の理由をどう説明するかで、採用担当者の受ける印象はかなり違います。
以下に大学中退理由の伝え方のポイントをまとめます。
ポジティブな中退理由はありのままに伝えること
中退したことによって何を得たかをアピールすること
罪悪感が残るので学歴は絶対に詐称しないこと
これらのポイントを意識することで、就職面接時に大学中退が障害になってしまうことは避けられます!
大学中退の後に成功していく人はたくさんいます。
あなたもその一人になれるよう、まずは就職面接を突破できるようしっかり準備しましょう!
大学中退した後で面接行くと、中退理由を必ず聞かれてしまうな、、