営業職に興味があり、就職や転職を検討中しているものの、営業職の具体的な仕事内容ややりがいについて、詳しく知らないという人もいるかもしれません。そもそも営業職とはどのような職種なのか、仕事の中身や求められるスキルについて紹介します。
そもそも営業とは
そもそも営業とは、どのような役割を持っている職種なのでしょうか。まずは営業の役割と、似た職種としてあげられることが多い販売職との違いについて紹介します。
自社の商品をアピールし契約につなげる
営業職の役割は『自社の商品をアピールし、契約につなげること』です。自社の売上(利益)に直結する非常に重要なポジションを担っています。
近年はインターネットが普及した影響もあり、ただ商品の長所を顧客に伝えるだけでなく、『自社の商品・サービスがあれば顧客が抱えている悩みをどのように解決できるか』提案できる能力が求められています。
顧客は自社の商品・サービスだけを検討しているとは限りません。そのため、競合他社の商品・サービスとの違いを明確に伝えられるだけの知識量が求められます。
販売職との違い
顧客に商品・サービスを購入してもらうという特徴から、営業職と販売職は同じような職種だと考える人も少なくないでしょう。
営業職の顧客となる相手は、コンタクトした時点では『購入したいという意思』を持っていない場合が多いものです。単純にものを売り込むのではなく、顧客が購入するメリットを感じ、購入意思を固められるように誘導する必要があります。
一方、販売職の場合、顧客は何かを購入しようという意思を持って、お店を訪れている可能性が高いと考えられます。顧客をサポートするような形で商品の購入を促すことが、主な仕事内容であるといえるでしょう。
『顧客の姿勢』と『商品の売り込み方』という点で、この二つの職種は明確に異なるのです。
参考:営業職に向いている人&向いていない人の特徴や性格10選|成功者の共通点も解説
営業の種類
一言で『営業』といっても、そこにはさまざまな種類があります。営業職への就職・転職を検討する前に知っておくべき情報として、営業職の種類とそれぞれの違いについて解説します。
新規営業とルート営業
『新規営業』は、新しい顧客の獲得を狙う営業スタイルです。電話やメールといった手段を用い、あるいは客先を訪問して、顧客に商品やサービスを提案したり顧客からの問い合わせに対応したりします。
顧客に断られることや期間内のノルマが課せられる場合が多く、計画をすぐに実行できる瞬発力や粘り強く営業を行えるメンタルの強さが求められます。
『ルート営業』は、既存営業とも呼ばれる営業スタイルで、すでに取引実績がある顧客を定期的に訪問し、相手の要望や商品の状態などを確認することが主な仕事内容です。
既存の顧客とのつながりを維持しなければならないため、常に顧客の状況を把握し、フォローできる気配りや高水準のビジネスマナーを身につけていることが要求されます。
個人営業と法人営業
営業職の種類は、顧客の規模によって『個人営業』と『法人営業』に分けられます。
個人営業は、個人に対して営業を行う営業スタイルです。顧客が直接購入の判断をするケースが多いため、その日その場での契約成立を狙えます。保険や投資、ローン関係の金融商品やインターネット回線、電気設備といった、生活に関係する商材を取り扱うケースが多いでしょう。
法人営業は、企業に対して営業を行う営業スタイルです。ビジネスを行ううえでその商品が必要かどうかを見極めたいと思っている顧客が多いため、競合する他社商品への入念なリサーチと説得力のあるプレゼンが必要になります。
契約金額の規模が大きい分、達成感ややりがいは大きなものとなるでしょう。
訪問営業と内勤営業
営業職は、客先を訪問することがメインの『訪問営業』と、店舗に来た顧客の応対をメインとする『内勤営業』の2種類に分けられます。
訪問営業は日々の生活で接する機会が多く、『営業の基本』ともいわれます。営業と聞くと訪問営業を想像する人も多いかもしれません。
内勤営業の場合は、基本的には顧客からのアクション(電話やメールでの問い合わせ、もしくは来店)に対応するようにして営業活動を行います。旅行代理店や携帯電話ショップ、不動産業、銀行などを想像するとわかりやすいでしょう。
営業のために外出する必要はあまりありませんが、どうすれば来店者数を増やせるか、来店した顧客に気持ちよく帰ってもらうにはどうすればいいかなど、訪問営業にはない工夫をする必要があります。
一般的な営業の仕事内容
営業職の一般的な仕事内容を紹介します。さまざまな種類がある営業職ですが、大まかな仕事の流れは以下のように共通している部分が多いでしょう。
アプローチ先のリサーチと決定
営業職が最初に行う仕事は、アプローチ先をリサーチし、決定することです。同じ製品を売り込むにしても、まずは相手がどういう問題や課題を抱えているか、どのように売り込むのが効果的かは大きく異なります。
そんな中で無計画に営業活動を行っても、仕事の効率が下がるだけでなく、断られ続けた結果ストレスも蓄積されていきます。
そのため、アプローチ先がどのような課題を抱えており、自社の製品であればどのように解決に導けるのかをしっかりとリサーチし計画を立てておくことが、営業活動における重要なポイントといえます。
商談や見積もり、受注・手配
営業活動の計画が立ったら、アポイントを取り、実際の商談に入ります。このとき気をつけたいのが『顧客の予算』です。どれほどよい商品であっても、価格が顧客の予算の範囲内でなければ、契約にはつながりません。
やみくもに値下げするのではなく、自社がどの程度の利益を追求するのかを念頭において、金額のすり合わせを顧客と行いましょう。
また、商品をどのように手配するか、納期をいつ頃にするかも重要なポイントです。これについては、社内の生産や流通を管理する部門との連携が欠かせません。商談の場で決めるのではなく、社内の担当者としっかり話し合い調整しましょう。
納品とアフターフォロー
商品の手配が完了したら、納品作業を行います。納品作業に不備がないか、商品に破損や動作不良が見られないかなど、しっかりと確認しましょう。
商品を納品しても、それで完了ではありません。不具合やトラブルが発生した際には、迅速に対応する必要があります。
納品後のアフターフォローを通して、顧客との友好な関係性を築き、ほかの製品やサービスの契約につなげられるように動くのも営業職の役割です。
営業に求められるスキル
では実際営業職として働いていくにあたり、どのような能力が必要なのでしょうか。営業職に求められるスキルを紹介します。
認識を合わせるコミュニケーション能力
営業職は人と対話することが基本の職種です。そのため最低限コミュニケーション能力が求められるでしょう。
ただし、ここでいうコミュニケーション能力とは、ただ『話すのが好き』ということではありません。両者の認識を合わせ、交渉内容に納得感を持たせられるという点が重要といえます。
自分が話すだけでは結果につながらない可能性が高いため、注意が必要です。
相手の話を聞くヒアリング力
営業職の役割は、自分の意見をただ伝えるだけでなく、顧客の悩みや課題を引き出し解決に導くことにあります。お互いの認識にすれ違いがあると、もし契約できたとしても、その後クレームにつながる可能性が高くなってしまいます。
ただ話を聞くだけではなく、顧客が話しやすい雰囲気を作る必要があり、それを実現するための能力が『ヒアリング力』です。課題だけでなく『予算はどの程度か』『納期はいつ頃を希望しているのか』など、契約成立後を見据えた情報収集を行いましょう。
潜在的な課題を見つける課題発見能力
『顧客自身が課題を把握していない』というケースも少なくありません。顧客の想定している課題が本質的な部分からずれている場合もあるでしょう。
そのような場合、営業職は顧客の話の内容から、潜在的な課題を発見しなければいけません。
競合他社の状況を事前に調査したり、抱えがちな課題の傾向を把握しておき、一緒に課題を解決するという姿勢を見せられたりする人は、顧客との信頼関係を築きやすい優秀な営業マンになれるでしょう。
営業を始める前に知っておきたいこと
営業職として働くうえで、業種への理解や必要な能力の把握も大切ですが、それ以外にも、営業職として仕事を始める前に知っておくと役に立つこともあります。
営業のやりがい
営業職のやりがいは、売上が目に見えるデータとして表れる点にあります。
どのくらいの利益をあげたのか確認できることは、仕事に対するモチベーションアップにつながります。成績がよければ昇進や昇給のチャンスも巡ってくるでしょう。
顧客の生の声を聞けるため『誰かの役に立てたこと』を実感できるのも魅力です。これらのような要素に、やりがいを感じることができる人は営業職に向いているといえます。
営業の大変なところ
営業職には、期間ごとに『契約獲得数』『売上金額』などのノルマを課せられる場合がほとんどです。常にノルマを意識しなければいけないため、それがプレッシャーとなり、大変だと感じる人も少なくありません。
さらに営業職は数多くの顧客と信頼関係を築くことが、仕事の効率を高めるうえで非常に重要な要素の一つです。
自分にとって好きか嫌いかは関係なく、さまざまな人と交流する必要があります。コミュニケーションが苦手な人にとっては大変な仕事だといえるでしょう。
やりがいが多い反面、大変だと感じる部分があることも営業職の特徴です。
営業の仕事内容を理解しておこう
営業職といってもさまざまな種類があり、仕事の流れや求められるスキルが異なります。営業職にはやりがいがある反面、大変な部分も多いものです。
就職を考えるうえで大事なのは、その職種の仕事内容をしっかりと理解しておくことにあります。どういった職種かわからないまま就職しても理想とのギャップを感じ、すぐに辞めたくなってしまう可能性があるからです。
現在営業職への就職・転職を考えている人は、まずは営業職への理解を深めたうえで動きましょう。
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